マーシャの日記―ホロコーストを生きのびた少女

  • 新日本出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784406061414

感想・レビュー・書評

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  • 〈銃殺〉〈ファシズム〉〈戦争〉〈占領〉などという言葉が、実際にはどんなことを表す言葉であるのか。まさに想像を絶する体験をしたマーシャの言葉のなんと重たいことか。人が人にここまで残酷になれるのか。それが戦争、そしてホロコーストなんだ。子どもも老人も弱いも強いも関係なく殺されていく。どうして人間は愚かなことを繰り返すのか?それは人間が死ぬからだ。悲惨な体験をした当事者が死んで、それを知らない愚かな人たちが再び同じことを繰り返すのだ、という言葉はまさに真理だと思う。だから歴史は学ばなければならない。

  • ホロコーストを生き延びた著者の手記。
    1941年著者13歳の時、住んでいたリトアニア・ヴィリニュスが占領され、父親が消息不明となり、母親、姉、幼い妹、弟との占領軍の支配下のゲットーでの生活、ゲットー閉鎖により母、妹、弟と分けられ(姉はゲットーからの逃走に成功、母、妹、弟はこの時銃殺された)、マーシャ一人ラトビアの強制収容所に送られ、戦局の変転により更にポーランドの強制収容所へと移され、1945年ソ連軍の進攻で撤退するドイツ軍に連行されている途上で解放されるまでが語られている。
    凄絶で悲惨な場面には胸が塞がれる思い。
    何があったかを語らなければならない、という著者の強い使命感により本書はまとめられた。
    リトアニア・ヴィリニュスのゲットーにおいて、ナチスとその意向に従う当局が行う執拗な選別によるポナールィの死の穴への送致(=銃殺)は、ティモシー・スナイダー『ブラックアース』で論じられていた当のもの。(本書の「おわりに」でもポナールィで10万人が虐殺され埋められたと記されている。)

  • とても優秀な人なんだな。
    臨場感あふれるアンネの日記より断然読みやすく、記録として書いているという趣旨もあり、状況も把握しやすかった。

    ただ、その分なんとひどいことをされているのだろう。
    思春期の子供の視点であるためそれでも推測は甘いと思うが、人の尊厳が踏みにじられていく過程がよくわかる。

    同じ町に住んでいる人間同士であったはずなのに、人種の違いと言う理由だけで、ここまで冷酷になれるのか、ショックで読むのが辛かった。

  • ユダヤ人評議会のメンバーがドイツ警察代表部に呼び出された。この評議会はつい最近、ユダヤ人の名士で作られた。ドイツ将校に信頼されているらしいが、みんなが選んだわけではないので、偽の評議会。ただ評議会と呼ばれているだけ。それはそれとして、ユダヤ人評議会に「ヴュリニュス在住のユダヤ人全員に賠償金500万ルーブルを課す」と伝えられた。この総額を明日の9時までに納めなければならない。果たさない場合、9時半にユダヤ人絶滅に取り掛かるという。提示された合計には現金だけではなく、金や銀、貴金属を入れることができる。ママはお金を全部と指輪やネックレスも持って出かけた。私は台所のところで泣いていた。明日死ななければならないと思うと恐ろしかった。

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