感情8号線

著者 :
  • 祥伝社
3.31
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本棚登録 : 477
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634803

感想・レビュー・書評

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  • 気付いたら愛情が執着へと変わっている瞬間に気付く。
    それは家族に対するものでも、友達に対するものでも、恋人に対するものでも、好きな人に対するものでも。
    幸せになれないのは自分のせいなのかどうかさえわからない。
    どの登場人物も何かを否定する言葉を使いながらも最終的に何らか希望を見出す形で終わっていく。
    だけど別の章でその希望は簡単に壊れてしまうような脆いものであることに気づきとても不穏な空気を感じる。
    里奈が好意を抱く気配がする小山くんは絵梨にDVしていた貴志くんだし、真希の彼氏である公太くんは里奈とも関係を持ち麻夕からのアプローチもスタートする。ほかの登場人物も手放しに幸せとは決して感じられない。
    最後まで読むとまた最初の街に戻って絶望と希望を繰り返すような気配がある。
    意外とみんなを出し抜いて幸せになっていくのは唯一自分の章がないミクさんなのかもしれない。

  • 着飾らない恋愛小説。好き。

  • 大人の女性目線のリレー式恋愛短編集。
    20代30代の男女が登場する。
    全員がなんとなく人生をこじらせてる感じが上手に表現されている。
    文章がしつこいな~と思わせないのでストレスなく先が気になりどんどん読めた。
    ハッキリとしたエンディングはないがそこも不満には感じなかった。
    続編として男性目線の作品もお願いしたいものです。

  • 役者を目指して上京、中央線沿いのワンルームアパートに暮らし荻窪の餃子屋でバイトする真希。同じバイト仲間で役者目指してる貫ちゃんは3歳上、劇団主宰のミクさんと付き合ってる。先週入った麻夕ちゃんは田園調布から来ているー

    ◆感情の輪を環八に例えて感情8号なんて絶妙だな-。荻窪で真希に同情、麻夕の空回りに苛苛したけど…八幡山でミクのいい人具合、千歳船橋で亜美の残念な見栄っ張り感を感じてたけど、千歳船橋と二子玉川で感じた「里奈憎し!」が上野毛で可哀想になって田園調布でヨシヨシ、これは…( ̄ー ̄)ニヤリ。

    ぜひとも公太に一番罰当たって欲しい

  • 【あらすじ】
    荻窪、八幡山、千歳船橋、二子玉川、上野毛、田園調布はすべて環状八号線沿いにある街。直線距離では近いけれど、電車で行くのは不便だ。 同じ道沿いだけれど、街の雰囲気も住む人の生活レベルも全然違っている。もちろんそれぞれの悩みも……。すぐそこに幸せはあるはず。なのに、どうして遠回りしてしまうのだろう。環状八号線に住む人々のリアルで切ない恋物語。

    【感想】

  • 不思議な書名だと思っていたが、読んで納得。荻窪、八幡山、千歳船橋、上野毛、田園調布がどれも環八沿いにあるということに初めて気付いた。東京やその近郊以外の人には分かりにくいだろうが、敢えて、これらの町の雰囲気に合った人や暮らしぶりを登場させ、それぞれのストーリーを進めていく。しかも、これらがみな絡み合っていて、1つ1つは短編として、全体を通じて長編として読めるようになっている。凝った作りだが、こういうのをさらっとやってみせるのが著者らしい。
    それぞれの町に住む登場人物が、あまりにも町のイメージに対してステレオタイプだと思ったが、よく考えると、町のイメージは、各登場人物のキャラを立たせるためのアイコンに過ぎず、例えば、荻窪に住む劇団員というのは、フリーターをしながら演劇を志す人という人物の特徴を際立たせるために、荻窪に住んでいるという設定にしただけではないかと思えてきた。
    いずれにせよ、恋愛や結婚を中心とした現代の男女を描く小説として、面白くできている。

  • 環八沿いの街で暮らす6人の女性達の連作短編。
    片思いをしていたり、DV被害にあっていたり、新婚なのに元カレと再会したり、キャリア志向だったのに専業主婦だったり、不倫をしてたり、みんな色々。
    それぞれの話がリンクしているので、見る人の立場で、それぞれが違うように見え、それが面白かった。
    よそから見れば幸せそうでも、別の立場では悩んでいたり、人の暮らしや気持ちをのぞき見てるような気分になります。

    途中、人間関係が複雑に感じ、思わず相関図を書いてしましましたが、なんてことはなかった(笑)

    里奈の新しい恋の行方が気になります。

  • 有川さんの「阪急電車」を
    思い出しました。

    こちらの連作集は
    六人の素敵な女性に特化しての
    感情物語。
    六人の女性のそれぞれの視点からの
    語り口が素直読んでいる者の気持ちに入ってくる。

    好きだけれど嫌い
    嫌いだけれど好き
    よく聞く言葉を物語ると
    こんなふうになるのでしょうね

  • 切なかったけど、いろんなことを感じて、勇気ももらえた本。

  • 最近全然読書してなかったけど、久しぶりに読んでみたら2日間で読了。
    私と同年代の女性たちの、リアルな恋愛模様。誰に感情移入ってわけでもないけど、共感とかなるほどな、と思った。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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