喜娘 (新人物文庫 あ 2-2)

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  • 新人物往来社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404038388

作品紹介・あらすじ

帰国を前にして皇帝代宗に謁見した第十四次遣唐使一行の前に、ひとりの娘が現れた。第十次遣唐大使として入唐しながら帰国できず、唐の朝廷に仕えて一生を終えた藤原清河の娘である。その忘れ形見・喜娘を父の故国日本へ連れてゆくよう申し渡される…。帰国した喜娘たちの運命を軸に、日唐交流の秘話とロマンを描く歴史文学賞受賞の表題作「喜娘」、梅の老樹から浮かび上がる下級官人の数奇な過去「惜花夜宴」、ほかに三篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 第十次遣唐大使の中国での娘の喜娘が日本にわたる話、長屋王に仕えた男の話、写経生と聖武天皇お気に入りの僧良弁との話、聖武天皇の異母兄弟の話など、奈良時代の短編集。主人公の心の内が克明に語られ、千年以上前の人間のことが現代人のように生き返る。最後の話は、現代を舞台としているが、ほとんど中身は吉備真備(やはり奈良時代)をめぐる江戸時代の話であった。この短編集を締めくくるにふさわしい謎解きを含んだ話である。初めて梓澤要の小説を読んだが、結構面白かった。

  • 遣唐使、写経生などなど、様々な立場で精一杯生きている
    そんな男たちの短編集。

    とても面白くて、短編が苦手なのに、さくさく読めました。
    描写がとても上手です。

    とくにいきなり現代の話に飛んだ最後の話が、とてもよかったです。

  • 5つの短編集。表題は遣唐使として阿倍仲麻呂とともに中国で果てたという藤原清河の中国での忘れ形見。喜娘が魅力的な明るい女性として描かれている。忠実に仕える巨人・、如安そして日本に送る役割の大伴継人。奈良麻呂の乱が最後の落ち。また「惜花夜宴」は長屋王の梅にまとわる回顧談。奈良平安朝を時代背景にした短編小説の数々である。最後は現代を舞台に吉備真備を追う。このような構成になっている意味は分からなかった。

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著者プロフィール

1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年、『喜娘』で第18回歴史文学賞を受賞しデビュー。歴史に対する確かな目線と骨太のドラマを織り込んだ作風で着実な評価を得てきた。作品執筆の傍ら、2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ。2014年『捨ててこそ空也』で、第3回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。主な作品に『百枚の定家』ほか。

「2016年 『井伊直虎 女にこそあれ次郎法師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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