空飛ぶタイヤ

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著者 : 池井戸潤
  • 実業之日本社 (2006年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534985

空飛ぶタイヤの感想・レビュー・書評

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  •  ハードカバーで489Pに及ぶ長編。そして、しかも、2段組!!この作品を手にしたとき、あまりのボリュームに「ひいっ!!」って、なったけど、ボリュームの多さなんて関係なし。むしろ、この作品を途中でやめられる御仁がいたら、お目にかかりたいくらい(笑) 読んだ後の達成感とすっきり感は、はんぱないです。
     「下町ロケット」と設定同じなのに、なんでこんなに面白いかな。

     会社とは、人である。人に誠実に対峙するところから金が生まれる。そして、働く者は、余すところなく皆、戦士である。そう感じた。
     私も、戦士であり続けたい。

  • すごいなーこの人は、どんだけ資料を読み込みどんだけ取材しているんだろう、と思わず感服してしまいました。

    トラックの脱輪事故で死者を出してしまった赤松運送、件のトラックの製造社で事故後調査で整備不良と結論したホープ自動車、赤松運送の取引銀行で融資を担当する東京ホープ銀行、
    それぞれの立場と思惑としがらみが絡み合って、いろんな人が暗躍して、なかなか汚い企業の裏側が透けて見えてきます。
    事故原因は整備不良ではなく部品の欠陥であり、本来ならばリコールすべき重大問題を隠蔽し責任逃れをしているホープ自動車の闇を暴く、というのが主な流れです。
    が、正義感みなぎるヒーローが巨大企業の悪と戦うってバリバリな感じじゃないところがすごくリアルで面白い。
    悩んで、もがいても、どうにもならず万事休す…ってところからの起死回生の挽回ぶりが読んでいて気持ちいい。
    結末は予定調和だけど、やっぱり目頭がジーンと熱くなりました。
    赤松さん、PTA会長という父親の顔も素敵だったなぁ。
    vs女王蜂の戦いも興味深かったです。

  • 風神 雷神の顔があんなに怖いのは、
    <邪気>を払おうと、
    <悪>に対して威嚇している為だ。

    …と、以前聞いた話をぼんやりと思い出していた。

    走行中であった『赤松運送』のトレーラーから外れた車輪が、運悪く母子を直撃。
    子は軽症であったものの、母親は死亡。
    あまりにも不運すぎる事故に打ちひしがれた家族の怒りは、当然母の命を奪った運送会社の社長『赤松』に向けられる。
    (事故の原因)などどうでも良い、起こった事実のみで、評価を下す世間からのバッシングも、
    実は<非が無かった>赤松運送を追い込み、
    彼の会社は風前の灯となってしまう。

    だが、
    実はトレーラー自体に問題があり、諸悪の根源は、
    誰もが名を知る、大手自動車会社の方にあり、と知ってからの赤松は吠えた。

    中小企業のいわば、<弱者>が、
    大手企業にいくら噛み付いたところで、痛くもかゆくもないだろう。
    それでも、諦めなかった赤松の姿がなんだか、
    私には『赤鬼』に見え始め、
    最後にはこの会社に巣食う邪気を払ってくれる、
    そんな頼もしさを感じ始めていた。

    怖い顔した赤鬼も、本当は弱くて涙もろい事は
    絵本『泣いた赤鬼』で、よ~く知っている♪

  • 三菱自動車の燃費偽装のニュースに、またか三菱自!との思いから、本書を本棚から手に取る。
    9年ぶりの再読となるが、何度読み返しても、胸のすく爽快感に満ちる読後感。
    池井戸潤の本領発揮ともいうべき、最近では珍しい2段組みの489頁になる重厚な大著は、2000年に続く04年の三菱自のリコール隠しが題材。
    死傷事故の原因を運送会社の整備不良に偽装し、自社の欠陥を隠蔽しようとする大手自動車会社。おのれの信じる心に従い、真相究明のため、その大企業に果敢に戦いを挑む中小企業の社長。
    『下町ロケット』とも共通するパターンといえるかもしれないが、こちらは実際にあった事件をベースにしているだけ、よりリアルである。
    書中、三菱自を想定する会社を断罪する言葉が語られる。
    「ホープ重工という、日本を代表する重厚長大企業の自動車部門から独立したのはかれこれ30年も前のことだが、ホープ自動車はいまだ、親方企業の一部門であったプライドと慢心が捨てきれない。」
    「”ホープにあらずんば人にあらず”と言い切って憚らなかった親会社の血潮を、分社化され、隔離されたために、ある意味、もっとも濃厚に受け継いでいるこの部門に属する連中のエリート意識と官僚主義。ともすればコストよりプライドを優先させかねない風土は・・・」等々、枚挙にいとまがない。
    公私ともに苦境に立つ主人公は、この障壁を突き破るべく、艱難辛苦の努力をするが、反転攻勢の烽火は、事故を捜査する所轄警察のホープ自動車への家宅捜査から始まる。もちろんこれは、主人公の必至の訴えに捜査刑事の眼が覚まされたから。
    「この捜査に賭けているのは警察のプライドなんかじゃない、刑事の魂だ。お前らが賭けているのは金と出世だろうが。そんなもんに負けるかよ・・・」何とも気持ちのいい刑事の決意。
    そして、終息はトヨタ自動車を思わせるセントレア自動車への吸収合併となる。
    この小説通りになっていたら、今回の事件も起こらなかったのでは、と、つい妄想してしまう(笑)

