空色の小鳥

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著者 : 大崎梢
  • 祥伝社 (2015年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634759

空色の小鳥の感想・レビュー・書評

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  • もうね、とても良かったです。
    登場人物がみな、鬱屈した思いを抱える人ばかりで、
    途中で何度も、あれ、これって大崎梢さんだよね?と思いつつ、
    読み終えて、やっぱり大崎さんだったわ~と、ほっこり。

    主人公・敏也。
    母が自分を連れ嫁いだ資産家、西尾木家での冷たい仕打ち。
    その報復の手段として、亡くなった義理の兄・雄一の娘・結希を引き取る。

    テーマは重苦しいものでしたが、
    結希の無邪気で、けなげな姿に救われます。
    やっぱり子供はいいですね~。

    自分が仕組んだこととはいえ、
    結希によって敏也のそれまでの優雅なひとり暮らしは一変。
    結婚しないという彼女・亜沙子、オネェの同級生・汐野、
    それぞれ心に深い闇を抱える二人に翻弄され、助けられる日々の可笑しみ。

    幼い愛娘を、一人残していかなければならなかった千秋。
    その願いと”悲しい嘘”がせつなくて…。

    雄一が言った「おまえはちがうから」の本当の意味がわかって良かった…。

    そして、ワンマンで血のつながりに固執する義父・雄太郎。
    彼も寂しい人だったんだなぁ…と。

    ”紫陽花”のエピソードにしみじみ。

  • 家族とは、血のつながりとは‥
    血のつながらない兄の遺児を引き取った青年の真意は?
    複雑な家族を描いた異色の作品ですが、優しい読後感。

    母が再婚した西尾木家で連れ子として育ち、その母をあっけなく喪った無念を抱える敏也。
    大企業のオーナーである義父とは養子縁組もしておらず、一族からは部外者扱いされてしまう。
    子会社に勤め、淡々と一人で暮らす敏也。
    義父のただ一人の実子で溺愛されていた兄・雄一は、かって家を出奔しており、連れ戻された後に火事で急死したが、じつは内縁の妻と娘を残していた。
    そのことを知った敏也はある目的を抱いて、幼い娘・結希を引き取って育てることに。

    六歳になる女の子を一人暮らしの男が育てるって?
    読者同様、周囲も心配し反対するが‥
    友達も少なそうな敏也だが、じつはゲイだった友達の汐野や恋人の亜沙子とも優しい関係にあり、近所の人たちの協力も仰いで、なんとか子育てを続けていく。
    それだけの経験を積めば、少しずつ変化し、成長もしていきますよね。

    内心の屈折や狙いはあれど、血が繋がらない関係にも実は希望を抱いているところもあったのでは?と思わせる。
    淡々とした展開で、予想通りのおちですが、丁寧に描かれていて、優しい人物が多い。
    嫌な人はいるけど少なく、出番も少なく、それ相応の報いも受ける。
    結希ちゃんがひどく傷つくことがなくて良かった。
    救いのある物語でした☆

  • 巨大な西尾木グループにぶら下がろうとする血縁と相続に絡む、
    ドッロドロのお話、
    にはならなかった。

    ドロドロしようとしていた青年が
    血縁もなにもつながりのない子どもをとおしてサラサラになっていく。

    負うた子に教えられるって感じのお話だったな。

    大崎さんらしい終わり方のように思った。

    こういう、落としどころは結構好き。
    人間のいいところが出てくる感じで嬉しい。

    空の色は一色じゃない、人の心も一色じゃない。

    ここでオネエキャラはずるい気もするけれど
    シーちゃんだから許す。
    亜沙ちゃんも、素敵な女性でよかった。

  • 明らかに含みのある主人公。
    ドロドロした展開かと身構えたが、意外にもあたたかな家族の物語。
    負の要素はでてくるものの、一定の距離があり、暗くなり過ぎない。
    優しい亜沙子や、変わったキャラの汐野ら、周りの大人の存在も大きい。
    読後感もよかった。

  • 西尾木敏也は大企業のオーナーの息子だが、後妻の連れ子であるため肩身の狭い思いをしてきた。敏也は亡くなった義兄に、内縁の妻と娘がいると知る。妻は癌に侵されていて、余命幾許も無い身だった。敏也は娘の親権を取り、亡くなった後に一緒に暮らすが、彼の行動は単なる親切心からでたものではなかった・・・
    子供を道具に使うようなところは気持ちのいいものではないが、敏也のヒール振りが、いとこに比べ大人しく感じてしまった。目に入れても痛くないというが、孫というのは可愛いものなのだろう。
    ラストは希望が持てる感じでよかった。

