今更ご本人作の同人誌を読破する機会に恵まれたので感想。ホモ注意。
最初は小野の魔性のゲイ時代とかフィクション前提の千影×小野だったけど、そのうちガチ小野×橘になって小野と橘が風呂場でかきっこ(!)してしまう。
で橘が、「小野は人間関係が壊れるのが怖くて自分から関係を壊す人間なのでセックスして関係を怖そうとしている」(意訳)けど「俺はお前と永久に好きにならないし付き合わない、だから永遠に別れない(付きあわないことで逆に永遠に一緒にいられるよ)」(意訳)と諭す。
両思いにならないことが一緒にいられる手段なのよというビターな切ない展開。ところでこのとき橘は小野に抜かれた(!)直後なんだけどズボンはどのタイミングで上げたの?
で次の本でガチ千影×小野になり、あとは毎回千影×小野の生々しいエロ描写が繰り広げられる。その中で橘と千影の絆(千影が女だったらケッコンすることになってただろうな発言)に小野がシットして浮気したら千影が「若を置いてどっかに二人で逃避行してもいいです(意訳)」的なことを言ったり、橘に千影と付きあってるのがバレたりする。
で浴衣販売をすることになった際に小野が高校時代の橘との記憶(シャンとしてりゃカッコイイのによーと高校時代に橘に言われたこと)を急に思い出し、橘に惚れ直してしまう。
でも千影は小野にぞっこんラブだし小野も千影のおかげで救われたから千影を絶対に傷付けたくない。橘も千影と小野の関係を知った上で応援してくれてるしこんな抜き差しならない状況で今更橘に告るのは無理。「これが(橘の「ゲロしそうにきもちわりーよ早く死ねこのホモ!」がトラウマになり、自分が傷付きたくなくて好意を持ってくれた人を傷付けまくってきた)僕への罰」なんだ…というのが同人版アンティークのオチである。救いがない。
このあと補足的にでこちゃんが本気で橘と結婚したいけど橘にキツい言葉で拒否られて大泣きし、小野がでこを「橘は優しいから絶対将来ケッコンしてくれる」(意訳)と慰めながら「僕が女だったら多分優しい橘はケッコンしてくれたであろう、女との絶望的な差を見せつけられたけど不思議にあんまりショック受けてないや」(意訳)と感慨にふける話、千影とセックスしてると安らぐので橘は好きだけど小野の精神衛生的には千影と一緒がいいのだ、体の相性もいいし(意訳)みたいな感じで幕が閉じる。
作者的には千影×小野のエロがいっぱい描けて満足だったと思うのだが、同人版アンティークのキモは橘と小野と千影の三角関係だったと思うので、そこの決着がイマイチ浅かったのが不満。
結局小野→橘の何度でも再燃する初恋は解決されなかったし、橘の好いた女に「無理してる」と言われるほど相手に尽くして(優しくして)しまう性格も解決されなかった。解決されてないからこそこそ小野は橘がでこと結婚する未来を確信しているわけだし。
だから物語中での小野と橘の関係はケリが付いていないのに、なんとなく千影という棒がいてにっちもさっちもいかないから、とりあえず幕引き…みたいな尻切れトンボ感があって、腑に落ちないのだった。同人だからしゃーないけども。
この三人の関係で面白いのは深い絆のある橘と千影の両方に小野が好意を寄せることで、どっちと付きあっても2人の絆(しかもプラトニックな絆)に阻まれるところが取り組みがいのある関係性のように思えたのだが、その辺は特に描かれなかった。
というか、本編より(本編で橘から巣立った描写があるとはいえ)橘と千影の関係が希薄で、千影はひたすら小野にメロメロであり、あんまり橘と絆が深い感じでもないのだ(店を辞めて二人で逃避行しましょう発言)。だからあんま三角関係っぽくない。というか、千影があんまりスッキリ小野にメロメロになりすぎて、小野が何しても全く怒らないので、恋愛のアヤ的なものがない。そりゃあ千影は純粋で良い人間だけども、ビッチな小野に対して千影があんまりにも都合の良い攻めすぎてなんか棒って感じが否めないのだ。(最終的に小野も「橘に優しくしてもらうために利用してるだけなんだ」とか言ってるし…)
作品自体は中二のときに夢中で読んで、今読んでも面白いっす。人物にアクティビティがあるよね。