チャイルド・ライフの世界―こともが主役の医療を求めて

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著者 : 藤井あけみ
  • 新教出版社 (2001年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784400527121

チャイルド・ライフの世界―こともが主役の医療を求めての感想・レビュー・書評

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  • もう少し具体的にチャイルド・ライフ・スペシャリストについて知れればよかった。けど、この本をきっかけにこの仕事の人たちが日本に紹介されたと思うと大きな仕事だったんだろーなぁ。
    子供に向き合う職種としての葛藤みたいなものがもっと知れると、親近感もわくし、私にとって学びに繋がるかも。
    でも、最後のチャイルド・ライフ・スペシャリストについての概説は初心者には良かったと思います。

  • 「チャイルド・ライフの世界」といっても、ここで扱うのは単に子どもたちの世界、モダリティの理解という話ではない。本書の主張の核たる部分はサブタイトル「こどもが主役の医療を求めて」というところにある。
    治療を怖がって処置室に入れない子ども、兄弟が入院中の子どものケア、病気の内容について子どもに知らせない医療従事者や親…そうした現状を変え、入院治療中の子どもを一人の人間として扱いながら精神的にサポートするためのスタッフである「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」の理念と実践について、著者自らの経験を豊富に交えて解説されている書籍である。大学院での実習中に、治療のために足を切断した子どもを見て動揺してしまった…といったエピソードが無数にあり、著者が実践的な技術と理念を体得するまでに多くの衝撃、自分の考えの変化を体験してきたことがうかがえる。

    思えば、入院中に自分の病いについて誰も話題にしないのは怖いことだ。子どもたちからすれば「親も話せないような恐ろしい病気に違いない」とか、「どんな痛い治療が待っているのだろう」とか、そういった想像をしてしまうのも無理はない。あるいは、たとえば「痛くないからねー」といった説明をして、子どもを治療に向かわせれば、子どもは「騙された」という印象を強く持つことになるだろう。おしなべてこうしたやり方は子どもとの信頼関係を損ねて、ゆくゆくは子どもの発達に悪影響を及ぼすものに他ならないと著者は指摘している。
    ではどうするか。ここで必要となるのが、医療の現場に第三者の立場=治療行為の実践とは無関係な人物として場に臨む「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」であるという。子どもたちと時には語り合い、時には遊び、大きな手術の前には「中の様子を教えてね」みたいな役割を与えることで、子どもたちを主体的に治療に関わらせていく。一方的に大人から子どもへと指導をするのではなく、子どもたちの可能性を引き出すというスタンスがここには通底している。これは現場の看護士や医師にとっても、実践を円滑に進める上で重要なものだろうと察せられる。

    一方で、「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」なる職種がどの程度、メジャーなものとなっているのか、現状はよくわからない。きっと、導入してみたいけれど出来ない事例や、導入してみたけれど思ったような結果が出ない事例など、普及すればするほど別の問題も出てくるのだろう。本書は2000年(mixiの表記だと2001年になってますが)の出版であり、現状がどうなっているのかちょっと興味深かった。

    「子どもが主役」という言葉は示唆的である。「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」という第三者が実践の場に加わることによって、子どもが担う「病人」という役割が変化する。これはともすれば閉鎖的になりがちな専門家コミュニティの場に、「よそ者」を入れることで状況が改善される可能性を示す面白い事例だと思う。同様の構造をほかの実践の場に持ち込むとして、たとえば大人の場合はどうなのか(大人も重病の場合は告知されなかったりする)、教育の場ならどうなのか(教師―生徒関係に何か変化が?)、などなど色々と興味を引き立てられる一冊でした。

  • チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)とは病院で子どもたちの精神的サポートをする職種。アメリカ・カナダで取得できる資格です。
    日本でのCLSの草分け的存在の藤井あけみさんが自身の体験を交えてチャイルド・ライフについてやさしく語ってくれています。一貫して語られるのは、子どもの視点に立つこと。病棟で孤独と恐怖を感じずにはいられない子どもたちの徹底的な味方となる存在であり、遊びや日常性の大切さ、子ども主体の医療こそが治療を円滑に進めること、などを伝えてくれます。
    優しい語り口で、たいへん読みやすい本です。

  • 中学生か高校生の頃CLS関係の本を探して最初に読んだ本だと思う。概要を知るにはよかった気がする。

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