木暮荘物語

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著者 : 三浦しをん
  • 祥伝社 (2010年10月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633462

木暮荘物語の感想・レビュー・書評

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  • アパートで恋人と過ごす幸せな時間。とそこに突然の来訪者が…なんと3年前に同棲していた元彼氏。突然放浪の旅に出て失踪したにも関わらず、まだ恋人のつもりであるらしい…。

    繭と晃生の困惑はよく分かるけど、並木がまた憎めないキャラクター。奇妙な3人の日々が始まる。

    木暮荘大家の木暮老人は瀕死の友から(----モニャモニャ)の欲求を呼び起こされ、俄然と、猛然と、燃えさかるようにたぎるように、それに男のロマンを賭け…

    トリマーの美禰はホームの柱に生えた不思議な突起物の観察を続ける。いつしかそれはアレそっくりに成長して…

    浮気に勘付いた妻は、それ以来夫の淹れたコーヒーを妙な味に感じ、浮気現場を突き止めようと躍起になるが…

    階下の女子大生をこっそり覗く楽しみに目覚めた冴えない男は、次第に彼女へ不思議な感情を募らせ…

    階下の女子大生は産めない身体を持て余して奔放な生活を続けているが、友人に託された赤ん坊に母性を感じ…

    新彼氏と幸せそうにしている元彼女を諦めきれず半ばストーカー化する並木は、見咎められたご縁から別の女性宅に居候するが…

    個性豊かな木暮荘の住人たちとそれを取り巻く人々。やっぱりしをんさんはいい。なんとも言えないこの味わい。

  • オンボロ木暮荘の壁は薄い。
    たまに見かけるだけの隣人とは
    言葉を交わすことも無いけれど、
    生活音は丸聞こえ!

    あの時のあんな声や、こんな行為、
    抱いているどんな思いも全て筒抜け。

    しをんさんはさらに
    そのうっすい壁まで蹴破り(←そんなイメージ)
    理性や品性やその他なにやらの向こう側にいた
    セックス、という行為を
    白日の下に引きずり出してきちゃった。

    見えないセックスは
    いやらしい感じしかしないが、
    見える(?!)セックスは
    おかしくて、哀しくて、愛おしくて、
    あたたかくて、優しくて、泣けた。

    最高に面白かった♪

  • ノーマークだった、しをんさんの作品。
    装幀はクラフト・エヴィング商會のお二人です。
    祥伝社なので「ん?」と思ったけど

    アットホームでほのぼのして、ほろっとして
    笑えて面白かったです。
    feel loveに掲載されていたから、若干お色気が
    入っていて、それもいやらしさはないので
    さらっと読めるのです。

    登場人物がみな木暮荘を軸にしてつながっているので
    (つながりが巧みです)
    人と人の絆や温かみを感じました。
    すぐに再読するとまた楽しめると思う。

    「シンプリーへブン」「心身」「柱の実り」「黒い飲み物」
    「穴」「ピース」「嘘の味」

    もうどれが好きとか、甲乙つけがたいけど
    「心身」「柱の実り」「穴」「ピース」が最高でした。

    大家さんがまたいい味出していて、木暮荘に住みたいな。
    「真綿荘」「てふてふ荘」「妖怪アパート」も良かったけど
    『木暮荘』も好物件ですよー!

  • いや、おもしろい。おもしろすぎてびっくりした。

    最初の、3年間音沙汰なしだった並木が突然放浪の旅から帰ってきて、
    繭と晃生の平和の日常にするりと入り込んでしまう奇妙な三角関係の話に
    なんかほのぼのしたのに。

    次の話で、小暮荘のオーナーであり管理人である小暮さんは
    この手の人情ドラマでは好々爺でなければならない役回りの人だってのに
    なーにを考えているんだ。
    でもそのユーモラスな悲哀さ加減が愛おしい。
    しかしだ、将来年老いた妻になるべき我が身に置き換えれば笑ってもいられない。
    そりゃあ他の人に求められたら癪だけど、受け入れられるか否かは、
    その時まで解くことのできない、ひとの不思議ですね。

    さらに、駅の柱に何か生えたり、コーヒーが泥の味だったり、覗き覗かれたりしながら
    直接的下ネタがオンパレードなのですが、
    切なかったりあたたかい気持ちになったりするんだよね。
    覗き魔神崎の心情は、なかなかに共感。
    物語を読むという行為は、他人の生活を俯瞰して覗き見することと似ている。
    光子とはるかの1週間の親子生活はいいはなしだなー。
    最後の並木とニジコの話は、謎のふたりの本音が痛くて儚い。

    とにかく個性的な人が個性を発揮して本音を語ってくれます。
    それぞれの目線で見ると平凡な毎日がこんなに多彩で複雑だとは。
    読み進むうちに登場人物がどんどん立体化してきて存在をくっきりと感じられました。

