火星地球化計画: 火星探査とテラフォーミングの真実

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408322353

作品紹介・あらすじ

2014年、人類は火星の地に降り立つ!?NASAの火星調査は火星へのテラフォーミング計画の序章にすぎなかった!火星地球化計画の全貌とテラフォーミングの歴史を、火星探査の最新情報とともに解説するサイエンス・ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年刊。著者は「サイエンスZERO」MCや雑誌「ネイチャー」翻訳者として著名なサイエンスライター。

     人口爆発・地球環境破壊への最後の切り札、それは火星移住(些か誇張はあるだろうが)。
     火星での生存に不可欠な水の存在が、最新観測機器や火星での直接探査で判明しつつある。本書は火星探査の歴史と現状(少し古いが)を明らかにし、いわゆるテラ・フォーミングの方法論に関する知見を開陳する。

     銀河鉄道999や宇宙戦艦ヤマト2199など物語にしか存在しなかった火星内での人類の生活が、科学的な土俵には乗ったことを示し、感慨深い。

     本書はそれのみならず、原住生物への侵略ともいえる地球化計画の倫理的問題(細菌などの微生物は火星原住産が可能)や地球を破壊する人類は火星もまた使い捨てするのではないかという問題も指摘する。

     ところで、火星のテラ・フォーミングは火星の極地の平均気温を4度程度上昇させることで温室効果が拡大し大きく前進するというものだが、翻って地球環境を見れば、その程度で火星の温室効果を亢進しうるなら、現状の推移が地球の金星化計画を助長しているのではないか、という素朴な疑問も起こしうる書でもある。

  • ある惑星や衛星の環境を丸ごと変えることをテラフォーミングという。
    本書はタイトルの通り、火星を地球環境に変えることを解説している。

    前半は、火星の地理と、過去の探査計画についてテンポよく解説されている。

    火星は、重力0.38G、自転周期24.6時間、自転傾斜角25度12分で、重力は小さいものの、自転周期と傾斜角は地球のそれとよく似ていて、テラフォーミングに太陽系の中では最適だという。
    さまざまな方策があげられているが、温度を上昇させること自体は比較的簡単だが、人類が呼吸できるような空気環境にすることが難しいようである。
    また重力の低さは、どうしようもないものがある。
    今のところ、ガンダムのスペースコロニーのように、遠心力による重力しか発生できない。
    ドラゴンボールの宇宙船のような、床面に重力が発生させれたらどんなに素晴らしいかと思う。

    本書の最後にも述べられているが、テラフォーミングには倫理的問題も伴う。
    そこで、人類が月へ到達する前は月に降り立つことについて、倫理的問題は議論されなかったのかが気になった。

    人口爆発と、慢性的な世界的不況の中では、やはり宇宙にフロンティアを求めるべきだと思うのだが。
    1960年代に月に到達した人類である。モチベーションの問題だと思う。

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著者プロフィール

たけうち・かおる サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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