  • 「あなたは良いことをなさった」
    元・番頭の松尾さんの言葉が素晴しい。
    昔の大きな個人商店…今では「同族会社」…には、こういう、家族ではないが家族でもあり、物の良くわかった、本当の意味での大人がいて、一緒に屋台骨を支えていたのだろう。

    このお話では、いくつもの、「血のつながらない絆」が描かれている。
    主人公の敏也は、母の再婚で連れ子として、大きな財産を持ち、グループ企業の総裁をつとめる雄太郎の家族の一員となった。
    しかし、義父は養子縁組をしてくれなかった。
    血のつながらない兄との関係、母と兄との親子関係。
    彼にはまだ見えていない真実がたくさんあった。

    敏也が企てたことはけして褒められたものではない。
    しかし、その執念に辟易するよりも、やはり「良いことをなさった」のだ。
    子どもを育てるのは容易ではない。
    しかも、血はつながっていないし、敏也は会社勤めの男性で、家事も不得手だったし、結婚もしていなければ、もちろん子どもを育てたことも無い。
    それが、会社を定時で切り上げ、それでも仕事場で信頼を勝ち取り居場所をかため、酒の付き合いも週末のレジャーも「子ども優先」と我慢をし、学校行事もきちんとこなし…
    なかなか、いや、めったにできる事ではない。
    母の死に関しての恨みが彼の考えをゆがめてしまったとしても、彼の本質は、澱みのない、汚れのない魂だったのだろう。
    結希がきちんと彼になついて信頼しているのが何よりの証拠だ。
    子どもの目は曇りなく、大人の本音に敏感だから。
    そして、彼を支えて、血のつながらない保護者として一緒に子育てをしてくれた友人二人、マンションの大人たちの存在も大きい。

    それに引きかえ、多少誇張して描かれるにしろ(昼ドラっぽく、滑稽味を誘う)、わずかな血のつながりをも頼りに、なんとかして財産をものにしようと画策する親戚たちの醜さと言ったらない。

    全てが終わった後、憑き物が落ちたような敏也がすがすがしい。
    ちょっと毒を吐くことを忘れないところも聖人すぎなくていい。
    彼があとから気付いたこと…義父が母を選んだ理由が、子どもを優先する女だったから…
    父も、血のつながらない息子との関係に心を砕いていたのかもしれず、兄も敏也の母と敏也に、血のつながらないなりに、家族としての絆を感じていたのかもしれない。
    良い本でした。

  • 復讐は失敗したけど、ゆきちゃんの存在が、これからの未来を明るく変えていってくれるような、そんな気がする終わり方だった。
    義父が紫陽花を送ってくれたのも、他の跡取り候補が脱落しそうだからだけじゃないんじゃないかと思う。彼女の存在が、今まで血縁にこだわり続けた義父の心にわずかでも影響を与えたからではないかと。
    敏也の事も、養子にしてしまうことで受けるであろう嫌がらせから守る意味で、あえてしなかったのではと思う。性善説すぎるかな?
    亜沙子と敏也が結婚して、ゆきと3人、本当のこと家族になったら嬉しいなと思う。もちろん、しーちゃんもね。

  • たくらみが挫折したにしては、気持ちいい終わりです。

  •  亡くなった兄の子供を引き取って育てる。しかも独身の若い男性が。現実的にはその大変さに、両者ともに悲惨な事になりそうですが、二人とも理想的に成長していきます。子育てに協力してくれる友達がいたからこそなのですが。その二人の温かさが素敵です。
     

  • 心の底から、ほっとしました。なんというか、もう、ほんと、よかったぁ、と。
    家族って、親族って、血縁っていったいなんなんだろう。
    親がいて兄弟がいて一緒に暮らす。当たり前のようなその風景を当たり前に持てない人がいる。
    自らその関係を捨てる人がいて、心がねじ切れるくらいそれを求める人もいて。
    一歩、身を引いて見ればすぐそばに「家族のようなもの」があったりするのに、なぜ気が付かないのだろう、「血」にこだわる人たちは。
    血の繋がりっていったい何なんだ。その呪縛に囚われている間は、誰も幸せになんてなれないのだろうか。
    天涯孤独となった結希、彼女を守ろうとした父と母、打算と野望で彼女を引き取った敏也、彼を助ける友だち、その全ての思いが人としての、かけがえのない大切なものを教えてくれる。

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