  • WOWOWドラマ版もとても面白かったが、小説版も最高に面白かった。かなり分厚くて2段組だったので、読むのにかなり時間がかかるかなと思ったが、あっという間に読み終えた。
    実話がベースだけに真に迫るものがあり、この事件を風化させないという筆者の強い意志を感じた。仕事は誠実にするべきだと思う。

  • 文句なく、面白かった。
    久し振りに夜更かししながら読んだ一冊。
    登場人物それぞれに個性があり、読んでいてその気持ちの葛藤が手に取るように伝わってきて、それがグイグイ読ませる要因なのかな。
    赤松社長の辛抱強さと、手の届く範囲で守ろうとする(自身の家族、従業員とその家族)姿勢がすごかった。
    アクションものじゃないけど、手に汗握って読んでいた気がするよ。
    池井戸作品は初めて読んだが、痛快。

  • ああああーまたやってしまったー、他にすることぜーんぶ放ったらかして読んでしまった…。本を読みながら力付き、起きて速攻読み始め、先ほど読み終わりました。

    途中でしおりをはさむことのできないくらいの面白さ!
    最後は赤松社長の苦労が実ってよかった…。

    サラリーマンの悲しさと、社長の心労と、様々な生き方が書かれていました。
    もし社長になれるとしたら自分はどうするかなあ。もし会社が間違ってるとして、サラリーマンの自分はどうするかなあ。
    そんなことを考えさせられる本でした。

    でも私は、目の前の仕事に誠実であろうとした赤松社長や門田、杉本や井崎、進藤のようでありたいなあ…(難しいです)

    また、そうあることで、信じてくれる人が増えていくのも素敵だった。
    PTAのくだりで、神田さんが応援してくれるのがなんだかとっても嬉しかったです。
    お金や会社のことが関係ないからこそ出た、心からの気持ちだったからかな?

    なによりカッコいいのは濱中営業本部長ですが!自分の信念を持ち、タイミングを見計らい誰も思いつかない案を出し、実行したところが素敵すぎる…(しかもイケメン)結婚してくれー。

  • 三菱自動車工業のリコール隠しをモチーフにした作品。大企業の人を人とも思わない対応(電話の応対に気を付けよう!)に、無条件で赤松を応援したくなる。でも沢田の駆け引きも「あるある~」と頷いてしまう。会社で働いたことのある人ならば共感できるツボが多いんじゃないだろうか。ハラハラドキドキしながら最後まで一気に読めて読後感もよく、おすすめ。直木賞を取れなかったのが不思議。唯一ひっかかったのは実際の事故にあった遺族はこんなふうに考えることができたのかというところ。子供の未来を見ることができなかった母親を思うと悲しい。

  • これは文句なしに★★★★★でしょう。面白本、読み出したらめられない。中小企業、運送屋の社長の赤松社長に襲いかかる苦難の連続。取引先、融資してくれている銀行、ホープ自動車、又家族に襲いかかる苦難、息子の盗難騒動、PTAの女王蜂、などなど。緊張の交渉経過、相手の思惑。裏で動く巨大財閥系企業の派閥、、、色々な苦難を乗り越え、時に絶望のどん底に落とされ、希望の光が一筋さしの展開は読者を最後まで引っ張り続ける。最後に一気に高みに上る、わかっているがこの読後感の良さは気分が良い。

  • 夢中で読んだ。大企業に中小企業が噛み付き真実を勝ち取る話。上下二段の厚い本だったが、時間を忘れた。勝ち取るまでが長い長い!中小企業の社長に感情移入するも悪代官満載で八方塞がりの現状に胸が締め付けられる。しかし我慢した分、逆転劇には胸が熱くなり読後の爽快感はハンパない。登場人物も沢山だが、大企業の真っ黒な悪役がとても分かりやすいし、そこの社員達との駆け引き、子供の学校でのモンペトラブルや、得意の銀行介入、中小企業の社員の絆、とても良いスパイスになっていて飽きさせない。面白かった!

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