- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408110479
作品紹介・あらすじ
川崎市から始まる政府・省庁も注目新・中小企業支援。異色公務員集団が大企業や金融機関を巻き込みものづくりの町・川崎市を元気にする!話題のオープン・イノベーションの最前線!
感想・レビュー・書評
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上司から勧められて読んだ一冊。
川崎市における中小企業支援の成功例を取り扱っています。レビューでは、意見が大きく分かれているようですが、確かに、川崎市が他の自治体より熱心にこの分野に取り組んでおり、確かに一自治体でここまでなかなかできないなと思う反面、このモデルが数人のキー人材に注目されすぎており、この体制で川崎市ほどの政令指定都市の中小企業のどれくらいの数をこの方式でカバーできているのか、何をもって成功としているのか、不明確な部分は多かったと感じます。
人に依存したシステムが永続するとは思いませんが、市全体としてこのようなスタイルを意識し、成功(というより、成果、売上や地域貢献など)事例を生み出し続けることこそが、川崎モデルの成功と言えるのではないでしょうか。
現時点では、なかなかそこまで断定できないような気がしてしまいます。
▼癒着ではなく、密着
▼知財コーディネータと市職員の両方が、中小企業を訪問し、その仕事を理解し、経営者に寄り添い、一丸となって取り組む。その理解と覚悟が、全国に行きわたっていない
▼5つの非金融資本(ソフィアバンク)と川崎モデル
①知識資本
・メルマガ・ホームページからの情報提供
②関係資本
・キャラバン隊訪問、飲み会や勉強会
③信頼資本
・認定制度、受賞イベント、市での採用
④評判資本
・メディアへの紹介
⑤文化資本
・市による施策の実施
▼川崎モデルの支援フロー
①元気な企業の発掘
・アンケート配布
・ブラインドコール
・ブログなどSNSのチェック
・企業経営者との勉強会での口コミ
・金融機関からの紹介
②企業の強みの発見
・キャラバン隊の訪問(市職員、コーディネータ、金融機関、大企業知財担当者など大人数)
③強みの見える化
・認定制度への応募
・受賞イベントへの応募
・認定・受賞後のメディアへの露出
④オープン・イノベーション
・大起業との知財交流
・大学との共同研究、インターンシップ
・異業種企業とのコラボレーション
・住民との交流
・地域金融機関のショールーム活用
<この本から得られた気づきとアクション>
・行政の概念を超えたところに新たなモデルがある。一歩間違えると誤解を生むかもしれないが、その勇気と信念は見習うべき
<目次>
プロローグ 川崎モデルについて
第1章 川崎モデルの誕生までの歩み―工都・川崎市の空洞化
第2章 成功例で見る川崎モデル―成功の鍵は「癒着ではなく密着」
第3章 川崎モデルの営業スタイル―企業の強みを見える化する方法
第4章 川崎モデルのチームづくり―大企業・銀行・大学・中小企業・役所
第5章 イノベーションを生む川崎モデル―オープン・イノベーションの実現
エピローグ 川崎市のさらなる進化詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
川崎市は、派手な横浜市の陰で、地味な印象があるが、いぶし銀の政策を立案することで知られており、その一つが、「川崎モデル」と呼ばれる中小企業支援モデルである。
この本の著者は、田坂広志とともにソフィアバンク代表を務める藤沢久美氏である。
川崎モデルの中小企業支援には、四者が登場する。川崎市役所と川崎市産業振興財団と地銀と地元企業である。
そして、川崎モデルのポイントは、足である。
川崎市職員と、川崎市産業振興財団のコーディネーターが地元中小企業を訪問して、会社の強みや社長の性格まで把握している。足で稼いだ信頼関係がベースである。
工場が海外に移転し、産業の空洞化は全国で問題になっている。その突破口は川崎モデルにある。 -
へえぇ・・・と思う。川崎市の、街を(特に中小企業)を活性化させる取り組み。
ポイントは中小企業を対象にしていること、職員が能動的・活動的に動いているところか。 -
川崎市役所の職員のアイデアが市内外を問わず、中小企業の技術やものづくりを取り上げ支援し、拡散して地域にも還元していくであろう実例集。
あまりにもさらっと読んでしまったので、再読が必要。
産業振興推進に市がこんなに関与していたとは、市民なのに知らなかった。継続しているというのがさらに素晴らしい。
やってみようの精神と繋がっていく社交性、きちんと相手を吟味して、さらに基準も設けていく中で個の力がまた類友で繋がってチームになっていくのは痛快なほど。
さらに裾野を広げてもらいたいのと、ものづくりを活性化してほしい。また何らかの形で関わることができたらいいなと思う。
この中心人物が抜けても継続できるよう育成も必要。 -
20140831 地域活性化の新しい取り組み。新しいというより基本に戻った活動なのだと思う。農業でも同じような動きが広まっているのでこの流れが展開されて行くと日本も元気になるのでは。何にせよ行動すること。
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少し現場を離れて現場が見えなくなっているところでこの本を手に取った。ここに登場する市役所職員は、できないではなくできるようにするにはといった常に前向きな方々である。今の自分にとって少し見えなくて忘れかけていた現場主義をあらためて思い出すことができた。自分はそっちの人間、もう一度見つめ直して今を過ごしたい。そう思えるようになった。
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中小企業支援を生業にしている人、関わる人は読んだほうがいい。
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そもそも前提として、川崎モデルが成功しているのかどうかが本書の内容だけでは判断しづらいところがあるのだが(何をもって成功と言っているのかが不明確でミクロな事例しか出てこない)、地方公務員として、こういう現場主義でかつフットワークの軽い働き方をしてみたいなとは思わせられた。若手勉強会が「川崎モデル」の原点というのも、若手勉強会に関わっている身としては励みになった。
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20140618読了