ガダラの豚

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著者 : 中島らも
  • 実業之日本社 (1993年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (598ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408531915

ガダラの豚の感想・レビュー・書評

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  • 「呪術」をキーワードに、アフリカの風俗社会と現代日本のテレビ放送(今ならネットか?)を繋いでみるアイデアをひらめいた時点で、この小説の成功は約束されていたのかもしれない。著者自身を彷彿とさせる主人公の民俗学者をはじめ、いずれも魅力十分のキャラクター、またどんな深刻な状況でもウィットを忘れない会話のセンス、そしてあっけなく死んでいく登場人物たち。。。
    中島小説の粋を詰め込んだ極上のエンターテイメントだ。

  • 分厚い本でした。
    でもサクサクと読めて最後の方は気になって気になってめくるめくる。

  • 大ファンの中島らもさんの代表作のひとつ。
    いつか読もうと思いつつハードカバー598ページの大部に恐れをなして、購入したのがようやく昨年の秋。
    一気読みしたい衝動を抑えながらじっくり読みました。
    で興奮とともに今朝読了。
    ああ、すごい。
    本当にすごい、中島らもさん。
    凡百の作家が束になってかかっても敵わない稀有な才能。
    生きていれば傑作を次々と生み出したはずなのに不慮の事故で52歳で急死しました。
    やはり大ファンの町田康さんが、中島らもさんの思い出を語っていました。
    その中で、ずっと胸に残っている中島らもさんの言葉があります。
    「自分はこれからは本当のことしか書かない」
    「本当のことを言ったら殺される。しかし、それでも自分は本当のことしか言う気がしないのだ」
    町田康さんによれば、中島らもさんが亡くなったのはそれから間もなくのことだったそうです。
    中島らもさんといえば、私が最も気に入っている文章があります。
    「バンド・オブ・ザ・ナイト」に出て来る「蚊の目玉について」。
    長いけどカッコよすぎるので引用します。
    □□□
    人間の目というのは要するにレンズでできている。レンズでできているのであれば我我の脳内に結ばれる影像は上下倒立して映るはずだ。それがそうならないのは人間の脳の中に上下倒立した像をもう一度ひっくり返す、何かそういうシステムがあると考えざるを得ない。
    それで知り合いの眼科医に尋ねたところ、人間の脳にはやはりそういう機能があるのだそうだ。では蚊はどうだと訊くと、蚊にはそういうシステムはないという。つまり蚊の世界観は倒立しているのである。だから蚊にとって下降することは上昇であり、空高く昇っていくことは地獄くだりなのである。だからどう、ということは別にないけれど。
    □□□
    うーん、痺れますっ。
    この流れで「地獄くだりなのである」まで書いたら、普通は教訓めいたことを引き出して書きたくなるじゃないですか。
    でも、中島らもさんはそんな野暮なことはしない。
    「だからどう、ということは別にないけれど」と書いてサッと引いてしまう。
    洗練の極みです。
    って、中島らもさんのことを書いてたら、もう思い入れがあり過ぎてあっち行ったりこっち行ったりですみません。
    で、えーと、そうそう「ガダラの豚」。
    呪術がテーマの作品で、第1部は民俗学者で主人公の大生部が新興宗教にハマった妻を救い出す話、第2部はその大生部たちがアフリカの呪術師の村を訪ねる話、第3部は強力な呪術師と大生部が日本のテレビ番組で対決する話―。
    うん、かなり簡単に書いてしまったけど、間違ってません、よね?
    ラストは殺戮に次ぐ殺戮でもう圧巻の一言。
    くらくらと目眩を覚えながら、ラストだけはページを繰る手が止まりませんでした。
    物語も面白いですが、私はやっぱり中島らもさんの容赦のない描写、ひねったユーモアが好きです。
    贅沢な読書体験でした。
    あらためて故人のご冥福を祈ります。
    一生かけて全著作を読ませていただきますので。

  • 実家の本棚から取り出してパラパラとめくっていたら止まらなくなった。とはいえ分量が多いので一気には読めずに2週間かけて。今回で2回目か3回目。呪いがテーマの冒険活劇。細かい内容はまったく憶えておらず、まっさらの状態で楽しめた。それにしてもこれほど血湧き肉踊る小説は珍しい。この世界にずっと浸っていたい感じ。この本には呪力ならぬ魔力がある。らもさんは書きながらその魔力に助けられていたのかな。『呪い』はネガティブな言葉だけど、どうせならポジティブな『呪い』をかけたいものですな。

  • 分厚いが読み始めると止まらない。
    アル中ヤク中描写は本人の体験に基づくんだろうな。
    アフリカの呪術に興味が出てくる一冊。

  • 学生時代、一気に読んだ記憶が思い返される。
    面白かったなぁ。

  • 一本の太いストーリーの幹があるような話ではなく、大きく分けて3つの話がコンバインドしている。
    それは中島らもが積極的にそうしたかったわけではなく、連載の都合で話を編集者と詰めていく中でそうなったに過ぎない、いわばプロの事情である。

    博学にして物書きのプロたる中島らもの書くこのエキゾチックホラーエンターテインメント小説はその場その場の盛り上がりを楽しめる週刊漫画のようなつくりをしていてあっちへこっちへと読者の興味は振り回される。3部を通しで一気に読めばそれはかつてない体験になるはずだ。

  • 色々なジャンルが混ざっている。
    期待を裏切るヒーロー役に【現実は甘くないんだよ】という
    「中島らも」のメッセージを感じた。

  • 3月28日読了。「このミステリーがすごい!」1994年度の第5位、国内総合でも14位の作品。まさに書を置く能はず、圧倒的に面白い小説だった!1部で「へー」満載、読者に科学的な態度(?)を植えつけておいて2部で未知の世界へ読者をいざない、後半に向けてハラハラ度を高めてから3部でズドーンと爆発する。最後の締め方は、少々伏線が不足している気もするがまあ、これしかないという終わり方か。いずれにせよ、むちゃくちゃ面白かった。

  • ★4.0
    「言葉こそすべてじゃないか。人は自分の魂をちぎって投げるんだ。それが言葉だ」

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中島らもの作品

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ガダラの豚の作品紹介

怪しげな僧侶やインチキ新興宗教の教祖、超能力青年や手品師、さらには呪術研究家やアフリカの呪術師など、日本とケニアの魑魅魍魎が跋扈する世紀末の人間戯画。

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