海の翼 (新人物文庫)

  • 147人登録
  • 4.40評価
    • (38)
    • (13)
    • (9)
    • (2)
    • (0)
  • 37レビュー
著者 : 秋月達郎
  • 新人物往来社 (2010年1月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404037916

海の翼 (新人物文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 昨年映画にもなりました。
    100年前に和歌山沖で遭難したトルコ軍艦エルトゥールル号の悲劇、
    嵐の中、トルコ人乗組員を助け、異国の犠牲者を手厚く葬った紀伊大島漁村の人々、
    そしてそれから100年後、イランで路頭に迷った日本人達を国家を上げて救ってくれたトルコ国家と人々。。。

    ただ助けたい、何としても助けるんだ!と思う真摯な気持ちと行動は、100年経とうが千年経とうが、いつまでも忘れられることなく語り継がれていくのだろう。そのような行動を、私は今までにとったことがあっただろうか?

    気難しいノンフィクションかと思い読み始めれば、フィクション仕立てで読みやすく、あっという間に読み切った。日露戦争のくだりも、難しい言葉が並んでいたが何とか理解できた。とにかく昔の日本人は素晴らしかった!(こんな感想しか書けない私なんぞが彼らについて語る資格はないのかもしれないけど。。。)

    トルコへ旅行に行くと日本人観光客にはとても親切に接してくれるという話は聞いたことがあるけど、それはこのような心温まる秘話があってこそだったのですね。

  • 2015_11_25読

  • いやぁ、感動した。日本ですら救出機の出航を拒否したのに、トルコから120年前のエルトゥールル号遭難救出の恩義から救出機2機を出航すると宣言する。更にはトルコ人600名含めると救出機2機では足らないと分かったときに、日本人を優先し溢れたトルコ人は陸地を移動すると決断した箇所を新幹線車中で読んだ瞬間、涙が止まらなくなり、嗚咽すら出る寸前までいってしまった。それにしても、自国民が大変な時に大日本航空の倉元組合委員長の判断は、如何なものかと思う。それに対して、日本が窮地に陥ったときには、何が何でも手を差し伸べろと子々孫々言い伝えられたことを守ったトルコは素晴らしい。今の日本が逆の立場だとしたら本当にできただろうか疑問に思う。当時のトルコ首相のオザルが云った、「歴史は人が一人一人紡いで築かれていくもの」という言葉が忘れられない。これは最高の話だ。

  • 前々回は「翼をください」でしたが、今回は「海の翼」です。前々回と同様、実話をもとにした物語で、日本とトルコの話。イラン・イラク戦争の際、イランに取り残された日本人を、トルコ航空の飛行機が
    救出したという話と、100年前にトルコの船が紀州大島で難破した際、島民総出で乗組員を救出した話。
    両方とも知ってはいましたが、改めて物語として読んでみると、なかなか涙腺の緩む話でした。

    なお、偶然にも昨日「トリハダスクープ」とかいう番組でも同じ話の再現ドラマをやっておりました。役者がイマイチだったので、こちらは感動できませんでしたが、いずれにせよトルコとの絆を感じさせる史実でした。以下「ネタバレ」の内容ですが記録しておきたいと思います。

    ・イラン・イラク戦争。当初、局地戦での小さな諍いでしたが、突然イラク側が戦線を拡大。イランの首都テヘランにスカッドミサイルを撃ち込み、両国間の全面戦争に発展。

    ・当時テヘランには400名近くの日本人が住んでいたが、戦線の拡大により、大使館より緊急帰国命令が下る。

    ・しかし、日本人は簡単にイランを脱出できなかった。当時JALはテヘランへの直行便を持っておらず、従って日本人は他の国の飛行機で脱出しなければならなかったが、どこの国も同じ緊急帰国命令が出されていて、飛行機のチケットが手に入らない。手に入っても、緊急時には自国の国民が優先されるため、日本人は搭乗を拒否されるという事態に。

    ・自衛隊は当時海外で活動することはできず、イラン上空を飛ぶ飛行機は、全て打ち落とすというフセイン大統領の宣言によって、JALも「安全が確保できなければ」飛べない。

