- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784403231186
作品紹介・あらすじ
司馬遼太郎が言うのとは逆に、日本は明治維新の近代化路線からすでに間違っていた。長寿だけが価値になってしまった現代日本のニヒリズムに抗するには、保田与重郎と特攻隊の思想しかないのではないか、と佐伯啓思は問う。ニヒリズムはもともと人間の条件、金融危機はそれが露わになっただけにすぎない、人間のすべての表現活動において、いまこそ核心的な問いが問われはじめている、と三浦雅士は応える。対論4篇、論文2篇を収録。
感想・レビュー・書評
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良くも悪くも対談本です。
噛み合わない箇所もありますし、これはちょっとという箇所
もございます。要は、捕手と革新の対立にあり、革新勢力が
どうにもおかしいだろうと。日本人故のおかしさもあるでしょうし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モダン理解をわかりやすく書いた「身体の零度」からの延長で三浦氏の新刊を手にとる。
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佐伯啓思氏の文章から引用
ミクロ的な投資主体のリスク管理は合理的になされる。
金融市場の効率性は合理的に提案できる。
市場経済の効率性は達成できる、としよう。
しかしそれですべてうまくいくかというとそうではない。
問題は、それらをすべて統合する「社会全体」を見る視点がまったく欠如している点にある。
そして、社会全体を合理的に管理できる科学は存在しない。
社会とは、政治・経済・宗教・地域共同体・歴史的構造などの複合以外の何ものでもないからだ。
だから、社会を一定の方向に導くには、全体を統合する「価値」が必要となるのである。
ニーチェはそれを「パースペクティブ」といった。
社会について論じるとは、常に、一定の視点(パースペクティブ)から論じることにほかならない。
つまり、ある「価値」を選択するほかない。
としている。
この著作は、佐伯啓思と三浦雅士という智慧・知識の巨頭が人間社会が歴史的に希求してきた「価値」について縦横無尽に語り合ったものがたりなのである。