ヒポクラテスの誓い

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 207
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634674

感想・レビュー・書評

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  • 遺体の声を聴く。
    遺体は、嘘以外の全てだ。生きている人間は嘘を吐くが、死体は真実しか語らん。
    埼玉県の浦和医大病院の臨床研修医師・栂野真琴(つがのまこと)が、解剖研修医師として法医学教室の光崎藤次郎教授にもまれて成長して行く物語と。光崎教授が、何かを探しています。探し求めたものが表に出たとき大学病院が……大変な事になります。

    真琴は、内科部長・津久場教授の命で法医学教室へ知らずにスパイとして送り込まれる。そこには光崎教授と女性のアメリカ人のキャシー・ペンドルトン准教授と二人しかいず人手不足であった。その補充と単位不足もあって真琴が送り込まれる。
    最初に教室の入り口に掲げられている「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれる誓文を読まされる。そこには、生きている者も死んでいる者も分け隔てなく同じ患者と……。
    中山七里さんの本を読むのは初めてです。

    【読後】
    最後に真琴が走り出す。大学の中で何かが行われているのを感じる。それが何なのか分からないが、最後の物語で病院内の患者のカルテが無くなり、検査データーが削除される。やっとクライマックスに……。長かったが事件の概要が意外な所から出て来る。
    光崎教授の傍若無人さと、キャシー准教授のクルーさが面白い、テンポがよく、真琴の成長が実感できる。読んでいて面白い。ただ、字が小さいので読むのが大変でした。

    ヒポクラテスの誓いシリーズの1作目
    2015.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。2021.11.10~12読了。★★★☆☆
    生者と死者、加害者と被害者、監察医と法医学者、母と娘、背約と誓約、の5編の連載短編集です。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「ヒポクラテスの誓い」は、医師の倫理・任務などについての、ギリシア神への宣誓文。現代の医療倫理の根幹を成す患者の生命・健康保護の思想、患者のプライバシー保護のほか、専門家としての尊厳の保持、徒弟制度の維持や職能の閉鎖性維持なども謳われている。

    ヒポクラテスの誓い(日本語訳)
    現実に医学部で使用されているものではなく直訳したものを記す。

    医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
    ・ この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
    ・ 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
    ・ 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
    ・ 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
    ・ 依頼されても人を殺す薬を与えない。
    ・ 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
    ・ 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
    ・ どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
    ・ 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
    この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
    しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    ヒポクラテスの誓いシリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「中山七里」と入力。または、その中から中山七里を探してください。そうすると著者中山七里さんの本が一覧表示されます。
    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。

    • fufufuyokoさん
      読みたくなりました。本棚に登録!
      読みたくなりました。本棚に登録!
      2021/11/13
    • やまさん
      こんにちは(^-^) 
      fufufuyokoさん♪ありがとうございます。
      中山さんの本は初めてですが、明るい真琴の成長が楽しみな医療ミス...
      こんにちは(^-^) 
      fufufuyokoさん♪ありがとうございます。
      中山さんの本は初めてですが、明るい真琴の成長が楽しみな医療ミステリーで、最後の章だけが大学のミステリーになっています。
      レビューを楽しみにしています(⌒-⌒)ニコニコ...
      2021/11/13
  • ずっと気になっていた作家さんです。いろいろなシリーズが出ていますが、図書館で借りているので順番に読めるものを...とまず借りたものです。
    法医学のお話ですが、おもしろかったです。解剖シーンは、描写がリアルでまたすごかったです。
    他のお話やシリーズも読破してみたいと思いました。

  • 「あなた、死体はお好き?」
    研修医の真琴さんが内科の津久場先生から単位が足りない分、研修してこいと法医学教室に放り込まれ...な、お話。

    毎話、法医学ミスター権威の光崎教授がなかば無理矢理解剖をするために真琴さん頑張ります。
    そして死者の言葉に真実が⁉︎
    法医学って大事なんですねぇ
    表現グロくて最初引きましたけど、最後の方慣れちゃいましたε-(´∀`; )

