乾山晩愁

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
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本棚登録 : 67
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404032782

感想・レビュー・書評

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  • 主に、御用絵師として名高い狩野家の絵師達にまつわる短編集。戦国から江戸時代にかけて、それぞれ、尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯、清原雪信、英一蝶を軸とした物語が綴られる。才能に恵まれ、才覚一つで人生を切り開き、認められ、何百年後の今も名を残す絵師達だけれど、生きている間には色々苦しみもあり痛みもあり。必死に生きていたのだなぁと感じた。
    「若冲」や「花鳥の夢」を読んだ直後だったので、書き込みに物足りなさを感じてしまった。もう少し深いところまで、書き込んで欲しかった。

  • 江戸中期の絵師を巡る物語。
    この時代、熾烈な争いが繰り広げられたのは武士の世界だけではなかった。
    名前は知っている絵師や知らなかった絵師が登場します。
    有名な尾形光琳の弟であまり知られていない(少なくとも私は知らなかった)乾山の苦悩が良く描かれている。
    狩野派と等伯の確執もそれぞれの立場から描かれており面白い。
    ちょっと日陰の人物にスポットを当てる葉室さんならではの視点が素晴らしいです。

  • 立て続けに読んだ狩野永徳や長谷川等伯を葉室麟さんはどう描くのか興味があり読んでみた。
    葉室さんはこれまで長編しか読んだことが無く短編は初めて。
    安土桃山~江戸時代に活躍した絵師たちの物語で知らない絵師の物語は興味深くてそれなりに面白かった。
    後世に残っている作品やわずかな史料を元に作家ごとに創造する人物像は違って当たり前で、私は安部龍太郎の「等伯」が一番気に入りました!

  • 絵師が主役の短編集。ほんのり連作。
    尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯など。尾形光琳、織田信長、千利休なんかもちょっと登場。
    敗者・滅びの美学が静かに染み渡る、葉室麟らしさは当初から変わらず素晴らしい。
    ただ、『蜩ノ記』や『千鳥舞う』を先に読んだせいか、文章の調子の悪さが引っ掛かる(´・ω・`)
    葉室麟も最初はこうかぁ。気になるけど、ちょっとほっこり。

    細やかだけど、裏表紙と中表紙の蝶の絵に凄く惹き付けられました。

  • 短編 尾形光琳の弟に焦点を当てた作品。光琳兄の死後の乾山の様子が語られている。
    他にも狩野永徳、長谷川等伯など絵師にまつわる短編集。なかなか光のあたらない人物に焦点をあてていて、新鮮で読み応えがありました。

  • 09/ /  葉室麟をちょっと見なおした。

  • この世の中には武士ばかりがいたわけではなく、画家だって同じくらいの歴史があり、画家の歴史とまたその時代の歴史が一度に楽しめた。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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