- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408107271
感想・レビュー・書評
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以前、水木しげるの自伝を読み、彼の生き方にすごく興味を持ったので、連続テレビ小説にもなったこの本をぜひ読んでみたいと思っていた。自伝も面白かったけど、客観的な視点で、より深く水木しげるのことが分かった。目に見えるものだけを信じてしまう・・・でもそうじゃないと思いたくなった。
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言わずと知れた国営放送朝ドラの原作。エッセイなので、これまでの作者の生い立ちから結婚、その後と、さらっと書いてあり、とても読みやすい。文体も女性らしく上品で、ホントに上手いです。そして、ドラマを見てからこれを読むと、ドラマがいかに良くできていたかが分かります。ドラマは、さすがにフィクションだろ、という部分もありましたが、エッセイや旦那さまの自伝で足りない所を、上手く付け足してありました。先入観なしで読んでも楽しめるけれど、ドラマを見ていた人には、もっと楽しめる本です。
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テレビの再放送をちょっと見て、来年から耳にするようになる地方の言葉が気になって、図書館で借りてきた。読みやすい文体からつたわってくる著者の人柄に、癒されるような、心地よさを味わいながら、ゆったりと読了。確かに今とは時代が違い、結婚への考え方、女性としての生き方も違うわけだが、著者の言う、「結婚、就職などの人生の入り口でその後がすべて決まってしまう訳ではない」し、そういう考え方に我々がとらわれてしまいがちではないか、という指摘は説得力を持つ。
受け身の人生だったのかも知れないが、その中に、水木しげるという男を心の底から信じきるという、ある意味で「強い」生き方を貫いたと言えるのではないだろうか。
誰もが幸せと思える人生を送れるとは限らない。しかし、一つの考え方、生き方として、「おわりよければすべてよし!」と言い切れる水木夫妻の幸せを読者が共有、共感することが出来る本書の意図は成功している。 -
水木しげる氏本人の自伝を含め、これで3冊目。鬼太郎などは幼少の頃から知っていたが、水木氏本人のことはほとんど知らなかったというより、マンガや彼の風貌から勝手なイメージを作ってしまっていて、水木氏ははるかにもっともっと深いところで生きていてたのだった。努力にしてもケタ外れの凄さ! だから、「生き方」としてもすごく学ばせてもらった。
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性格も得意なことも全然違う二人だけれど、お互いの真価をそれぞれがちゃんと理解して認めているという理想の夫婦のお話。…なんだけど、全く特別感はなくて、普通の人が、ただ大切にしたいことを大切にして生きただけなんだ、人生はとてもシンプルなんだ、と教えてくれている本です。
二人の人生それ自体は、決してシンプルではないのですが。
全編明るいムードに満ちていて、著者ののんびりした慾のない性格が随所に表れていて、読んでいて心洗われるような気持ちの良さを感じました。
水木しげる氏がある時、「今の人は目に見えるものしか見ない」というようなことを悲しくつぶやいていたそうですが、それは妖怪を信じる・信じないとかいう狭い意味ではなく(もちろんその意味も含まれているとは思いますが)、それよりも、現代社会の中で目に見えるものだけをものさしにして自分を見失っている人たちに対する嘆きでもあると思いました。
彼の生き方というか、価値観が非常に表れている言葉だなぁと思います。
ただ効率や数字だけでものごとを判断せず、先のことばかり心配せず、時には自分よりも大きなものに生かされていることを感じつつ、自分の心の声に耳を傾けよ、というメッセージかと。
今、遅ればせながら私の中で水木しげるブームがきていて(今ごろ!?)、図書館でいっぱい予約しました。楽しみです。
試しに、左肩で紙を抑えて絵を描いてみましたが、紙が近くてものっすごい大変でした!!! -
(2016.01.07読了)(2012.10.27購入)(2010.03.19・第10刷)
副題「-人生は……終わりよければ、すべてよし!!-」
漫画家、妖怪研究者、水木しげるさんが、2015年11月30日、93歳で亡くなりました。
追悼を兼ねて、積読のこの本を読んでみました。興味深く読めました。
朝ドラで、放映されたのは、2010年です。当時は、まだ勤めていたので、土曜日ぐらいしか見ていませんので、どんなドラマだったのかは少ししかわかりませんでした。
この本の内容だけでは、6か月のドラマにはならないので、脚本家がほかの資料に当たったり、想像力を膨らませて作り上げたのでしょうが、見て面白いドラマにはなっただろうと思います。
水木しげるさんの本名は、武良茂さんということです。茂さんが39歳、布枝さんが29歳の時に結婚しています。お見合いをして、5日後の結婚だそうです。
結婚前の話では、茂さんの収入はそこそこあるという話だったのが、結婚してみたらそんなに収入はなくて、質屋通いの多い状態だったとのことです。
「月刊ガロ」編集者として、南伸坊さんや松田哲夫さんなどが登場します。
1965年に「別冊少年マガジン」に掲載された『テレビくん』が講談社児童漫画賞を受賞して、やっと次々と仕事が舞い込むようになった。
忙しくなって、アシスタントを必要なったときには、つげ義春さんや池上遼一さんなどが登場します。
水木さんの代表作は、「ゲゲゲの鬼太郎」ですが、最初は、「墓場の鬼太郎」として断続的に連載していた。
1966年には、「悪魔くん」がテレビアニメとして放映された。
1968年に「ゲゲゲの鬼太郎」がテレビアニメとして放映された。
1982年には、ハワイへ家族旅行に行っています。1984年には、家族でヨーロッパ旅行に行っています。水木さんは、ゲーテが好きなので、フランクフルトでゲーテの生まれた家を訪ねたときは興奮していた、とのことです。
1991年に水木さんは、紫綬褒章を受賞しました。
【目次】
一章 静かな安来の暮らし
二章 結婚、そして東京へ
三章 底なしの貧乏
四章 来るべきときが来た!
