- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784404020574
作品紹介・あらすじ
ふつうの人間にはない不思議な力をもつのお初。奇怪な幼児殺しの謎を追うお初のまえに100年前の赤穂浪士討ち入り事件が…。
感想・レビュー・書評
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耳袋、忠臣蔵、死人憑き、それらをうまく絡めた壮大なミステリー時代小説。
どこにも記録が残らない過去の話だからこそ、本当にあったような錯覚におちいってしまう。
当時の世情、心情に思いを馳せて切なくなってしまう、何とも言えない読了感が心地好い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岡っ引きの兄、兄嫁の一膳飯屋、霊感を持つ妹。百年前、浅野内匠頭が切腹した屋敷の岩が鳴動。辻斬りの妄執がとり憑いて、娘・息子と似た子を殺す。かつて対決した赤穂浪士の鎖かたびらが妄執を断つ。
芝居や歌舞伎、今でも映画で何度も演じられる赤穂浪士の討ち入りの解釈が新鮮でした。遺恨などなかったのに、幕閣が正気と認めたから、残された家臣にはそれをはらす義務が生まれたという悪政。 -
目次を見て5編の中編集かと思った。第2章に入って違うと気づいたが(それ以前に中編集に「第○章」とはつかわない)。不思議な力を持つ女性を軸にした話だが、どこかほのぼのした雰囲気となる。それを引き締めているというか重くしているというか、とにかくそんな感じなのは謎となる忠臣蔵がらみの話。この話が深くわかって来るにつれて引き締まってくる感じ。最後の解決も本当にどうなったのか、という感じですが、超常現象として終わるのもなかなかいい。
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内容(「BOOK」データベースより)
ふつうの人間にはない不思議な力をもつ〈姉妹屋〉のお初。奇怪な幼児殺しの謎を追うお初のまえに100年前の赤穂浪士討ち入り事件が…。
とある長屋で死んだはずの蝋燭売りの吉次という男が生き返った。生き返った吉次はおせんという名の女児を殺し油問屋の樽の中に投げ入れた。正体を見破ったお初と右京之介だったが、捕まえた吉次の体は既に死後いく日も経ち腐っていた。吉次は何者かの魂に体をのっとられていたのだ。吉次が死に、事件は終わったと思われたが再び、長次郎という名の男児が殺され川へ投げ捨てられていた。犯人は助五郎という湯屋で働く男であった。彼もまた死霊に体をのっとられていた。その、死霊の正体は内藤安之助という100年前に妻と2人の子を殺し、自分自身も切られ亡くなった侍だった。やがて、内藤安之助が亡くなった頃に起きた赤穂浪士忠臣蔵と今回起きた幼児殺しが結びついていく。内藤安之助は吉良にも赤穂浪士にも怨みを持っていた。内藤は真面目な性格だったが、町人を襲った犬を切り、生類憐みの令によって禄を奪われ浪人になり生活は困窮し、孕の妻と2人の子を養うために辻斬りを始め、徐々に内藤の心を蝕み狂わせていく。その頃、吉良邸では赤穂浪士に備え、腕の立つ者を召し抱えていた。内藤も働き口を求め赴くが断られ、それをきっかけに精神は崩壊し、妻と2人の子を殺す。彼の異常に気付いた赤穂浪士の1人が内藤を切り、産まれたばかりの3人目の子供を助ける。死霊となった内藤は我が子と同じ名の幼児を殺し、3人目の子供の子孫で妻と同じ名のりえも殺そうとしていた。死霊は助五郎の体から離れ、右京之介の父に取り憑く。りえを殺そうとするが、お初は赤穂浪士達の力を借りたかのように内藤を倒し、りえを助ける。
死にたい、という思いや深い悲しみを持っている人の心の隙に入り込む死霊。右京之介の父との確執。内藤に憑かれた右京之介の父もまた、息子との確執に自身も深く悲しんでいたのだ。
時代に翻弄され、死を選ぶしかなかった内藤と赤穂浪士達の思いや時代背景が描かれている。 -
読了。
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2009.06
現在読売新聞朝刊で連載中の話と似ているのかな?と思って手にとって見た。 -
『かまいたち』に出てくる短編と同じ、霊など人には見えないものが見える主人公、お初の物語。赤穂浪士などが物語の謎に加わっていて、少しわかりにくさも感じましたが面白かったです。あたらしい登場人物も出てきて、次が楽しみ。