さよなら恋にならない日 (ディアプラス文庫)

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  • 新書館
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403524219

感想・レビュー・書評

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  • 大学生×リーマン
    何をやっても優秀で人望のある湯原の親友、幼なじみとして彼を羨むことはなかったが、所詮自分は脇役と思って生きてきた雪谷。
    湯原が海外赴任となり、つまらないけど不満もないそこそこの生活をしていた。ある日いつものカフェで店員から読んでいた文庫のことで話しかけられる。次第に顔見知りになった慎が酔い潰れているところを拾った雪谷。そんな非日常がなんだか楽しくて、慎を部屋に置くことに。
    彼は行方不明にの叔父を探しに東京にやってきたと言う。その叔父は慎の初恋の人。驚きはしたが、熱心に叔父を探す慎と付かず離れずの距離を保って生活していた。
    しかし泣いている慎を見て、合意のような事故のような形で関係を持ってしまい、それ以来幸せだけど叔父が見つかれば出て行くことに不安は募るばかりで…

    以下ネタバレ
    行方不明の叔父は海外赴任した湯原と同棲していた。結婚する。と言う湯原からの紹介でまさかの展開に混乱する雪谷。しかもその叔父は雪谷自身と似ていて…
    叔父が見つかれば慎は出て行く。それにまさかの叔父と自分が似ている。所詮自分は脇役。身代わりでしかなかったと取り乱す雪谷。
    そんな雪谷に慎はぶつかっていく

    なかなか読み応えのある展開だと思うし、雪谷もネガティブなばっかりじゃなくて、ちょっとした非日常にウキウキしてたりしてて可愛いです。クールな感じで、スペックも高いのに湯原って親友がいたせいでちょっとヒネてますが。
    湯原のとこがケンカカップルなので、とばっちりを受けながらも慎に甘やかされていけばいいんじゃないかと思います。

  • お互いそれぞれに心を囚われた人がいる中での出会い、そして同居です。
    なんか…2人のいちゃラブシーンが、読んでてとても幸せな気持ちになりました^^
    身体を重ねることに対して、受がとても安らいでいて幸せそうだから、読んでるこちらもほんわか幸せな気持ちになります。
    だからこそ一転して修羅場になったときの受が悲痛で、読んでて誤解なのは分かるんですけど、“選ばれない自分”に泣いて喚いて、さらにそんな自分が嫌で惨めでどんどん自己嫌悪に陥る受に泣けました。
    まあね…あれだけ周りに幼馴染推しなこと言われたら嫌にもなるよなーって感じ。
    この作品、人によっては幼馴染エンドを希望する人もいそうだなって展開でしたね。
    ちょっと方向を変えたら、幼馴染エンドでもうまく全員がハッピーエンドになれたような印象でした。

  • 面白かったー!アホだから初め、話の展開が読めなくて。主人公雪谷さんが、いつもつるんでた友達が海外行っちゃってなんかつまんないな~、ていうかふと気づくとどいつもこいつもその人の話ばっかりで、何しても自分は脇役だな~……
    って、もやってる。
    その人が好きって訳ではなさそうだし…その人、湯原さん自身は登場しないし…。

    ふとしたきっかけで知り合ったカフェの店員さんは、作家である彼の叔父を探してると言う。
    小さいときからその叔父さんが好きだと。
    ふーん??
    て読み進めるうちに、え?そうなる?あ、そうなの?ってビックリ。いや、先を読める人なら予想できたのかもしれないけど。
    4人の人物の気持ちを想像するとこんがらがる!雪谷さん、平凡に何も不満なく淡々と過ごしてたつもりが、実は複雑な思いや根強いコンプレックスを持ってる。それを暴くのも癒すのも、長い付き合いの湯原さんではなく慎さんだけってのが、後から沁みてくる。

    脇役たちの恋、みたいなタイトルだったらそういう頭で読んじゃうけど、そうじゃないから本当にどーなるのかな?ってドキドキしながら読んだ。
    え、これ、スピン?てくらい、実は庸介さんみたいなタイプの方が主人公になりやすそうだけど。
    庸介さんからみたら、自分に似てて、でも自分より洗練されてて頭もよくて器用な雪谷さんなんて、羨望と嫉妬の対象でしかなくない?そりゃ、不安になるよね…焼け木杭になんとやら。みたいな。
    湯原さんにとっても、ずっと何しても振り向いてもらえるどころか感情を動かせなかった、と思ってた雪谷さんをあんな泣かせるのが、昨日今日知り合った大学生の若造かよ!って思ったらそりゃ悔しかっただろうし。
    慎も、自分の気持ちをもてあまし、どうしていいか分からず、そんな時に湯原さんを目の当たりにしたら焦りと不安があっただろうし。

