朝鮮崩壊 米中のシナリオと日本

  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408110752

感想・レビュー・書評

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  • 朝鮮崩壊と中国共産党一党独裁の終焉、

  • 大變面白かつたが、誤植と事實誤認が多過ぎて、著書全體に對する信頼感を損ねてゐるのが殘念。一例を擧げると、「日本」は朝鮮語で「イーポン」だと書いてあるが、「イルボン」であるのは今日では多くの人が知る所である。また「水源(スイウォン)」は「水原(スウォン)」の誤りではないか。他にも年號表記で信じられない誤植があつた。編輯部のチェック體制が杜撰なのが大變殘念だ。

  • 高校時代から追いかけていますから、長谷川氏の本はもう30年近く読んでいる事になります。この本は北朝鮮が崩壊すると彼が予告した本です。

    この本は北朝鮮を3種の50万トン(無煙炭・原油・穀物)で支援していた中国が面倒を見切れなくなって難民が韓国に押し寄せるだろうというものです。その前に米国は韓国に対して、日本から援助を受けられるように方針を変えるべきだと手を打っている様ですね。

    統一については、西ドイツが東ドイツを統一した例も出しながら、韓国がいかに苦労するだろうかという点にも触れられていて大変面白い内容でした。

    また、この本で私は初めて、ベルリンの壁が壊されるに至った経緯(p134)を知りました。

    以下は気になったポイントです。

    ・オバマ大統領はクリントン大統領以来、18年ぶりに国賓として来日。尖閣諸島が日米安保条約の適応対象であると米国大統領として始めて明言した(P21)

    ・中国は朝鮮戦争が終結した年から無償援助(原油・無煙炭・穀物)を年間各々50万トン無償援助していた、それが今年(2014)になって途切れる可能性が高くなってきた(P24)

    ・20132.12に北朝鮮No.2の、張成沢氏が処刑された。彼は中国人民解放軍「瀋陽軍区」のパイプの層責任者であった、これはそのパイプが切れた事を意味する(p25)

    ・北朝鮮のノドン発射は、北朝鮮第一書記の命令ではなく、習近平の命令である(p18)

    ・17回共産党大会(2007)で、共産党が革命政党から国民政党に変わった事により、共産党と人民解放軍との対立は決定的なものになった(p35)

    ・瀋陽軍区は、系列のシャドーバンキングを救済してもらうために、共産党の命令に従う事にした(p39)

    ・現在検討に入っている、日米韓での軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が締結されると、韓国は中国と一定の距離を置く必要が生じる(p40)

    ・北朝鮮に無償提供している原油は大慶油田のもの、蠟分が多くパイプラインで送るには原油をあたためる暖房機器を設置している、ガソリンがなく平壌には車が走っていない(p45)

    ・北朝鮮の経済が苦しいのは、一番稼いでいた瀋陽軍区に輸出していたレアメタルを日本が輸入しなくなったため。出荷量はピーク時の3分の1程度(p48)

    ・1965年に日本と韓国が締結した日韓基本条約では、日本が韓国に8億ドルの資金援助・経済協力をするかわりに、韓国は一切の請求権を放棄したとしている(p53)

    ・日本は米の関税を500%以上にする代わりに、毎年約5000億円を使って70トンのコメを輸入していていて、それが現在5年分(350万トン)溜まっている、これは港にある倉庫に保管されているので船ですぐに輸出できる(p56)

    ・北朝鮮ではまともに食べられているのは300万人、2000万人以上は飢餓状態、中国からの50万トンがなければ300万人も危ない。北朝鮮からロシアへの労働者は約50万人雇われている、賃金安いのに志願者があるのは、3食付だから(p57)

    ・日本の原油備蓄量は世界一で120日分(6800万トン)、中国の備蓄は15日分程度(p59)

    ・上海にあった造船会社が相次いで倒産(6社中3社、隣町の5社は全て)している、造船発注の条件であるシッピングローンが資金提供先のシャドーバンキングが倒産しているから(p65)

    ・2014年中に中国で混乱がおきる理由として、大量の理財商品の償還(18兆円)が到来する、そしてすべて債務不履行になるため(p67)

    ・理財商品の残高について、李氏は邦貨換算で340兆円と明らかにしたが、実際は500兆円はあるだろう。これらが投資効率の全く低い、高層マンション・高速鉄道に投資された(p68)