    短編で展開しますが最後に全て回収されます。
    古手川刑事も良い仕事をしてまして楽しかったです。

  • 2021/08/07読了
    #中山七里作品

    法医学教室にスパイとして送り込まれた
    新人研修医の真琴。
    傲岸不遜な光崎教授に毒されながらも
    次第に成長していく。
    難しい医療ものだが、文体がやさしく
    読んでいて楽しい。

  • ヒポクラテスシリーズの1作目。
    先に2作目を読んでいたのでおおよその話の流れは掴めていたけど。
    真琴が法医学に携わる成り行き。様々な事件を経ての彼女の変化。
    そして終盤にかけて明らかになる意外な黒幕。
    中山さん作品らいしい、最後の最後で来る衝撃。
    描写は相変わらずグロいものだけど、もう慣れました(笑)
    このシリーズもまた追ってみたいと思います。

  • 連作短編。最後まで飽きることなくほぼ一気読み。面白かった。解剖シーンはちょっと苦手。

  • 昔から、法医学関連の物語が好きなのでこちらも読んでみました。

    全5編からなる連作短編集。
    解剖に至るまでの展開は大体いつも同じで、解剖後に分かる事実も「へぇ〜」程度。
    (私事ですが、某法医学ドラマでは亡くなった人の想いや経緯が解剖後判明した時、大体号泣してました)
    あっ!と驚く真実とか、どんでん返し!とかは全く無く、正直エンタメ度は低い。
    静かにじわじわと進んでいく感じ。
    それでも、全体的な印象としては面白かった…けれど、少し読みにくい。

    内容自体は複雑ではないものの、医療用語はバンバン出てくるし、日常生活で凡そ使わない二字熟語もやたらと使われてるし…
    前後の文脈から何となくこういう意味かなと推測しながら読んでみたものの、元々気になる事があるとすぐ調べる性格なもので、結局調べながら読んでいたので読了するまでに時間がかかりました。

    最初は法医学に対して興味が無かった主人公が、最後は自らその道を選ぶ結末からが、この物語の始まりであり、もっと面白くなる展開が待っていそうと期待できます。

  • 検視医の話なので難しい言葉が出てくるが、いつもの中山七里の本のようにどんどん物語に引き込んでいく。
    スーパーな主人公に感化されていく主人公、人の本質を突く心をえぐるようなセリフが、引き込まれる要素かと感じている。
    まだ読んでいないものも今後少しずつ読む予定にしている。

  •  最寄りの図書館で見つけ気になって手に取った。
     たいそれた題名と表紙に気を取られたが、内容は解剖医が中心のミステリーと言った印象を受けた。昨今で話題に挙げられるような中途半端にギャグが挟まれていたり、気を衒った故に腑に落ちないミステリーと違い堅実的な話だと感じた。医学に関しては無学のため少しとっつきにくい印象も受けたが、フィクションとはとても思えないリアリティがあり、だからこそ緊迫感や緊張感がひしひしと伝わった。
     話の中で広げた風呂敷をきちんとまとめられていて、とても丁寧かつ最後に全て繋がる構図が読んでてとても楽しめた。今まで読んだ本の中でダントツに面白くて重厚感がある。
     個人的には「合理性とは何か」を自分に近い視点を持つ主人公を通して順を追って知ることができた。読む前と読んだ後で登場キャラクターの印象がガラリと変わるようなストーリーは珍しくないが、この本は主人公からの視点のみで簡潔に書かれていて無駄がなく読みやすい。
     また、登場人物の言葉の応酬もなかなかウィットに富んでいて似たようなやりとりをしつつ読んでいて飽きない。

  • 一気読みとはいかなかったけれど、各章が繋がっていて、適度なユーモアもあり、良かった。
    主人公が周りに見守られながら成長していく様が、同じような体験や失敗を経験した人には共感できると思う。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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