土方歳三、沖田総司全書簡集

制作 : 菊地 明 
  • KADOKAWA(新人物往来社)
3.83
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本棚登録 : 51
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404023063

感想・レビュー・書評

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  • 再読。「星のとりで」読んでから久しぶりに自分の中で何度目かの土方さんブームが来ているかもしれない。こちらは現在発見されている土方・沖田両人の全書簡集。二人まとめての掲載になるが実際には収録されている35通のうち沖田さんが差出人のものは7通だけ(それもほとんどが年賀状や礼状など挨拶のみのもの)、残りは全部土方さん。宛名のほとんどは彼らの郷里の佐藤彦五郎や小島鹿之助らと、親戚など。保管していた人が限られているので偏りはあるのかもしれないけれど、土方さんのほうが筆まめだったのかな?という印象を受けた。

    手紙が書かれた時期は最初の一通(万延元年、土方さんから小島キクあて、病状を気遣う内容)を除いて、新選組の結成から瓦解までの文久三年~慶応四年のもの。現物の写真、解読、読み下し文、解説という四段構えの大変親切な内容。

    土方さんはときにユーモアや自慢を交えつつ、近況を知らせる内容で、サラサラと流れるような文字。この時代の筆記体(といっていいのか?)の文字は正直現代人にはほぼ解読不可能だし、書道の知識もないので達筆なのかどうなのかよくわからないけれど、後書きにもあったように土方さんの文字はのびのびしててすごくおおらかな印象を受ける。反面、沖田さんのほうが一文字一文字しっかり力んで書いてる几帳面な感じで、あんまり手紙が得意じゃなかったのかもしれない。

    一通だけ、明らかに沖田さんの文字で、内容も沖田さんの年賀状まるうつしなのに差出人が土方さんになってるのがあって、どうやら沖田さんに代筆させたぽい。忙しかったのか面倒くさかったのかわからないけど、その場面を勝手に想像してちょっと微笑ましい。

    ややレアなのは土方さんから勝海舟あての手紙。暗殺された佐久間象山の妾腹の息子、三浦啓之助(象山の後妻は海舟の妹なので海舟からみて義理の甥)が、父親の仇を討つために新選組に入隊していた時期があり、その際に出張中の近藤局長に代わり土方さんが近況を知らせる手紙を書いたもの(珍しく自筆ではなく祐筆を使っているあたりも他と違ってお仕事ぽい)

    あとは、手紙から沖田さんの発病時期を考察されてるのが興味深かったですね。いわゆる池田屋で血を吐く的なお約束場面、実は出所は永倉さんの自伝のみで、手紙などではその頃そういう異変を知らせる内容のものは見当たらない。郷里に病気を知らせる内容のものはずっと後になってからのものしかなく、なるほどこれは鋭い観察かもしれない。

  • ページの上半分に資料を見ながら下半分に解読文・書き下し文・解説が並ぶ構成。未熟な私としては訳もあると有り難かったです(ノ∀`*)本人が書いた物をそのまま読むことで、当時確かに生きてそこにいた彼らの息吹きをリアルに感じることができました。土方さんの恋文自慢は意外とお調子ものな一面を持っていたのだと感じるし、病の沖田さんが病床の師匠を心配する手紙は天真爛漫にみえて実は細やかな気遣いができる本当に優しい若者だったのだと感じて涙が滲みます。両名の筆跡や文章の癖もまた面白い。著者もあとがきに記されていたように、手紙が一番「本人が遺した物」と呼ぶに相応しい遺品かもしれません。

  • 『手紙』を見ると、やはりその人々が『生きて』いたのがよく分かってジーンとする。
    沖田総司の字を初めてみた。
    なんとなく、繊細な几帳面な人やったんやろなぁと思った。
    土方歳三の年賀状を代筆させられてるのがめちゃくちゃ面白い。
    普通に生きてたんやなぁ…
    時代や幕府のせいでめちゃくちゃになってしまったんやろうけど…手紙を読めて良かった。

  • 出版当時までに判明している土方歳三と沖田総司それぞれの書簡一覧。ほぼ年代順に並べられ、読み下し文と解説付き。現物が残っている場合は写真も掲載されています。

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