シュガーギルド (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403522871

感想・レビュー・書評

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  • 2022/01/01-01/02

  • かなりもどかしい二人の恋心、読んでてやきもきしましたが、読後感は幸せでお腹いっぱいです。

  • 商社で働く二人とかきっとお仕事で大変な目に合うに違いないと思ったけどそういう話じゃなかった。
    過去と現在をいったりきたりしながら感動的に盛り上がって終わるのはいいんだけど、やっぱその後をもうちょい見たいのよね。

  • 何がいいって、話の舞台や二人で過ごした時間がいい。ついつい紋別に行ってしまいました(笑)
    一穂さんの話はいつも仕事が深く関係していて、とても難しくてうんうん考えながら読むことがあります。どうしてこんな発想できるんだろう、本当に頭の良い方なんだろうなって思っちゃいます。ただの恋愛話にはさせてもらえないのです。登場人物達が一生懸命に働く姿を読むと、私も頑張らないとなーって感想とは別のことを思ってしまいます。仕事に対して一本すっと芯の通った人達が多いと思う。一穂さんのスタンスなのでしょうか。
    登場人物ももちろんどちらも魅力的ですが、健気な白石くんがかわいくて仕方ない…。成就して本当に良かったね、と思わせる作品です。あと、紋別に行きたくなる作品です(笑)

  • 旅先で行きずりのつもりで出会った相手と八年ぶりに帰国した日本で上司と部下として再会するが……粗筋だけ聞いて予想していたのとはいい意味で違う、が第一印象。
    モチーフづかいもキーアイテムの登場も「仕事」やこだわりが作品世界を引っ張っていく様も一穂さんならではだなぁと。
    ディアプラス文庫ですが、書き下ろしなのでじっくり一冊分の尺で世界に浸れるのもまた良きかな。

  • すっごーーーいツボ♪
    おじさんの域に達した主人公が私にはすっごく読みやすかった。

    それにしても一穂さんの小物使い、うまいなあ。
    マネークリップにはやられたあ。

  • 和の一途さに脱帽です… 8年、和の年代だったらさぞ長く感じられただろうに… ひとつのマネークリップ頼りにどんな8年を過ごして来たのかと思うと切なくなりました。

  • ▼あらすじ
    八年のイギリス駐在を経て日本に戻って来た達生(たつお)は、帰国したその足でオフィスに向かい、 海外赴任中に入社したり異動してきた社員たちと初めて顔を合わせることに。
    しかし、達生の存在に気づいていないのか、ひとり黙々と仕事を続ける男がいた。
    その男――和(なぎ)は、渡英直前に旅先で一夜を共にし、置き去りにしてきた相手だった……。

    白くて、四角くて――砂糖みたいにとびきり甘いきみ。
    大人のためのビタースウィート・ロマンス。

    ***

    途中で何度も目頭が熱くなりました。
    BL小説でこんなにも心が揺さぶられ、感動したのは久し振りです。
    一度読み始めたら止められなくて、一気にラストまで読んでしまいました。
    読み終わった後、口から思わず深い溜め息が。何て素晴らしい作品なんだろう、と。

    この方の作品は初めて読んだのですが、最初は、「何だか不思議な文章を書く方だなぁ」と思いました。
    不思議といっても悪い意味ではなく、どこか詩的で美しい響きがあるというか。
    言葉の選び方だとか表現の仕方が独特で、心にストレートに訴えかけてくるような。
    例えば、こんな感じで。

    “和は笑った。
    ふわりとほどけた口元や頬や目は、いつか飲んだ、湯を注ぐと花のかたちに開く茶を思い出させた。
    誰かの中国の土産だった。とても良い香りがした。
    解き放たれたように細い葉を広げ、ゆらゆらたゆたう様をいくらでも見ていられるような気がした。”

    私はこの美しい表現の仕方に、凄く感動してしまいました。
    そして別の場所で「一穂ミチは文学だと思う」と仰ってる方を見て納得しました。
    確かにこの方の書く文章には文学に通ずるものがあると思います。
    登場人物のリアルで生々しい感情の描写は勿論、とにかく景色の描写が素晴らしい。
    まるで自分までもがその場に立って、見て、肌で感じているような。
    こんなにも五感を刺激する文章が書ける方はBL界では珍しいかと思います。

    キャラクター達も、人間味溢れてて妙にリアルなんですよね。
    達生なんて旅先でまだ未成年だった和に手を出してあまつさえ何も言わずに置き去りにしてしまうんですが、酷い人だと思えないのはそれだけ清坂達生というキャラクターが魅力的で、尚且つ心情が理解出来るから。
    別れのシーンなんて切なくて本当に泣きそうになりました…。
    達生の臆病で卑怯な部分は大人の狡いところでもあり、弱いところでもあり、同じ大人ならば誰もが共感出来る部分なので憎めないんですよね。
    それどころか終盤は背中を思いっきり押して応援したくなりました。

    ラストが少し駆け足気味だったので、前半のようにもっとページを使って煮詰めてくれると嬉しかったのですが、8年という時を経てようやく想いが通じ合った瞬間はやはり凄く感動しましたし、正直、欠点を上げるのが難しいぐらいかなり面白かったです。
    とりあえず、和がラストでちょっと子供っぽいというか、昔みたいな性格に戻ってくれたのが嬉しかったです。
    「なして?」って方言といい、彼の可愛さは反則…!(笑)
    達生は達生で尻に敷かれそうだし、この続きが読めないのが残念でならない…。

    この作品は、まるで一杯の珈琲に角砂糖を一個だけ入れて溶かしたような。
    ほろ苦くて、それでいてほろ甘い。そんな素敵なお話です。

  • 過去に一度だけ、旅先で出会って寝た相手と職場で再会。そこから始まる恋物語…と、よくある始まりなのに一穂さんの手にかかると単なるリーマンものではない心地よさ。いや、単なるリーマンものも好きですけれども!でも一穂さんらしいお話が読めてとても良かったです。
    描写が少ないにも関わらず、攻めに一度置いて行かれてしまった受のその切なさが読み手に伝わってくる不思議。こういうの本当に一穂さんは上手いです。だからこそその切なさに徐々に気づき、押し込めていた恋心が再燃していく攻に、ずるいなあという気持ちを持ちつつも読後はほっとしました。
    一途な想いが何年もかけて成就する。とても美しい恋物語でした。好きです。

  • 過去、現在が4:6くらいで書かれてた。
    ロンドンを8年勤務したあと旅先で出会った人と再開って、もっとドラマチックな話を想像してたら違ってました。一途に想い続けてたんですね。
    現在から話を進める場合、過去はさらっと書いて現在を中心に書いて欲しいな。現在の二人の心情がわかりにくかった。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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