ホケツ!

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634582

感想・レビュー・書評

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  • 宮島大地は、みつば高校サッカー部。最高学年になってもただ一人の、レギュラーじゃない先輩。レギュラーから外された後輩に、「ベンチへようこそ」と声をかける人の良さ
    中学の3年間も入れると、6年間の補欠歴

    ずっとベンチを温めながら、みんなのシュート練習のキーパーを務め、レギュラーを外され腐っているチームメイトを放課後訪ねる
    時には、女子から頼まれ、部員との恋のキューピッド役も
    大地がいることで、チームがまとまっている感じがする

    なんだか、人が良すぎて、読んでいるこちらの方がモヤモヤしてしまうが、この年代でこんなふうに、自分を保てる子ってすごいのかもしれない

    そんな大地が母が亡くなる前に.「試合に出た」と嘘をついた
    (母には、嘘はお見通しだったのだが)
    「大地は優しい嘘をつける子になった。だからお姉ちゃん、大地のことお願いね」と大地を姉に託し、亡くなる

    この物語の山場
    全国高校サッカー選手権大会県予選、第一トーナメント
    この試合に負けると、部活が終わる。後半残り10分、スコアは
    2ー1
    監督が動く
    「大地、アップ!」
    「でも」
    「でも何だ」
    「まだ勝てますよ」
    「ああ。勝てる。だからお前を出す。お前を出せば、みんな燃える。最後の切り札だ」
    「勘違いするなよ。これはお情けではない。追いつきたいからお前を出すんだ」

    監督と大地のチグハグな会話に笑ってしまうが、最高の山場、大地にとっては6年間の集大成、大地がんばれ!と応援したくなる
    応援したくなる人柄なのだ

    さて、結果はいかに??

    小野寺さんの作品の主人公は、どこか似ている。両親を亡くしていたり、離婚しているなど、そしてそんな身にもかかわらず、とても温厚で自制心に富み、落ち着きがある。自分を客観的に見ることができる

    小野寺作品の持ち味の淡々と、短い文で畳み掛けるように、話は進んでいくが、あまりの淡々さにちょっと退屈しんどくなる
    もう少し事件でも起こらないのかと

    でも、この何気ない日常、どこにでも誰にでもある日常の物語が魅力で、好青年に会いたくて、ついつい手に取ってしまう

  • アオハルですよ(〃ω〃)
    三十年程前を思い出しました笑

    大地17歳サッカー部三年生唯一のホケツ!
    まぁいい子ですよ!自分は汚い事も考えるからいい子じゃないって思ってる所もいい子です!

    中一で母親を亡くし姉である叔母さんに育てられてますが、キャリアウーマンの叔母さんが素敵!

    わたしも中・高・実業団とスポーツしてました。
    サッカーじゃなくソフトボールですが。
    なんか読んでて思い出しました〜♪

    小野寺史宣氏54歳の描くアオハルにワクワクしました笑


    ガンバレ大地〜*\(^o^)/*

  • 離婚した母が亡くなり、母の実姉である叔母と二人暮らしの大地はみつば高校3年生、サッカー部の万年ホケツ。
    女子からは男子とのキューピット役も頼まれるちょっと人の良いタイプ。
    そんな彼の、高3の5月から7月、ラストシーズンの話。

    大地は著者の作品にありがちな、ガツガツした所のない優しく穏やかな男子。
    サッカー部のレギュラー、エースのチームメイト達が頼りするのは、人格者のキャプテンだけでなくこんな大地なのだと思います。

    同学年で唯一の補欠はやっぱりきつい。
    やめてしまったキングの気持ちも分かる。
    でも、最後までやりきったから、最後のシーン、ピッチから見た景色は大地の一生の宝物になったと思います。
    最後の数ページは涙が止まりませんでした。
    良作です。

  • 大地は勿論いい子だけど、サッカー部の面々もとってもいい子達。
    というより部活で長い時間を共に過ごしているうちに、お互いを大事にする関係が成り立つのだろうか?
    レギュラーになれない大地、家庭環境もとても複雑で、なのに卑下し過ぎる訳でもなく、友だちを認め、自分の事も割と等身大で認めてるところが凄いなと思う。
    小野寺史宜さんの小説の読み終わった後のじんわり優しくなる感じにハマってる。違う小説をまた読んでみよう。

  • サッカー部万年補欠の主人公・大地。
    大地をひとことで表すなら、お人好し。
    我の強さがいっさいなく、周りに合わせる主体性のなさ。でも考える力がないとか面倒臭いとかそういうネガティブなことではなく、大地自身もクサクサしていないのでなんとも爽やかなお話だった。
    大地がいることでその場がうまく回るし、みんなも安心するし、なかなかすごい子だなと読み進めるうちに思った。
    私も大地と友達になりたい。そんな風に思わせてくれる青春小説。
    なんなら大地の社会人バージョンのお話も読んでみたいな。

  • アオハルだね〜。
    憲剛の推薦という帯を見るたびに絶対に読むと思いながらズルズル。
    やっとタイミングがきた。夏に読んで良かった。大地の達観ぶりは、母と死別し父とも離婚で別れていることが影響してるのかな?
    自分が同級生だったら華やかな尚人や悟じゃなくて大地に惹かれるかもと妄想しなが楽しく読んだ。
    五十嵐4:20にウケた。

  • <高>
    比較的僕の好きなスポーツ サッカーの話題。なぜ比較的好きかそれは僕が中高とサッカー部だったから。当時の運動部は夏でも練習中は絶対に水を飲んではいけません,一番足腰の鍛錬になるのはウサギ跳びだから立てなくなるまで遣りましょう! と云う拷問的スポ根の世界だったので,この小野寺物語のゆるい高校サッカー部の事情とはえらい違いであった。
    しかし小野寺の作品は日常の何でもない事の繰り返しなのに なんでこんなに面白いんだ。小野寺は僕より九つ若いだけなのにまだまだ僕にとってはなぞの多い作家である。楽しみな事だ。

  • 主人公の大地くんが優しすぎて
    あれ、ってなるけど
    心の中には熱い気持ちもあって
    そういう男の子大好きだなぁと思った。

    人に優しくできる強い心を持っている
    そんな人は報われるんだなと思った。

  • サッカーのルールや、フォワードとかの役割も少し分かった。今まで自分はそれだけ興味なかったんだなぁ。

    とりあえず、主人公の大地はクサりはしない良き少年だったし、彼の周りも根も葉も良い人たちばかりで良かった。

    小野寺さんの作品は、いつも良い深呼吸をさせてくれる。

  • まさか、こんなにも泣くとは思わなかった。
    試合の場面で泣いたけど、熱血部活物語ではない。中学生から始めたサッカーはずっと補欠選手で、小学6年生で母親を亡くし伯母さんと暮らす控えめな性格の主人公。高校3年生。
    青春。だなぁ。
    試合の結果はわからないけど、いいフリーキックだった。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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