五章 水木も家族も人生一変
六章 名声ゆえの苦悩と孤独
七章 終わりよければ、すべてよし
あとがきにかえて
●原稿料が入ったら(71頁)
お金が入ったといっても、いつ次にお金が入ってくるかわからない状況だ(中略)から、そんなぜいたくな品を買わずに節約を続けてはどうかしらといったのですが、水木の考えは違いました。いつ次に入ってくるかわからないのだから、あるうちに、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲みたいというのです。
●お守り(82頁)
水木は、家族や親戚から、山ほどもらったお守りをすべて、門司からパラオに行く船から海に捨てたといいます。こんなにたくさんの神様に頼んだら、神様同士が喧嘩してしまうのではないかと考えたからだそうです。
●生きる意志(84頁)
お守りを全部流したのも、本当は「神様の喧嘩」なんかが理由じゃありません。自分の「生きる意志」こそが、自分を守ってくれると信じていたからだと思います。
●奥さん(237頁)
水木は以前、雑誌の編集者に「奥さんはどういう人ですか?」と聞かれて、
「『生まれてきたから生きている』というような人間です」
と答えたそうです。
●選んだ道で(250頁)
どんな生き方を選んだとしても、最初から最後まで順風満帆の人生なんてありえないのではないでしょうか。人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道で「どう生きていくか」なんだろうと、私は思います。
☆関連図書(既読)
「総員玉砕せよ!」水木しげる著、講談社文庫、1995.06.15
(2016年2月20日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
巨人・水木しげると連れ添って半世紀。赤貧の時代、人気マンガ家の時代、妖怪研究者の時代、そして幸福とは何かを語る現在…常に誰よりも身近に寄り添っていた妻がはじめて明かす、生きる伝説「水木サン」の真実!布枝夫人にとって、夫と歩んだ人生とは、どんなものだったのか…!?水木しげる夫人が、夫婦の半生を綴った初エッセイ。 -
個人的に「お見合い結婚」にいい印象がなかったのですが、夫婦となったあと、夫を信じて支え続けた妻の姿と、家庭や血縁者を大切にする夫が信頼関係を築いていく様子が素敵でした。
夫婦の関係とはこういうふうに作っていくものなんだなあと。
大恋愛をしたからといって、夫婦関係がうまくいくとは限らない。むしろ「こういうもの」と割り切って運命を乗り越えていく人のほうが、そのときそのときの幸せを大切にできるのかもしれない。
水木しげるといえば、日本を代表する漫画家です。
しかし、大物の家庭とは思えないほど、「仕事に明け暮れる夫と、それを支える妻」の姿には生活臭があふれていて、読んでいてうらやましくなりました。 -
ドラマは大分忘れてしまったけど、ご存じ、原作となった本。水木しげるさんが亡くなったということで、思い出したように手に取った。
読み終わって、今、布枝さんはどんなお気持ちだろう・・どうかお元気で過ごされ、しばらくは水木しげるさんの語り部となっていただきたいと思った。 -
朝ドラは見ていない。
水木しげるさんが亡くなられた。
近所の図書館では特集棚ができた。
戦争経験で左腕を失ったこと、貧乏だったこと、ゲゲゲの女房との結婚。
知らないことが、読みやすい語り口で
どんどん入ってきた。
水木しげるさんの人生は
終わり良ければすべて良しでしたか?
悩みながらも、これからも前を向く。 -
出会って、結婚して、大変だけれど幸せな生活。
貧乏だった、とは聞いた事がありましたが
まさかここまでとは…というもの。
それでも必死でやりくりできた手腕が素晴らしい。
しかし出会いから結婚するまでが5日。
スピード婚は、昔もあったのだな、と…。
生活が安定し始めれば、それに伴う弊害が。
子供にでて、自分に出て…。
互いにその視点に立たねば、何がいけないのか
さっぱり分からないのは確かです。
貧しいけれど楽しい我が家。
読んでいて、そんな気分にさせてくれました。
実際問題、そんな簡単に終わる生活では
けしてなかったでしょうけど。