    ・大使館はあらゆる国の大使館と交渉したが、相手にされず、唯一救援の飛行機を出しましょうと言ってくれたのがトルコ。「エルトゥールル号の恩返しです」と。

    ・「エルトゥールル号」とは、明治23年、和歌山県串本町にある紀伊大島で座礁し、転覆したトルコの船。転覆した際投げ出された乗組員を、島の住民が命がけで救助し、また、殆ど食料備蓄のない中、ありったけの食料を与えて、600名の乗組員のうち、60名を助けたとのこと。

    ・助けられた60名は、日本初の軍艦でトルコまで送り届けられて無事に帰国。以来、この事故の顛末はトルコの小学校教科書によって伝えられ、いつか恩返しをしなければいけないとトルコ国民は教育されていて、「それが今です」。

    ・救援飛行機は2機、座席数は約400。その時残留している日本人は200名程度になっていたが、しかしトルコ人も500名ほど残留していた。つまりは席が足りず、常識的にはトルコ人が優先される。

    ・しかし、トルコ大使館は「日本人を先に」と指示し、「飛行機に乗れないトルコ人は車で脱出する」と。この決定に誰も文句は言わず、国民からも反対意見は出ず、日本人は無事脱出に成功した。

    というのが話の粗筋であります。更には

    ・エルトゥール号の乗組員をトルコに送り届けた軍艦には、後に日露戦争で作戦参謀となり、「坂の上の雲」の主人公である秋山真之がいた。秋山はトルコもロシアの脅威に晒されていることをそこで知る。また、トルコ国王の願いで、一人トルコに残った日本人がいて、その日本人がロシア艦隊の動きを監視し、それを秋山に伝え(オリエント急行でパリまで走って電信したと)、その情報を知った秋山が、ロシア艦隊の動きを知ることができて、日本海海戦で勝利したと。

    ・そして日露戦争での日本の勝利は、ロシアの脅威に晒されていたトルコでも、「トルコは2度、日本に救われた」と熱狂的に歓迎された。

    といった話とか

    ・イランから脱出したトルコ航空の飛行機は、トルコとイランの国境にまたがるアララト山を越えてトルコ領に入ったのですが、そのアララト山は「ノアの箱舟」伝説がある地で、しかもアララト山の形は、全く富士山と同じ。日本とトルコは、同じ聖なる山を持つ国民だとも。実際ネットで見たら、本当に富士山そっくりでした。

    その他、トルコ大地震の際には、日本から「イランの時の恩返し」として大量の救援物資や仮設住宅が提供されたとか、「トリハダスクープ」では、東日本大震災の際には、トルコから多くの救助隊が駆けつけた、といった話が紹介されていました。

    トルコはイスラム教の国のひとつで、今イスラムと言うのは非常にネガティブなイメージで捉えられていますが、もちろんあれはイスラムではありません。会社の卓球仲間には、それは気さくなトルコ人の友人もいます。トルコとは、「善には善で」恩返しをし合う、そんな当たり前の関係が、これからも続くことを願っております。この話は日本トルコの共同で映画にもなるようですが、ぜひお勧めの本です。

  • イラン・イラク戦争開始から5年経った1985年、イラク軍のフセイン大統領は、突如48時間後以降にイラン領空を飛ぶ航空機に無差別攻撃をすることを宣言する。

    欧米諸国は驚くほどに素早い対応で、航空機を準備し、自国の国民を搭乗させて避難していく中、日本はというと、当日、自衛隊を海外に派遣する法的条件が整っていないうえ、社会党や市民団体の猛烈な反対運動にあい、自衛隊は派遣できない。民間の大日本航空が名乗りをあげ、イランへ航空機を準備、機長も手を挙げるが、組合側がわざわざ危険な地に旅客機を飛ばすわけにはいかないと猛反対をされ、手をあぐねる。

    刻々とタイムリミットは近づいてくる。

    そんな日本の苦境を知って、救援に動いたのは、古代オスマン帝国、トルコ政府だった。

    トルコ政府の英断の裏には、イラン・イラク戦争の約100年も前の1890年に、日本を訪問した帰国中に台風に巻き込まれて遭難したエルトゥールル号の乗組員の救出や帰国に扮装してくれた日本人への、百年という時空を超えた恩返しだった。

    イラン・イラク戦争時の緊迫した状況、エルトゥールル号の乗組員を救出に向かった漁師たちの勇気、その当日、国交のなかったトルコへの軍艦派遣を迫力満点に描き、日本人の精神、トルコ人の熱い気持ちがビシビシと伝わってきた。

    歴史はつながっていて、とつのて出来事が起きなければ、その後の出来事は変わっていく。
    先人たちに思いを馳せ、受け継いでいくべき精神を繋いでいこうと思った。

    トルコ人最高!!
    ありがとうございました!
    頂いたご恩は、必ず子孫に繋いでいきます!

