箱館売ります: 幕末ガルトネル事件異聞

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534558

感想・レビュー・書評

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  • プロシア商人ガルトネルとの開墾条約事件。裏で糸引くロシア人、佐幕倒幕の垣根を越えて守る日本人というのが異聞としているところなのかな。ガルトネルによって七重(現七飯町)が西洋農業発祥の地となる地盤が築かれはしたけど、土地を99年借すのは取られたに等しかったはず。自国の土地が他国の人間に買われている現在の危機。話が逸れた。土方歳三は物語になる男だね。少なくても私が読んだ中では、主役じゃなくても、作品に根を張った存在感があり、様になる人物だ。

  • 幕末に函館五稜郭で起きたガルトネル開墾条約事件を描く。

  • 思っていたよりも土方の登場シーンが少なく、政治・外交の色が濃い印象を受けました。
    私はのめり込んでしまいましたが、もしこの作品を『新選組副長の最期』を取り上げた小説だと思って読んでしまうと期待外れになってしまうと思います。

    (鉄之助以外の、相馬や島田と言った新選組隊士が登場しなかったからだとは思いますが、)新選組の小説でよく見かける『箱館に来て柔和になった副長』はほとんど見当たらなかったような気がします。
    凛とした雰囲気の、読んでいてとても清々しい気分にさせてくれる人物として副長が描かれている印象を受けました。
    確かに登場シーンも台詞も少ないのだけど、土方さんが異様に格好良かったです……!

  • 明治初期の混乱に乗じて、蝦夷を植民地にと いう野望を抱くロシアのスパイユーリイ。陰 謀が遅々として進まず悶々とした日々を過ご すある日千載一遇のチャンス到来。旧幕府軍 が本州を追われ函館に上陸。五稜郭に籠もる 榎本に、プロシア人を通じてある取引を持ち かける。政治の駆け引きに疎い、旧政府軍に 忍び寄る罠、そして陰謀を阻止せんと暗躍す る土方率いる50人の素人集が仕掛ける驚天動 地の作戦とは。。函館戦争、プロシア人によ る土地借入。紛れもない二つの史実を線で結 び、新選組の副長としても名高い土方にある 重要な役割を演じてもらう。奇想天外なアイ デアとスピード感溢れる筆致力。

  • そんなことしたら、植民地になっちゃうじゃん。
    でも、そんなことは誰も知らない。
    植民地反対のために、敵味方関係なく、力合わせたのは、いいと思った。

  • 新聞の宣伝広告では土方が主人公のようだったが、三分の一に届くまで全く登場しなかった。函館戦争の模様も期待していたが、内容のほとんどは条約についてであり、最後の30ページしか函館戦争は出てこなかった。面白かったが、期待していたのと大きく違ったので星三つ。

  • 視点がとても面白い。これは「美姫血戦 松前パン事始異聞」の時もそうだったのだけれど、作者さまが北海道生まれだからかなとも思う。目線が佐幕でも官軍でもない、北海道人独特な目線。それがすごく素敵。
    七重のガルトネル開墾条約事件をベースにしたお話で、箱館戦争に興味がある人なら知っている名前がわんさか出てくるので面白いと思う。
    ただ少々幅を広げ過ぎたというか、主人公がいまいち誰かよく分からないので広く浅い印象を受ける。
    ガルトネルや土方さん、大鳥さんについ目が行ってしまうけれど、本当の主人公は八千人同心の蝦夷移住組一族である金十郎と順三郎だと思うの。彼らの背景をもっと知って、同じ目線で読んだら萌え120%になるんじゃないかなと思った。八千人同心蝦夷移住組は今後の宿題だなあ…。

  • いやもう、土方さんカッコイイ!
    これに尽きる。

  • 土方ファンとしてはいまいち。
    祝賀会の様子は好き。ワインをちまちま飲んで、やっと飲み干して満足げな土方さんは可愛い。
    帯についていた素人50人を率いて戦うとかいうシーンも少なく、不満

