新装版 新撰組顛末記【新装版】

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
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本棚登録 : 295
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404026705

感想・レビュー・書評

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  • 再読。大正2年に元・新選組の永倉新八が小樽新聞で連載(記者が聞き書き)した半生の回顧録。昭和2年に息子の義太郎が書籍化。すでに70代の新八おじいちゃんの語りゆえ、記憶違いや、話を盛っているところもあるかと思われますが(さらに記者の脚色も)、幕末を生きた当事者のとても貴重な体験談。数々の新選組小説のベースになったと思しき、結成当初からの代表的エピソードが語られている。

    例えば、沖田総司が池田屋で喀血するのはお約束の見せ場(というと語弊はあるが)だけど、それはやっぱり本書での「沖田が大奮闘のさいちゅうに持病の肺患が再発してうち倒れたので、眉間に負傷した藤堂とともに表へだしてしまう。(88頁)」という描写があるからだろうし、天満屋事件では「斎藤は二、三人をひきうけてとくいの突きでバタバタかたづける。(146頁)」とあって、 斉藤一の得意技が「突き」であったとする作品が多いのはこの影響だろうし、池田屋の直前に捕えた古高の足裏にろうそくを立てて土方が拷問したとか、島田魁の力持ちキャラなんかも元ネタは本書。

    芹沢鴨の暗殺に永倉は加わっていないが、本書を読む限り、永倉は芹沢鴨のことをほぼ悪く言っていないので、まあもともと流派が同じだったこともあるだどうけど、そんなに嫌いじゃなかったんだろうなと。芹沢に限らず基本的にあまり誰かの悪口を言わないのが特徴で、まあもう亡くなったひとの話しだから、というのもあるだろうけど、江戸育ちらしいサバサバしたご本人の気質だろう。

    近藤と袂を分かち、靖兵隊を結成したあと会津ではなく米沢に向かい、そこで終戦。あまり注目されないけれど、雲井龍雄とのエピソードはとても興味深い。維新後、もとの松前(福山)藩にあっさり帰参がかなった上、養子に入って名前も変えて北海道で長生き(古参隊士では最年長)したあたり、人徳なのか、運に恵まれているのか。近藤さんが処刑された板橋に慰霊碑を建てるため奔走したり、こうして語り残してくれたことで後世の我々に伝わることもたくさんあり、新八っつぁんには感謝しかない。

    附録として「同志連名記」や、書籍化時に息子の義太郎氏が山川健次郎に坂本龍馬暗殺について問い合わせた手紙にもらった返事「坂本竜馬を殺害した下手人の事」なども収録。山川健次郎は今井信郎の証言を時効後ゆえの虚言(売名)と思っていたようで、企画は佐々木只三郎で間違いないだろうが実行犯は別(原田左之助説も捨てていない)だろうと言っていて興味深い。

    ところでよくよく見たら私の所持してる本はこれより古い版で1996年で22版目というやつでした。表紙違うけどまあいっか。

  • 新撰組好きには堪らない内容。
    脚色があるにしても幕末は面白い!

  • 小樽新聞の連載小説を、永倉さんのご子息が昭和二年にまとめた『新撰組永倉新八』が底本。
    晩年の永倉からの聞き取りを反映した小説ですが、執筆者は新聞記者で永倉の筆によるものではありません。
    登場人物が活き活きと描かれ楽しく読める反面読み物色が強くなっており、加えて永倉の記憶違い・隠蔽・誇張なども考えられるため、主人公補正も差し引いて話半分で読むくらいでもいいのではと思います。

    【収録資料】同志連名記(永倉新八)、殉節両雄之碑碑文(永倉による石摺余白への書き込みも収録)

  • 小樽新聞の記者に語ったものをまとめたものですが、実際凄いですよね。そう聞くと、何か凄く身近に感じます。長生きしてくれてありがとう。
    実際に隊にいた人の話なので、真実味たっぷり。なのですが、永倉自身も人から聞いた話や、主観も入っていますからね・・・。きっと話した中でも、隠している事沢山あるんだろうなーとしみじみ思いました(結構語りがあっさりしていたから。)

  • 新撰組二番隊組長・永倉新八さんご本人による追憶の手記。(まとめたのは別の人?)リアルに白刃をくぐり抜けた隊士ご本人のお話だと思うとほんとに感慨深いです。巻末3割ぐらいは色んな方々による解説や考察や資料が入っていて、これがまた当時を知る貴重な内容で大変興味津々でした。
    古い文体だったり資料だったりするので、ちょっと読みづらかったけど(汗)、一章が2P半ずつぐらいで進んでくので、サクサク読めますよ☆

  • 2009.7.8購入

  • 内容(「MARC」データベースより)
    新撰組幹部の唯一の生き残り・永倉新八が語り残した新撰組体験談。誠に殉じ、京洛の巷に命を賭した血の粛清。敗残の甲州路から悲劇の箱館戦争へと新撰組の興亡を語る。71年刊の新装版。

  • (2005.4.20 第12刷)

  • 新撰組の副長助勤であり、数少ない生存者であった永倉新八の回顧録です。
    回顧録だから、小説のような演出や感動もなく、ただ永倉新八が見て聞いて感じたことが淡々と綴られています。
    有名な小説で大きく取り上げられる近藤勇や土方歳三の最期は1ページも書かれていません。
    だから、とてもリアリティがあります。
    新撰組の歴史を紐解く貴重な資料であることは間違いないでしょう。
    難解な本だと思ってビビってましたが、意外と読みやすかったです。

    新撰組は勤王とか佐幕とか関係なく、本当に誠実に国のために命を捧げた組織だったということを改めて感じました。

  • 中三からの幕末好き
    二番隊隊長本人が書いたものだからリアル

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著者プロフィール

1839年(天保10)、江戸生まれ。本姓長倉。元は松前藩士。武者修行中に近藤勇に出会い浪士組に参加、新選組結成後は二番組長を務めるなど新選組草創期からの中心人物。甲陽鎮撫隊や靖共隊に属して戦うが、米沢より江戸へ帰還。松前藩への帰藩が許され、藩医の杉村介庵の婿養子となり杉村治備(後に義衛)と名乗る。その後小樽へ移り、樺戸集治監の剣術師範となる。数少ない新選組幹部の生き残りとして、板橋に近藤勇、土方歳三の墓を建立した。1915年(大正4)、病没

「2020年 『地図と読む 新撰組顛末記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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