    待っている人がいる明かりの灯る窓のある部屋を見失わないように、
    年を重ねていきたい。

  • かなり、年期の入ったボロアパート「木暮荘」
    そこに住む人たちの「性愛」についてのお話。

    かなり、初めは衝撃的だったが、人それぞれの恋愛を垣間見てるようで、少し恥ずかしい気持ちが…(゜゜)~

    みんな、個性的過ぎて驚き、ひいてしまうところもあったが
    このような生き方もありなんだなあ・・・と感じられる所もあり
    笑いあり、面白さあり、深さありの三拍子です(●^o^●)

  • 隣どころか、何軒か隔てた部屋のTVの音さえ筒抜けで
    押入れの壁を蹴破れば、簡単に隣の部屋に入れてしまう
    古色蒼然としたアパート、木暮荘。

    そこに住んでいるのは
    彼と寛いでいたところに何年かぶりに元カレが帰国してくると
    なぜか3人で和気藹々と暮らし始める女性やら

    親友の無念が伝染したかのように、
    70過ぎてから猛烈に性を意識し始めた老人やら

    空き部屋の畳を剥がして発見した穴から、
    階下の女子大生を覗き見ることを生き甲斐にしている会社員やら

    覗き見られていることさえ楽しみながら
    友人に押し付けられた生後間もない赤ちゃんに愛情を注ぐ女子大生やら
    一風変わった人ばかりなのだけれど、

    初めはお互いを胡散臭いと思っていた彼らが
    木暮荘で繰り広げられる数々の小さな事件を通して
    それぞれの生き方をおおらかに受け入れていく様子が、とてもいい。

    木暮荘の庭を自由に走り回っているせいで薄汚れている犬のジョンを
    シャンプーしてきれいにしてあげたいと願う、トリマーの美禰と
    「長期出張」の前に彼女の願いを叶えようとする
    「その筋の人」前田との数週間を描いた「柱の実り」

    女子大生光子が、能天気な友人の妊娠騒動のおかげで
    絶対に叶わないと思っていた赤ちゃんの世話に奔走する「ピース」

    最初のお話で、三角関係から静かに退場した並木が
    元カノの繭を気に入っているという不思議な女性ニジコと出逢い
    自分を導く灯台だった木暮荘が、もう過去の風景となったのだと
    やわらかく自覚する「嘘の味」など

    それなりに必死に生きている人達の日々に漂う滑稽味を上手に押し出しながら
    最後には、切ないほどの温かさで包んでしまうしをんちゃんは、やっぱり凄い!

  • おんぼろアパート・木暮荘の住人、それに関わる人達の話、連続短編集
    変な話、ひたすら性の話。でもあっけらかんとしすぎて、エッチっぽくないような…どうなんだろう?

    短編集ですが、密につながっているお話。
    うまいな、と思うけれど、
    私はあまり好きではないです。

  • 重松清の「きみの友だち」もそうなんだけど、ある話では脇役やただの背景みたいな人物が主役として登場してくるのがおもしろい。脇役なんていない。ひとりひとりの人生にはなにかしら、ドラマがあるんだな。

  • ボロアパート「小暮荘」に纏わる人々の、ちょっと風変わりで普通な日常。

    短編の一つは、
    乱歩の「屋根裏の散歩者」のごとく、男が女子大生の部屋を天井から覗く話――と説明してしまえば、「なんて不道徳でエロい内容なんだ!」と顔を顰める方も多かろう。

    だが、そこは流石の三浦しをん。
    絶妙なバランス感覚で、隠微な感じを全くさせない。田舎のオカンよろしく女子大生を心配する男に、呆れながら笑ってしまうストーリー展開だ。

    なにより愉快だったのが、女子大生の長~いメイクアップ工程を見た男が後悔するシーン。

    『君は素顔のほうが綺麗だね』って褒め言葉じゃないんだな…あんな時間かけて化粧したのに『すっぴんの方がいい』とか言われたら、そりゃあ今までの彼女だって微妙な顔するよ…ってか俺がすっぴんだと思ってた顔ってじつは薄化粧だ…

    (笑)
    このあたり、私としては「うんうん」と頷けてしまう内容なのですが。ぜひ男性に読んで頂きたいな。

  • 図書館より
     おんぼろアパート『木暮荘』の住民たちやそれに関わる人々の姿を描いた連作短編集。

     登場人物や話の設定など、各短編のほとんどがどこかずれている感じがするのですが、それがあまりぶっ飛んでるように感じられず、実はこういう人たちってどこかにいるんじゃないか、こういう事件って起こってるんじゃないか、と思わされました。たぶんフィクションと現実のちょうどいい狭間にある小説なのだと思います。

     文体や登場人物の雰囲気から作品全編にわたってほのぼのした雰囲気を漂わせているものの、全体的な話のテーマとしては男と女のなかなかに生々しい話が多いです。でもそれが不思議と下品なところまでいっていない。これも著者がギリギリのラインを分かってらっしゃるのだと思います。

     登場人物たちに人としての暖かみが感じられたのも、話の内容の割に爽やかさを感じた理由だと思います。

     

     

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木暮荘物語の作品紹介

小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。空き室あります!安譜請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。うまい、深い、面白い。三拍子揃った会心作。

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