  • ■プロシア人租借地の陰にうごめくロシアの策謀。土方歳三が素人50人を率いて挑む驚天動地の戦。富樫倫太郎の新境地。痛快無比の幕末史談。

    ■■とにかく土方さんがかっこいい!痛快です。その反動か他幹部はへなちょこ。大鳥さんの扱いが酷い。新選組連中はほとんど出てきません。潔いを通り越してあっけらかんと死を見つめる彼に、今までにない強さを見ました。や、ホント、かっこいいしいい男だなと。三度の飯より戦が好きなのだそうだ。

  • 幕末ハコダテを舞台にした痛快ミステリー

    世の中は新撰組ブームとか。その影響でゴールデンウィーク中の函館・五稜郭は花見客も含め空前の人出。さてこの「箱館売ります」。刺激的なタイトル(内容とはちょっとギャップあるけど)で思わず手にしてしまいました。榎本武揚率いる旧幕府軍(かの歳さまもその一員)が箱館(いまの函館)を占領していた時代に、七飯で農場を経営していたプロシア(いまのドイツ)人、ガルトネルが榎本「共和国政府」相手になんと300万坪もの土地の99年貸与に成功、その裏でロシアの諜報機関が暗躍というストーリー。ネタばれはマナー違反なので、これ以上書けませんが、歴史的事実をきちんと押さえた上で、歴史の謎とされてきた部分を小説家の想像力でみごとに解いてみせたあたりはなかなかのもの。人物の感情の機微をもう少し書き込めていれば、一級のサスペンス・ミステリーになったのですが、史実の面白さの方にやや引っ張られすぎの感もあります。この種のミステリーの種に事欠かないのが幕末という時代の魅力、そしてハコダテには未発掘の素材は豊富。もっともっと新しい書き手がたくさん現れて欲しいものです。

  • 餅をキッチリ焼く土方さんてもうデフォルトなんでしょうか。他にもごはんを女性のように上品に一粒残さず食べたり、祝賀会で浮いてたり、中々キャラが立ってる土方さんです。

    もう死ぬつもりで何も口を出すまいとしているのに陰謀めいたものに気づいてしまう流石の副長。こっそり動きます。いやしかしこっそりだろうがもの凄い常勝将軍っぷり。
    榎さんも懐深い大物。大鳥さんは…。まぁ…うん…。

    個人的に一番気になったのはハイネケン。この時代に日本人飲んでたの!?

  • これ…作者、絶対土方歳三好きでしょ。そして大鳥圭介好きじゃないんでしょうね(笑)
    主役じゃないのにやたらと目を引く土方歳三は、この作者さんの箱館三部作ではもはやスタンダード。タイトルを含め、『箱館売ります』が一番好きでした。
    土方さんの餅に対する情熱がはんぱない件。
    あとやっぱ朱子より陽明の方が好きだと思ったとてもどうでもいいけど。

    途中の奉行並の心情切なかった、「この人についていけば、死に場所くらいは見つけてくれそうだ」。実際幹部クラスで死んだのこの人(と中島さん)だけなんだよなーと思うと。戦神じゃなくて人間でした。
    会議に口を挟まない、祝賀会でも若干浮きがちな農家の末っ子は富樫先生の中でデフォルトなんだな笑(cf.美姫血戦)
    蝦夷共和国すげー切ない、富樫先生の書く戊辰戦争とか見てみたいなー宇都宮とか会津あたりから。
    文庫化してほしいものです。

