武士の評判記: 「よしの冊子」にみる江戸役人の通信簿

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
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本棚登録 : 39
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404039811

作品紹介・あらすじ

『よしの冊子』-それは、老中松平定信の命を受け隠密たちが役人の勤めぶりや市中のうわさを調べ上げた報告書。今も昔も変わらない本音とタテマエが交錯する江戸サラリーマン社会の実態とは-。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の噂話をもとに人物評価を行なっている。いつの世も変わらない人物考課が興味深い。

  • 鬼平

  • 『よしの冊子』にみる江戸役人の通信簿~田沼時代を経て押収白河藩主・松平定信が老中首座となった。綱紀粛正を目指し,直属の部下を各所に配置し,役人の評判を報告させた。老中-賄賂で老中になった阿部正倫・温厚で何の害もない松平康福・心得違いを反省した水野忠友・真っ先に登用された若手の俊才松平明・側用人から老中格へ上がった本多忠壽:若年寄-時代を狙う堀田正敦・刀を忘れて自ら謹慎した京極高久・将来を嘱望された寺社奉行脇坂安薫・苦労を厭う坊ちゃん育ちの井上政国:町奉行-失言で左遷曲淵景漸・町方から馬鹿にされた柳生久通・天国から地獄へ初鹿野信興・萎縮した金太郎侍池田長恵:勘定奉行-御三卿清水家を改革柘植正是・型破りの豪傑根岸鎮衛・人々が感服する能吏久世広民・上を騙す吟味方佐久間茂之:火付け盗賊改め-母のために昇進を厭う堀帯刀・江戸町人に大人気長谷川平蔵・定信との関係を自慢にする松平左金吾・平蔵の毒気に当てられる太田資同:定信の退場-6年の政治は棄えん令の悪評で沈没~あまりに当たり役だったので昇進も加増もされなかった長谷川平蔵。武士と云うより殿様であって,譜代大名や旗本だもの。色々噂して大体が当たっているというのが面白いかな。意外な読み応え

  • よしの冊子にみる江戸役人の通信簿。今も昔も変わらない江戸サラリーマン社会の実態とは。
    ・序 章 松平定信の登場
    ・第一章 政権交代ー松平定信と田沼意次
    ・第二章 老中たちの評判
    ・第三章 幕閣大名の生態
    ・第四章 町奉行の勤務ぶり
    ・第五章 勘定奉行と勘定所役人
    ・第六章 江戸の機動隊、火付盗賊改
    ・終 章 松平定信の退場
    ・付 表 諸役職就任者
    ・参考文献
    ・あとがき

    寛政の改革を進めた松平定信の治世。定信は綱紀粛正を目指して役人達の日常を密かに報告させていた。その情報報告書がよしの冊子である。本書を読むと幕府役人達の生の息遣いが感じられて面白い。

    一般に改革は失敗したと評価され、定信の評価も高くはないが、本書を読んで人物像を見直す事が出来た。

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著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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