雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~青~

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  • 新書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403220883

感想・レビュー・書評

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  • 志緒age15〜18/桂age28〜31

    はるのうた〜
     さようならは、然様ならば。
     そうしなければいけないのならば。
     意志とは違う何かの作用だと、諦めるように、断ち切るように。

    なるほど…ぐっと来ました(u_u)

  • 『雪よ林檎の香のごとく』の続編。と言うか、同人誌などをまとめたもの。
    志緒の成人前のエピソードを集めたもの。
    短編集だけど、どのエピソードも繊細だけど鮮烈で、満足感がありました。
    本編よりも文章の美しさが際立って素晴らしかった。

    私の普段の好みから言うと、大人の恋愛物が好きで、
    主人公が若すぎるお話は共感しづらいのですが、
    このお話は志緒の若さ・青さ・真っすぐさが愛おしかった。

    桂視点から志緒の滑らかな成長を観察するのも良かったし、志緒視点から大人な桂のわずかな綻びを愛おしく思うところもグッときました。


    一番好きだったお話は「感情教育」。
    志緒が痴漢に遭う話ですが、いや~スカッとした。
    志緒の潔癖な直情さも良かったけど、
    桂が志緒のために怒ったシーンがほんと好き。
    でも一番カッコ良かったのはお父さんw

    「はるのうた」の卒業式もホロリときたし、
    書き下ろしの「死」について二人が意識するエピも好きでした。

    あ、エロはちょっとだけあるけど、卒業寸前まで耐えた二人なので、後半までほぼありません。
    一番エロく感じたのはやっぱり「感情教育」かなー。
    「やらないやらしさ」って言うのいいですね。

  • 志緒、桂の様々な物語が読めて、よかった。
    りかの志緒に対する気持ちも。
    2人の世界がほんとに、かわいい。
    最後の話は、色々考えさせられた。

  • 在学中、卒業までの短編集。
    本編で書かれなかったあれこれ。

    2人の歴史、それぞれの視点、気持ち、本編では語られなかったあれこれがつまってて、感無量。
    ありきたりのような事柄も先生と生徒、歳の差、男同士というフィルターがかかり、より心揺さぶられてしまう。

    2人のスゴいところは、本当に純粋に好きって気持ちだけで繋がっていること。世間に知れたら色々と失うものの方が多い関係だけど、後ろ暗さが一切なく、好きって気持ちの強さがとても強調されてると感じた。

    そして、志緒が本当にどんどん大人になっていって、その成長に感動。トゲがなくなって、相変わらずめんどくさそうな子だけど、それなりに素直で良い子になってる。桂のそれが嬉しい気持ちと、受け入れながらも複雑な気持ちが入り混じっていて、ちゃんと教師なんだけど、ダメな大人な部分とか人間味溢れていて、とても好き。

    本編では、15才の生徒(男)を好きになってしまう葛藤が足りない気がしてたけど、これを読んで桂の気持ちが知れてよかった。

    とにかく、本編読んだら、これも読むべきだな、と思った。

  • 2020/12/23-12/28

  • 先生と志緒ちゃんファンにはたまらない一冊かも。本編の裏話?北海道から帰ってからとか、卒業式とか、本編にはなかったストーリーが読めます。
    それにしても本編も久しぶりに読んだけど、この人本当に描写が上手いな!!なんかBLだけじゃもったいないんじゃ・・・ってくらい。普通の小説書いてもじわっとした心理描写してくれそうなんですが。まぁBLで楽しませてもらっているので、全然構いません。

  • 青編は志緒ちゃんが成人前の同人誌やSS、小冊子などを纏めたもの。同人誌は既読だったので読んでないものを抜粋しながら楽しみました。書き下ろしの作品は感想でなく、ウチもガン家系なんだよなとか、そういえば旦那ももうすぐ会社で健康診断だけど引っかからないといいなとか、現実的な事を考えてしまった… こうやって時間軸に沿って纏めてもらえて読めるのは良いですね。

  • なんだか厳かな気持ちで読み始める。青の方は先生と生徒なのでそのへんのシビアさが読んでて少々辛かったです。

  • 志緒ちゃんに恋し続ける先生が素敵。すごく育んでるって感じで。

  • 【雪よ林檎の香のごとく】の薄い本やらブログSSやらを纏めた作品です。
    実は一穂作品、ある時期から相性の悪さを感じて読むのをやめて
    しまったのですが、このデビュー作は未だに売らずに手元に残してます。
    このたび、総集編ともいえる作品が出るとのことで、少し不安では
    ありましたが2冊同時に購入。

    こちらは青で、志緒が成人する前までのエピソードです。
    本編の行間をみずみずしく書かれたものや、志緒の卒業、そして大学入学。
    大学生になって、自由にはなったけれども、もう二度と戻りはしない時間。
    変わりゆく景色の中で、志緒と桂が些細なことで幸せを感じ、そして
    一緒にいることの尊さを噛みしめる。
    志緒の成長を確かに感じることができたり、二人と同じように読者にも
    流れている時間を意識させたり……。

    デビュー作時点で自分はもう桂側からものを見てしまう汚れた大人
    でしたが、今回纏まった形でこうして読んでみると、過ぎた時間に思いを
    巡らせ、なんだか少し恥ずかしいような甘酸っぱい気持ちになりました。
    書き下ろしは桂の同級生の死をきっかけに、自分と志緒の【死】について
    意識するネタになってます。

    とても充実した内容でした。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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