  • 今探している最中です
    文庫化希望。

  • 大鳥圭介が面白い!!!
    なに、この大鳥さんは!?嫌な奴なのに憎めません。
    土方の事を毛嫌いして、人見とは仲が悪くて、なんとも嫌味な男です。
    脱走軍が金が無いと悩んでいるのに自分には関係ないとばかりに遊郭に頻繁に通う貴方が面白い!!現実主義者のエリートで子供の頃から苦労したことがないというのが、この作品の大鳥さんのプロフィールなんですが、今までにないくらいに私のツボに入りました。
    戦下手な理由も、『なんで自分がこんな所で死なないとならんのだ』と思って、戻ってくるからだそうです。諦めが早い。
    何が何でもここを死守するなんて気持ちなんてさらさらありません。
    この作者、絶対大鳥さんの事嫌いですよ。で人見さんが好きなんでしょうね。
    大鳥VS人見の喧嘩とかあるし。
    物語の内容は箱館の広大な土地を無料でプロシア人に貸すかどうかって話なんですが、これにロシア人の陰謀も入ってくるから、さぁ大変です。
    なにはともあれ、土方と榎本は格好良く書かれてます。
    でも、新選組は土方と小姓の鉄君しか出てこないのが、少し不満です。
    せめて島田くらいは出て欲しかった…。欲を言えば、やはり相&野も出して。
    伝習隊の本多君ですら名前が出たのにな←これはこれで嬉しかったデスvv
    この小説を読むと、当時の箱館の街のイメージや、港のイメージ、それに、蝦夷共和国のお金の無さが良く理解できました。
    笑いどころは、やはり、大鳥さんのキャラでしたけどね(笑)。

  • 阿呆の自分は、こんな事件があったことも知らずに生きていた。反省。
    厚いうえに二段組みのハードカバーだが、一瞬で読めるリズムがある。登場人物たちの動きも軽快だ。
    土方贔屓が少し気になるけれどもw

  • 函館への道すがら、りんご畑を見つけたんですけど、
    あれって、もしかして、ガルトネルリンゴ!?

  • 個人的にはここ最近読んだ本の中で一番面白かったです。ブリュネがさり気なくいい役回りをしているし土方(や鉄之助も)いちいちいい味を出している。ちょっと大鳥圭介が“かわいそう”な描かれ方をされてはいるが人見勝三郎や中島親子など脱走軍が沢山描かれていて、それぞれ独特の個性があって良かった。

  • これも憧れサイトさまで管理人さんがオススメされてて、ずっと読みたかった。よかった…!たくさんの人が出てくるし、歴史とか地理とかの知識が全然ない私が読んでも訳わかんなくなっちゃうんじゃ、と心配したんだけど…文章が上手いからなのかな、平気だった。ブリュネと土方さんとか、土方さんと中島さんとかの組み合わせ好き。たくさん組織や派閥があって、それぞれの立場とか譲れない考えとかありながら、ぶつかりながら分かり合いながら、同時期に生きたひとたち。「近藤や沖田が、早くこっちに来いって手招きしてるんです。地獄で新撰組をやろうって話です。それも面白そうだと思いましてね」「ここの戦はもうすぐ終わりそうだし」「もう私の出る幕じゃありませんから」新撰組の鬼副長とはまた違った顔の土方さんは、せつないこと言うしまた違って男前だし、たまにかわいいし。国と派閥のごちゃ混ぜになった人間同士の争い。面白かったです。

  • ユーズド価格:¥ 1,075

  • 土方歳三好き・蝦夷共和国好きに人気のある小説。オリジナル要素強めですが、キャラクター性をよく表現していて楽しめます。大鳥圭介ファンにとってはちょっと悲しいかも。

  • 理想の土方!この人絶対土方好きだよね?

    同じものを大事にしているようで、描く理想は違っていて、それぞれに信念がある。
    ゆえに戦う。

  • とにかくかっこいいぜ、歳さん!

  • 「蝦夷・ガルトネル・土方歳三」にサンジェルマンとか九尾の狐をプラスして伝奇仕立てにしたのが『殺生石』なら、ロシアのスパイを絡ませた時代小説にしたのが、この『箱館売ります』といったところ。土方歳三は、さらりとカッコよく活躍し散ってゆきます。

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著者プロフィール

1961年北海道生まれ。98年に『修羅の跫』で第4回歴史群像大賞を受賞しデビュー。以降、時代小説や警察小説を中心に活躍。本書はドラマ化もされた「生活安全課0係」シリーズの主人公・小早川冬彦が、警視庁本庁から日本各地へ活躍の場を広げていくシリーズ第2弾。著書に「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」「スカーフェイス」「警視庁SM班」などのシリーズ他多数。

「2023年 『スカイフライヤーズ 警視庁ゼロ係 小早川冬彦Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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