meet,again. (ミート・アゲイン) (ディアプラス文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403522956

感想・レビュー・書評

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  • 一穂ミチ先生の作品再読

    10年前の作品ですが上手いなぁ…と
    繊細な心理描写にモヤモヤドキドキ

    ほんのちょっとの仕草、セリフ、数行の描写で
    栫が変わって行くのが分かる…

    《あとがきにかえて》 
    毎作品にありますが…
    何気にコレが楽しみです!
    毎回グワッと心掴まれます(u_u)



  • 『雪よ林檎の香のごとく』のスピンオフ。あのヤンデレの栫先輩のお話。(デレはどこだよ!)いざレビューを書こうと思った時、このお話は一体何にカテゴライズされるのか一瞬考え込んでしまった。結論として、サイコサスペンスかなと少し思った。恋愛はあくまでも付加的なもの・・・っていうか、これを恋愛小説と呼んでいいのか、わたしには正直わからなかった。『雪よ林檎の~』でも、栫先輩は十分に壊れている人だと思っていたけど、そんなもんではなかった。その壊れっぷりは半端ない。ただ、本作を読むと、栫の人格がどうして壊れてしまったのかの理由がわかる。プロセスは詳しく明かされていないけれど。
    それは、五歳の時に突然行方不明になってしまった結合双生児の兄弟の禄朗の存在。
    ふたりは完全なシンメトリーだった。ふたりでひとりだった。だから栫に残されているのは、失われた半分の強烈な不在。片割れがいなくなってしまったのに、どうして自分だけが残っているんだろうという自分の存在意義への単純な疑問。そして彼の両親は、『失くしたものを気に病むあまり、その手に残されたものを健やかに育むことができなかった』
    それは想像を絶するような人生だったのだろうな。希望を持ち続けることの絶望を目の当たりにしてきた人生というのは。
    栫は周りにいる人たちを恐ろしいまでの冷静さで観察し、誰にも見られたくない秘密を暴いてしまう。でもそれは、彼にとってはゲーム、ほんの暇つぶしに過ぎない。それぐらい歪んでいる。きっと彼には感情のフィルターはないから、物事がありのままの正確さでみえてしまうのかもしれない。そんな栫だけれど、嵐は特別な子なのだろう。賢くて強い。栫の人格が破たんしていて、決して自分を愛したりはしないだろうとわかっているのだけど、やっぱり好きだからそばにいるのをやめない。それを選んだのは自分だと言い切れる潔さがある。嵐は栫の予想の斜め上を行く。だから、貴重で大切でおもしろい。栫にも嵐をグシャリと壊すことができない。だから、きっと手放せない。
    エンディング、行方不明の禄朗が白骨遺体となって発見される。それがわかった途端、栫はこんこんと眠り続ける。生きることをあっさり放棄するみたいに。まるで禄朗のいない世界では生きたくないというみたいに。
    でも、嵐の声で目を覚ます。
    『あなたが、確実に存在する世界なら、まあ、起きてもいいか』と思えるぐらいに、嵐は特別な存在なんだろう。
    この物語には、目に見える形のハッピーエンドは何処にもない。でも、ふたりはふたりにしかわからない形で、きっと幸せなのだと思いたい。
    読後、ホッとしてうっすら笑いたいような、泣きたいような、そんな気分になる。

  • 『雪よ林檎の香のごとく』に出てきた栫くんのおはなし。壊れてしまった攻めとピュアで、でもピュアなだけじゃない強さと痛みを知ってる受け。ハッピーエンドとは言えないけれど、この二人でしかありえない特殊な関係性を丁寧に描いてる。BL的な萌えもありつつ一般文芸にも通じそうな空気感で、一穂ミチという作家の独自性をあますところなく味わうことができる。傑作。

  • 人気作のスピンオフ。うーん、私には難解すぎたのかも。
    とにかく互いが恋に落ちる心の動きが理解できなかったのが大きな敗因。キャラクターはいいんだけどね…。一穂さんは大好きな作家さんなんだけど、私的に合う合わない話があるので残念だったな。

  • 一穂さんのデビュー作である作品のその後のおはなし。
     ※主人公の志緒がちょいちょい出てきます。

    読み終えてから、ふふふ…と笑ってしまった。
    あまりにもわからなすぎて、いろいろと。
    理解・共感・納得、ただのひとつもできないままだったのに
    文章がサラサラとした砂みたいで、気付けば読み終えていたという。。
    なんだろう、この感じ。
    重苦しさが後からじわじわ効いてきそうな・・・

    <関連作品>
    『雪よ林檎の香のごとく』

  • 久しぶりに読む一穂さん。なんというか静かに押し寄せてくる感じ? スピンオフなのに気づかずに本編より先に読んでしまったこともあるかもしれないが、主人公たちの性格や関係性がいまいちよく掴みきれなくて、深く理解ができないまま終わってしまった。本来本編なしでもスピンオフだけでも十分に楽しめた作品かもしれないが、私にはちょっと情報量が少なかったようだ。もう少し彼らのまわりの背景が見えていたら理解が深まったのかもしれない。

  • 「林檎」のスピンオフ作品。「林檎」での栫くんがどうしても許せなくて、栫くんの印象がわかるかも、少しは好きになれるかも、と思い読みました。

    うーん。正直やっぱり好きになれない。悲しい過去と浮き沈みのない感情。それでも、少しずつ少しずつ変化をみれたな、心が動いているのかな、と最後の方は思えて、嵐に報いてほしいと願いました。

    逆に嵐のことはとても好きになりました。とても普通で素直で優しくいい子。そして、栫を好きになってしまうということに悩みはすれど逃げない姿勢も強いな、と感じました。普通むりでしょ。
    きちんと恋をしているし、悩みながらちゃんと生きてる。
    栫には嵐のような、ちゃんとした普通の男の子が必要だったのかな。

    志緒ちゃんと、美夏ちゃん(「林檎」より出番が多いと思う)が出てきて、嬉しかったです。そして、志緒ちゃんも、あんなことがあったにせよ、一応、栫と交流を持っていることに、懐の深さを感じました。

    最後の居眠り栫の件は、ちょっとよくわからなかったですが、嵐が穏やかに幸せになって欲しいです。

  • 【読んでよかった】
    [雪よ林檎の香のごとく]に続く今作。レビューに“少し暗い内容”とあったので覚悟して読みました。
    結果、読んでよかったです。

    前作でも独特な存在感が溢れていた栫。人の嫌なこと(普通じゃやらないこと)を悪びれた様子もなく淡々とやってしまう敵にはしたくない奴。というのが栫の印象でしたが、読了後は元の印象は変わらないですが「もしかして悪いとも相手を陥れようとも思ってないのでは」と感じられる要素がちょこちょこ散りばめられていた気がします。

    “欠如”
    今作を言い表すとしたらその2文字かなと思います。

  • 2021/03/26-03/29

  • 「雪よ林檎の香のごとく」のスピンオフ。なんて言うか、とても感想を上手く伝えるのが難しい1冊です。栫の破綻した人格は読んでいて痛いし重いし、嵐にそこまで想われる何かを持っている様にも思えない…。でも、なんか、ウ~ン… それだけだと嫌いな雰囲気になるのですが、そこまでいかないというか。読み終わってこんなに困ったのは初めてかも知れない。また読んだら今度は上手く感想を書けるかな…。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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