    客観的には、クールで何でもしれっとこなしてるように見えるんだろうなあ雪谷さん。だけど実はこんなに自分を諦めてる人だった。
    何か切なさがものすごいいい~!最後の感情爆発シーンとか、めっちゃいい~!自分で自分のことを整理できなくて混乱してる雪谷さん、っていうのがすごく、リアルで、キュンとした。

    これだから渡海先生にはまっちゃうんだよなぁ。
    そして神シリーズからの、みずかね先生イラスト続き。たまたまだけど、おっ!て感じ。
    良かった。もっと読みたい。

  •  雪谷は、それなりの企業に勤め、そこそこモテる会社員であるが、自分は主人公にはなれないと思っている。
     その原因は、幼いころから一緒だった、親友の湯原が主人公タイプで、全てにおいて雪谷より一枚上手だったから。クラスメイトも雪谷の家族でさえも、口を開けば「湯原」「湯原」。 何をやっても勝てない雪谷は、すっかり諦めてしまった。
     そして、その湯原が海外転勤してしまってからは、誰かと出かけることもなくなり、つまらない毎日を送っていた。

     日課は仕事が終わった後に、毎日行くカフェでの夕食。
     ある日、そのカフェの店員が雪谷に話しかけてきた。
     どうやら雪谷が持っていた本が、彼の叔父の著作であったようである。
     普段、あまり人と楽しく話すタイプではない雪谷であったが、彼との話は不快ではなく、好感を抱く。

     そんなある日、その店員・慎が、街で酔い潰れているところに遭遇する。
     その出来事を、今までなかった自分の身に起きたドラマだと感じた雪谷は、行方不明の叔父を探していて家なしだという彼を、しばらく部屋に置くことにした。

     という話でした。

     淡々とした毎日を送っていた日常に舞い込んだハプニングを楽しもうとしたところ、思った以上の引力で振り回されて、大変になってしまって、感情が上へ下へとアップダウン。
     びっくりするようなことが起こった後に、ぐちゃぐちゃになった雪谷を慎が迎えにきてハッピーエンド。
     書くと結構、バタバタな話のように感じますが、慎が街で倒れるところまで、半分程度、そこから実際に雪谷が慎に振り回されるようになるまで少しかかるので、全体的には落ち着いたトーンの話でした。
     コメディトーンではなく、日常を大事にする話を読みたい方にはオススメします。

  • リーマン受けが行きつけのカフェでバイトしている攻め。ある日泥酔している攻めを拾い、そこから攻めを居候させてあげることになった。攻めは初恋の叔父を探しているという大学生。敬語で遠慮がちだった攻めがなりゆき?でエッチしてからスパダリ感だしてきてなんこれあまあまだよ…。
    受けの中で友人ポジションのはずの湯原氏が思考のあちこちに出てきて違和感なんだけど、やっと終盤で本人登場ですごい起爆剤だった(笑)
    年下攻めスキーなので二割ましで面白かった。

  • 渡海さんの何冊か読んでるけど、これで一気にファンになった。さり気ない出会いののち少しずつ互いに好感を持ちだし、一途でひたむきな慎にほだされる雪谷。展開に無理がなく、するするっと読めました。が、起承転結の転の部分がもう、かなりきつくて、ま、まじか…って。完全にここで持っていかれました。この時の雪谷の気持ちを考えると可哀想で可哀想で涙が。健気な受けならばここは黙って身を引き失踪するところですが、感情の起伏が少ないはずの雪谷が泣き喚きながら思いっきり慎を責め立てる。読みながら思った事を雪谷が全部口にしてくれていたのが爽快でした。結論として、脇カプが主役級だった。これスピンオフじゃなかったよね?作者の意図的にそれで合ってるのかな。

  • 前半不思議な話というか、なんかふわふわした感覚で、BLだっけ?みたいな感じで読んでたので、予想外に最後ぼろ泣きしてしまいました。
    途中で普通に展開の予想はついてたのだけど、もうひとつ先があって、それが結構きつかったです。好きな話でもあるけど。多分それが一番のネタバレだと思うので書けないのですが。でもちゃんとハピエンなので安心して読めます。バカップルになってくれて良かった良かった!
    後半ちゃんと主人公の内面を精神的に紐解いていってくれるので、それがきつくもあるのですが、ちゃんと腑に落ちるし、面白かったです。主人公すら気づいていなかった精神構造。そして泣いてしまった。

  • 予想通りの展開と上行く展開が同時に来てびっくりしました。いちゃいちゃがいちゃいちゃしていて良いです。

  • いつも一緒だった華のある幼馴染みとは、お互いに意地を張り合ってたのね……。主人公の雪谷はともかく、終盤まで姿を見せなかった湯原は、雪谷のことを何かしら思っていたんだろうなぁとは思ってましたよ(微笑)。慎の叔父の魅力がイマイチわからなかったけど、収まるところに収まった、という感じ。雪谷の「求められたい」という密かな欲求が慎との関係にしっかりとつながっているのが、読んでいてスッキリ。

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