    ・理財商品でトラブルとなった最初の銀行は邦銀(三菱UFJ、三井住友、みずほ)であり総額は1000億円、なので日本の銀行は理財商品に関する融資は一切受け付けない(p71)

    ・中国太陽光電池メーカの、太陽能科技が2014.3に予定していた社債の金利支払いができず、中国本土の債券市場で初めてデフォルト案件となった(p73)2014年通年では、理財商品の償還は合計68兆円、不可能と考えられ中国国内では混乱が起きるだろう(p75)

    ・全国に3万社あるシャドーバンキングのうち、2.7万社は倒産するだろう、そしてここから融資を受けていた中小企業300万社が連鎖倒産する可能性が高い。その労働者は約2億人、国有銀行は国有企業にのみ融資していた(p76)

    ・米国債はいつでも換金できる優良資産、現在1.3兆ドルあるが、いまでは1.2兆ドルまで減少している、人民元の売りを米国債を売却した資金で買い支えている(p88)

    ・円安がスムースにいったのは、米国債を日本が積極的に(中国に代わって)購入するとしたから(p89)

    ・人民元が国際通貨になれない理由、2012年における国際貿易の年間総額17兆ドルの決済は全て米ドル、90日の期限付き手形をつけるために4.25兆ドルのキャッシュが必要。これをもっているのはニューヨークにしかない(p90)

    ・日本の三大銀行には世界中の超一流企業のトップが殺到している、世界の資金供給源は日本の3大銀行しかないので、そのカネを融資する原資は日本国債、2013.10以降で40-43兆円にのぼる、それを売っても相場が崩れないのは、地方銀行と年金法人(GPIF)が買っているから(p100)

    ・日本では公害抑制がうまくいったが中国ではうまくいかない、儲けが全ての拝金主義とノルマ主義なので、公害防止装置を稼動すればメンテナンスがかかるが、維持費を捻出できないので動かさない(p119)

    ・北朝鮮と中国の崩壊は、1989.11.9にベルリンの壁が崩壊したのと同じような経過をたどるだろう、ハンガリーがオーストリアとの国境にあった鉄条網を撤去した事(1989.5)から始まった。東ドイツ→ハンガリー→オーストリア経由で西ドイツに亡命した。11.9に東ドイツ国民に大幅な旅行許可書発行規制を緩和して事実上の旅行自由化となり、人々は壁に集まって破壊した(p133、134)

    ・最初にハンガリーから亡命したのは、医師・看護婦・鉄道の機関手、その補充をソ連のゴルバチョフに依頼したが断られた(p135)

    ・西ドイツは東ドイツを敗戦国として扱った、東ドイツ軍は左官以上の将校はみんな退役、兵器・軍艦はすべて没収して売却、理系教授は残したが文系教授はすべてクビ、外務省にいた2000人のうち残れたのは8名、特殊能力を持っていたから(p137)

    ・米国保有の空母6隻のうち、東アジアで3隻も行動している、これらの空母がアジアで使用できるドックは、横須賀第六、佐世保第4の2つだけ、それがなければサンディエゴまで帰る必要がある。これが米国が中国から日本を守る理由(p148)

    ・オスプレイ配備は2013.9には24機となった、航続距離3900キロ(CH46:700キロ)、輸送兵員数は倍の24名(p149)

    ・天津近くの農村から北京に出稼ぎに出て都市戸籍を買収しようとすると、天津共産党書記と移住先の両方に買収金を払う必要アリ、約3万元(50万円)で農家の年収(1万元)の3倍、それができない人は農民工として働く、彼らは2億人近くいる(p161)

    ・共産党が国民をコントロールできるのは、ダンガン(個人の履歴書)制度というシステム(p163)

    ・戦前の陸軍は徴兵制度であり、新兵教育に17週かかったが現在の志願兵では6週間ですむ(p167)

    ・防空識別圏のことを中国語では「防空識別区」という、区とは権利があるという意味(p175)

    ・日本は損害賠償をしないかわりに、ODAでインフラ投資を支援してきた。その総額は3.6兆円、いまでも2011年度で数億ドルの援助をしている(p196)

    ・日本の年間貿易赤字は10兆円、資本収支が22兆円の黒字、12兆円(1兆円は知財収支)が日本へ入ってきている(p208)

    ・TPP加盟国で中国を包囲するが中国は何も出来ない、韓国は入っていないので関税に関する情報が一切入らないので韓国は困っている(p211)

    2014年6月22日作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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