雪の女王 アンデルセン童話集(1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (131ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403031014

感想・レビュー・書評

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  • 人の愚かさや身勝手さ、人生の悲哀をイヤというほど痛感させる、子ども向けどころかむしろとっても大人向けなアンデルセン童話集。

    いい歳した大人だからその味を噛み締めて色々なことを考えられるし、楽しめる。
    けれど、もし未就学児の時にこれを読み聞かされたら、正直全く楽しくなかったどころか理解不能と思う。
    いや、普通の親なら、これは子どもに与えないと思う。
    それぐらい、世知辛テイストの強い作品集。

    エドマンド・デュラック(1882-1953)の流麗な挿絵は大人視点では見事だけれど、異形の生き物が多く描かれ、茶色味のまさった地味な色彩は子どもウケはあまり良くなさそうだし。

    内容的にも視覚的にも、徹底的に大人仕様。

    「雪の女王」、「豆つぶのうえに寝たお姫さま」、「皇帝の新しい服」、「風の話」の四編を収録。

    一般的には「裸の王様」の名のほうで知られている「皇帝の新しい服」なんて、職場で上司の顔色を伺ってうまく意見を言えない社会人を明らかに皮肉ってる。
    でも、企業勤めの人には、覚えがあって胸が痛いと同時にわりと共感せずにはいられないと思う。

    「風の話」なんて、裕福で美しい貴族のお嬢様が、父の事業の失敗と狂気ゆえに没落して、結局…。

    いやもう、夢ある子どもには読み聞かせられないよ…。
    でも、いい歳の大人である私は、短くも巧みに切り取られて描かれたそれぞれの人生の悲哀を噛み締めずにはいられない…。

    アンデルセンの意外で奥深い世界が楽しめる一冊です。

  • アンデルセン「雪の女王」は童話として有名だが、大人も楽しめる豪華本が新書館から出版されている。荒俣宏訳は言葉が美しく、「子供用」では味わえない話の深さ、人生の喜び、哀しみをしみじみ味わう事ができる。挿絵のDulacは20世紀初頭に活躍した画家で、ブルーを多用した絵が印象的であり、特に表紙の絵は寒々とした中にも女王の神秘的な美は息をのむ程である。紙も印刷も良質で繊細なタッチや色がきちんと表現されているのも嬉しい。(A.N.)

  • 手に入りにくいというデュラックの挿絵本、素敵な古本屋さんで見つけちゃった。おはなしの方はまぁまぁ、かな。27 Dec 2006

  • 美しい挿絵の美しい物語。

  • 雪の女王は男の子をさらう、悪者のように捉えている人が多いと思うのですが、直接的な訳本を読むと、雪の女王の感情的な部分はあまり描かれていません。登場回数も少ないのです。ゆえにミステリアスで、執着心がなく、気まぐれな、まさに自然界の雪のような雰囲気。あたしはそんな、どこか飄々とした雪の女王が好きです。
    デュラックの挿絵も見る価値あり☆

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著者プロフィール

デンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen、1805年~1875年)。

「2022年 『即興詩人 初出影印版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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