矢上教授の午後

著者 :
  • 祥伝社
2.94
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本棚登録 : 216
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633219

作品紹介・あらすじ

夏休みの老朽校舎に出現した死体の謎…英国伝統ミステリのコクとユーモアがたっぷり詰まった1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 夏休みの午後、とある大学のおんぼろ校舎では理系の研究室の人々が各々の学業にいそしんでいた。
    そして落雷による停電の中、閉ざされた研究棟の最上階で誰も見知らぬ男の死体が発見される。
    日本古典文学の老教授(本当は非常勤講師)、矢上教授がたどりついた真相とは・・・。

    謎や伏線はよく練られていて面白かったんだけど、一つ一つの章が短すぎて、登場人物達の状況がうまく把握できず、今何が起こって誰がどう考えているのかついていくのが大変でした。

    そのためか人物描写の掘り下げも浅く、細切れにする必要があったのかなあと疑問に思います。
    非常口や研究室の位置も読んでいるうちにわからなくなってきたので、校舎の見取り図も欲しかったです。

    素材(謎)はよかったので情報が整理されていればもっと面白かったのにと思いました。ざんねん。

  • 153:登場人物と建物の構造が把握できず、いろいろと混乱してしまったために、いまひとつのめりこむことができませんでした。矢上教授や咲など、キャラクタの造詣はじゅうぶん魅力的だと思うので、自分の読解力が至らなかったのが悔しい……。「彼女」視点がすごくよかった、というのは負け惜しみかな。

  •  日常の謎系かと思いきや、殺人事件の起こるミステリでしたね。
     お話の雰囲気とか、キャラは好き。
     ただ、各章が細切れすぎて、登場人物たちの状況が分かりにくかったかな。
     てっきり矢上さんと咲ちゃんがメインのお話だと思ったのに、思いのほか矢上さんは他のキャラに比べて深い設定がないし、咲ちゃんもあんまり登場しなかった…。

     このキャラたちで、シリーズにならないかな。

  • 教授の推理はお見事です
    が、ちょっと事件の動機が弱いような
    こじつけ感というかね

  • 場面がどんどん変わるのでどこに誰がいたのか把握しにくかった。

    でもこのお話の雰囲気好きだな。

    登場人物がそれぞれ濃いから、彼らを主人公にした短編集もあればいいのに。

  • 出だしは良かったのだけど、なんだか分からなくなってしまった。

  • +++
    夏休みの老朽校舎に出現した死体の謎…… 「英国伝統ミステリのコクとユーモアがたっぷり!」“このミス”ご意見番の三橋曉氏オススメ
    「矢上教授と誰もが呼び習わしているが、正確には教授ではなく、非常勤講師の身の上だ。ただし、七十年配で白髪に白髯という風貌は、世間一般が抱く教授のイメージにぴったりくる。
    所属は生物総合学部。にもかかわらず、矢上の専門は、なんと、日本古典文学である。科学立国日本の未来を担う若者に、週三コマ、日本古来の教養を注ぎ込むのが矢上の使命なのだ。
    場違いな学部の、今にも朽ち果てそうな研究棟の最上階の隅に、押しやられたように矢上教授の研究室はある。非常勤講師で、しかも生物総合学部には、まったくそぐわない専門分野のくせに、一応自分の研究室まで確保しているのだ。そんな、何か裏の権力に通じているように見えるいかがわしさがミステリアスであると、言えば言える。
    そう、ついでに言えば、教授はミステリの蒐集魔である。研究室の書棚占拠率は教授の専門に関する分野が三割、あとの七割は古今東西のミステリである。」
    とある八月の終わりの午後。大学は静かだった。ただ、五階建ての研究棟では、特に熱心な教授や研究生がちらほら、各々の学業にいそしんでいた。
    やがて、上空を雷雲が覆って近くに落雷し、一帯が停電する。そして、嵐に閉ざされた研究棟の最上階で誰も見知らぬ男の死体が発見され、矢上教授は真相を追い始めるが……。
    +++

    タイトルにある通り、ある夏の日の午後の物語である。たった半日足らずの出来事なのだが、何とも閉塞感に満ちていて息苦しく長く感じられる。事の発端は、研究棟にいる誰にも見覚えのない死体が見つかったこと。そしてひとりの教授の姿が見えない。普段は矢上教授のほかはほとんど寄り付かないような取り壊しが決まっている研究棟にたまたま居合わせ、どういうわけか閉じ込められた、思いのほか大勢の人物たちそれぞれの思惑が――事件にかかわっているかどうかにかかわらず――複雑に絡み合い、互いを伺い合って、謎解きを難しくしている。そんな中、矢上教授は、的確な視点と見事な洞察力で、本筋に絡みつくものを排除して単純化し、謎を解き明かすのである。素晴らしい。盛りだくさん過ぎるそれぞれの思惑が見事に収束されていて感心する。矢上教授のことをもっと知りたくなる一冊である。

  • 飄々とした大学の老教授(本当は非常勤講師)が探偵役となる本格ミステリ。そのコージーミステリ的な雰囲気と細かに切り替わる場面設定で一気に読み上げました。
    出てくる大学関係者は誰も彼も腹に一物抱えているし、老朽化した研究棟が暴風雨と偶然によりクローズドサークル化されるし、矢上教授はミステリマニア的考察を行なうし、実に僕好みで面白かったです。もっとこの物語に浸っていたいという気にさせられました。シリーズ化してないのかな。

  • 老紳士(?)と聞いて、おじ様好きな私がずっと目をつけていた本でした。
    のほほんとした日常ミステリーなのかと思いきや、本格的な殺人事件が。
    時系列に、さまざまな視点で物語が進んでいくのが面白いと思いました。が、物語を把握するまでに少し時間がかかりました。
    本文はストレスなく読めました。
    タイトル表題にもある矢上教授か、最初の語り部である咲が主人公なのかと思いきや、中盤にきて光始めた馳部教授。
    むしろ馳部教授が主人公だったのではと思わずにはいれません。
    馳部教授の物事の考察(例え?)が面白いです。
    物語全体は王道でしょうか。

  • ある大学の第1研究棟…前半は各研究室の内容・人物模様がノンビリと描かれ、多キャストは変人気味で個性的だ。落雷・暴風雨・停電の中、棟内で発見された撲殺死体とともに教授・院生たちが一斉に動き出す。妙にクラシカルな完全密棟内の事件と牢名主の冴えわたる推理。外部浸入者・一輝と、オットリした院生・咲が笑える。

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著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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