かまいたち

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
3.48
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本棚登録 : 162
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404018878

作品紹介・あらすじ

歴史文学賞入賞の表題作をはじめ時代ミステリーの秀作4篇を収録。ミステリー界のホープが放つ待望の時代小説集第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 宮部みゆきさんがデビュー前に書かれた二作品を含む短編集。
    その二作品が印象深い。単行本にするにあたり書き直しをされた、というけれど勢いかあり読み応えも充分。
    そのニ作品の内、特に『騒ぐ刀』は読んでいて引き込まれた。
    「自分だけは大丈夫だなどと思うなよ。悪心は誰の中にもある。ただ、いつもわしたちは、そういう悪心を知らぬ間に心に矯めて、表に現れないようにして暮らしているだけだ」
    江戸の市井の人々の物語ではあるけれど、遙か令和の現代にも通じる言葉。時代に関係なく宮部さんの言葉は人々の気持に添わせたものが多く、だから我々の心をいつも響かせてくれるのだろう。

    この短編集は、すっかり忘れていたけれど6年前に文庫版で読了済みだったらしい。
    ネット上で回向院の茂七親分シリーズの中にあったので今回は単行本で再読。しかし待てど暮らせど茂七親分は出て来ない。。どうやらドラマ化された時に"題材"として使われただけらしい。ややこしいな〜。
    なので、短編に登場する岡っ引き親分を"若かりし頃の茂七親分"として読んでみた。なるほど見事にピタリと当てはまって、それはそれで楽しめた。

  • もう何度読んだかわからないくらい読み返しているが、そのたびに受ける印象が変わる。
    久々に読み返した今回は、改めて宮部みゆきさんの筆力の完成度に感動した。
    第13回吉川英治文学新人賞をとった後の作品なのだが、すでにスタイルが完成している。作者名を隠して読んでも「宮部みゆきだ」とわかるという意味で。
    登場人物のキャラクターも、描き方も、こんな初めのころから宮部みゆきは宮部みゆきだったんだなあ、と思う。
    表題作の「かまいたち」や「師走の客」も好きなのだが、やはり、霊験お初シリーズの原点ともいうべき、「迷い鳩」と「騒ぐ刀」が素晴らしい。
    特に「騒ぐ刀」は小太郎の存在が、いつまでも心に残るのだ。人の思いは常に一筋縄ではいかず、ねじれたり歪んだりする。それがさまざまな悲しみや苦しみを生み出してしまうのだが、そういった機微を実に見事に描いている。
    まだ駆け出しの作家だったころにすでに連作を目論んでいた、というあとがきが実に微笑ましい。あの宮部みゆきにもこんな時代があったんだなあ。
    登場人物の人間関係や、背後関係が変わっているので、そのあたりを読み比べてみるのも楽しいと思う。

  • 「かまいたち」「師走の客」「迷い鳩」「騒ぐ刀」の4作。
    「迷い鳩」「騒ぐ刀」はお初捕物帖と同じ、お初と午前。
    あとがきに、「迷い鳩」「騒ぐ刀」は
    昭和61、62年の初稿とあり、
    書き上げたときは、「まったくのド素人だった」とある。
    たしかに、
    書き手だけがわかっているような箇所がいくつも見られる。
    今読むと、当然ながらネタの新鮮味はないが、
    江戸ことばは、きれいだ。

  • 宮部みゆきの初期作品で本当にいた南町奉行の根岸肥前守鎮衛が残した耳袋から題材を得た迷い鳩と騒ぐ刀に二作品を加えた~かまいたちと呼ばれる辻斬りは町医者の向かいに越してきた飾り職人なのか。千住の宿屋に毎年暮れに逗留する仙台の商人は伊達家に納める金無垢の干支の置物の二つ目を作って宿屋に宿賃代わりに置いていたが、蛇だけ大きく作りすぎたと渡すはずの置物の質入れを提案するが。目明かしの六蔵の年の離れた妹は蝋燭問屋の内儀の袖が真っ赤に血塗られているのを見た…。同心が手に入れた脇差しは夜吠えるのだが、それを聞き取れるのは六蔵の妹お初だけ、刀鍛冶二人の悲しい物語が隠されていた~宮部さんって本名は矢部でS35年生まれで隅田川高校卒でした。最近の本の略歴にはないだろうなぁ

  • 「江戸市民を震撼させる、辻斬り!それに立ち向かう乙女おようの奮闘小説」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26711

  • 「かまいたち」「師走の客」「迷い鳩」「騒ぐ刀」の4編。表題作「かまいたち」のみ記憶あり。文庫を読んだか、別短編集に収録されているか。「かまいたち」は語り手の医者の娘が危なっかしくて、話の筋とは別にはらはらした。後半2編は、一種の超能力もの。周囲の大人な人の協力をえて解決する話だが、両方とも、特に「騒ぐ刀」は血なまぐさい。ある意味怪奇談なのだが、緊張感がありおもしろい。「かまいたち」とこの2編との間の「師走の客」はまったく血なまぐさくないので、印象が薄くなってしまっている。

  • (2018-01-17L)

  • 11/201

  • 時代小説短編集。収録された四作品の中では、表題作の完成度が一番高いと思います。でも、後半の二作品(連作)の時代小説の枠組みを超えたような設定が面白く、とても印象に残りました。このような作品が、デビュー前に書かれていたなんて驚きです。

  • 宮部みゆきにハズレはない。

    この本も,もちろんそう。
    ではあるが,アタリとまではいかなかった。(^_^;)

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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