カシュトゥンガ

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 28
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634445

感想・レビュー・書評

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  • 引きこまれて、ページを捲る手を止められなかった。
    「学校」という特殊な空間に押し込められた中学生たち。いや、閉じ込められているのは中学生だけじゃなく、みんな何かしらの「棺」に閉じ込められているのだ。
    と、そんなふうに感じてしまうことは確かにある。逃げても逃げても、結局は似たような世界でしか生きていけないような、絶望的な閉塞感。
    最近の「学園モノ」には共通してこの「絶望的な閉塞感」がつきまとう。それはたぶん、現実を反映しているからなんだろう。
    そんな中で、咲希は、奇跡のように健全である。彼女の健全さを「奇跡のようだ」と感じてしまうこと自体、なんだかやりきれなくなってしまうが。

    読んでいる間じゅう、この物語が醸し出す閉塞感にすっかり囚われていたのだが、読み終わっていくつもの疑問がわいてきた。
    序章の「私」は結局誰だったんだろう。華那はいったいどういう少女だったのか。途中から愛という少女の視点に重点が置かれるようになったと思ったら、また違う人物の視点に変わったり。いったい誰の物語だったのだろう、とまずは思った。
    しかし、もう少し考えてみると、誰か一人の物語、というよりは、「学校」あるいは、「人間社会そのもの」が主人公の物語であったような気もする。
    一瞬で入れ替わる加害者と被害者の関係、他人をいじめずにはいられない人間の業、見て見ぬふりをしたり、過小評価してやり過ごしたりしてしまう人間の習性、などは、何も「学校」のみに存在するものではないのだから。
    救いがあるような、ないようなラストで終わるこの作品は、いつまでも考えることをやめられない何かがある。

  • カシュトゥンガ、それはわたしたちだけのひみつのおまじない。

    ヤングアダルト向けのサスペンスホラーというところ?映像化しやすそう。学校の中で悩んでいる子にとって良いところもあるし、悪い影響も与えてしまいそうだけど、読んでみてほしいかも。本当に一番望んでいることが何なのか、見間違えないように。
    が、私は大人なので、ちょっと物足りなかった。家庭教師はなんだったの……ヒーローじゃなかったの……

  • おまじない 少しホラー?

  • 水沢秋生作品初読み。
    女子会で魔女的な集会かと思っていたら意外に悪意に満ちた集会だった^_^;
    ビー玉の件は脅し的な意味合いなのだろうけどチョコの件はやりすぎだろ。。。
    悪意があろうがなかろうが他人に危害を加えたらダメですな。。

  • いじめがもたらすもう一つの悲劇をうまく被害者視点に立って描いてる作品だなと思った。

    ちょうど、登場している世代が1995年生まれ世代で親近感を感じた。

    個人的にはこの本、是非ともテレビドラマ化してほしいなと思った。金10枠で。

  • 読んでいる間はそれなりに面白かった。ただ特に突出したものは感じられない。冒頭の語り手がちょっと意外だったくらいか。

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著者プロフィール

著者:水沢秋生(みずさわ あきお) 1974年、兵庫県神戸市生まれ。
出版社勤務などを経てフリーライターに。
2012年、第7回新潮エンターテインメント大賞を受賞した『ゴールデンラッキービートルの伝説』でデビュー。
青春の残酷さと美しさを描いた傑作『プラットホームの彼女』が話題となる。
主な著作は『運び屋』『わたしたちの、小さな家』『俺たちはそれを奇跡と呼ぶのかもしれない』など。

「2018年 『あの日、あの時、あの場所から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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