  • [100年越しの恩返し]イラク・イラン戦争の激化に伴い、サダム・フセイン大統領(当時)が発した無差別飛行機撃墜指令。日本からの救援機が駆けつけない中で絶望的な状況に置かれたテヘランの在留邦人であったが、彼らを救ったのは「エルトゥールル号の恩返し」という掛け声を理由として立ち上がったトルコの人々であった……。実際に起きた出来事を基にした小説です。著者は、ミステリーやファンタジーなども手がける秋月達郎。


    ただでさえ感動的な出来事を扱ってる上に、著者のほとばしるまでの日×トルコ間の友好への感情が文章に乗り移っているため、読む側も「こんなことがあったのか」と感嘆しながらページを繰ることになるはず。それにしても国家の間でこのような関係が築けるものなのかと改めて驚かされると同時に、その幸せな最初の邂逅に思いを馳せずにはいられませんでした。


    勤め先が絡んでくることもあり、「当時の大使館の動きはどのようなものだったのか」という半ば実務的な観点からも読んでみたのですが、コミュニケーション手段が発達していない中で、もはや公私の別なく救援のために働いていたことが描かれており、自然と背筋が伸びての読書となりました。個人的には実名を用いたノンフィクションの方が良かったのでは、と感じたのですが、それでも十分に楽しめた一冊です。

    〜恩を忘れないかぎり、歴史は紡がれつづけます。〜

    最近、トルコのエルドアン首相がサッカーでハットトリックを達成したらしいです☆5つ

  • 必読。
    トルコと今でも続く意外な関係が分かる本。
    変わった人が多いと思っていたトルコの印象が一変。

  •   明治時代に日本人が、難破したトルコの船乗りたちを助け、トルコに送り届けたことは、テレビや絵本で知っていた。けどそれがトルコの教科書に載っていて、しかも日本人に恩返しをするように教えられていたとは全く知らなかった。イランイラク戦争で、イランに住んでいた日本人を助けるためにトルコの航空機が飛び、トルコ人より優先して日本人を助けてくれたことは、知らなかった。ニュースをさらっと流してしまったのかもしない。
    中国の反日運動とトルコの教育をくらべてみると、子どものころからの教育がのちのちの人の考え方に大きく影響することがよくわかる。日本もしっかりと、教えるべきことを教えないといけない。外国との関係とか知らな過ぎると思う。

     日本の自衛隊や航空機が飛ばないと分かったときの日本人の絶望。日航で組合委員長として飛行機を飛ばすことを反対したのは、山崎豊子の「沈まぬ太陽」で主人公の恩地さんだと思う。組合というものも考えさせられた。
     

  • 100年以上の長きにわたって、日本人に受けた恩を忘れず、代々にわたって語り継いできたトルコ人。
    「いつか日本人に困ったことが起こったら、トルコ人は日本人を助けるんだ」って、親から子へ、子から孫へ、学校では先生からも、ずっと教えられてきた。
    そして100年の時を越えて、イラン・イラク戦争の時、トルコ人が日本人215名を命懸けで救出した感動のドラマ。

  • イラン・イラク戦争の最中、イラクのフセインはイラン上空を通る飛行機を全て撃ち落とすと宣言。イランに残された日本人はイランを脱出するすべを失くしていた。
    その残された日本人を脱出させる為に飛行機を飛ばしてくれた国がトルコであった。トルコに語り継がれた日本人への恩。日本の明治を生き抜かれた先祖の行動が現代の日本人の窮地に助けとなった。

全37件中 1 - 10件を表示

秋月達郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
喜多川 泰
池井戸 潤
冲方 丁
高野 和明
有効な右矢印 無効な右矢印

海の翼 (新人物文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

海の翼 (新人物文庫)のKindle版

海の翼 (新人物文庫)の文庫

ツイートする