橋ものがたり 新装版

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408535050

感想・レビュー・書評

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  • 1980年初版。時代小説ですが、戦国武将も勤王の志士も新撰組も登場しません。市井の名もなき男と女の恋模様や情愛が描かれた10の短編小説です。全作品とも「橋」を舞台にしています。江戸時代の橋は現在の「駅」みたいなものでしょうか。見知らぬ人がすれ違う場所・待ち合わせの場所・別れの場所。男と女の気持ちが、著者の筆力で伝わってきます。切ない気分になります。

  • 藤沢周平さんの作品、4年ぶりに手にとりました。
    時々、読みたくなります。

    藤沢周平さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    藤沢 周平(ふじさわ しゅうへい、1927年(昭和2年)12月26日 - 1997年(平成9年)1月26日)は、日本の小説家。山形県鶴岡市出身。本名:小菅 留治(こすげ とめじ)。

    江戸時代を舞台に、庶民や下級武士の哀歓を描いた時代小説作品を多く残した。とくに、架空の藩「海坂藩(うなさかはん)」を舞台にした作品群が有名である。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    微かな悲哀が、胸を染める。江戸の橋を舞台に、市井の人々の情を描く珠玉の連作短篇集。遠藤展子氏の書き下ろし「父と娘の『橋ものがたり』」特別エッセイ収録。

    ---引用終了


    遠藤展子さんは、藤沢周平さんの娘さん。
    以下は、ウィキペデイアの引用です。

    ---引用開始

    遠藤 展子(えんどう のぶこ、1963年 - )は、東京都出身のエッセイスト。父は時代小説で著名な直木賞作家の藤沢周平。

    父・藤沢周平の関連エッセイを、多く書いている。

    ---引用終了

  • この八月の長雨で
    気分がくさくさするので
    一日 少しずつと
    読み返していました

    その日
    その時の
    体調と気分で
    心に沁みてくる「一編」が
    変わってくる

    いずれにしても
    「しみじみ…」と
    させてもらえる
    確実な一冊です

  • 義理と人情とやさしさと、巷間悲喜こもごもの日常を切り取った名作の数々。読み終わった後は深く息をつき、しみじみとした思いに包まれる。毎日一作、楽しみながら通勤電車内を過ごした。

  • 橋が共通テーマの短編集。全10編。
    約束/小ぬか雨/思い違い/赤い夕日/小さな橋で/氷雨降る/殺すな/まぼろしの橋/吹く風は秋/川霧

    不幸な境遇や日々を生きる辛さなどもありつつも人のあたたかさ、救いを信じられる物語ばかりで、そしてまた思い浮かぶ橋の光景もそれぞれに自分のなかで違っていて、味わい深かった。いちばん好きなのは「小さな橋で」かなあ。決して幸せな話ではないけれども、それぞれの心内も思い遣れる背景があったし、ラスト一文が粋だった。

    ひと息入れるのにとても良い短編集。何度でも読み返したくなるかも。オススメです。

  • 江戸の橋を舞台に江戸に生きる男と女の話が10篇。
     ハッピィエンドのものと、そうでないものがあるが、少しでも幸せを感じることができたこと、その自分たちの時間を大切にしたいという気持ちが伝わってくる。
     しかし、やはり、終わりも良しというほうが、読み手としては嬉しいし、すっきりする。勿論、そのあとどうなってしまうかはわからないが、とりあえず、「よかった!」と思えることの喜びを味わいたい。

  • 橋を題材にした時代小説短編集。
    男女の機微を描いている。
    読みやすい。

  • 2014年1冊目は藤沢周平。橋をキーにした短編集。個人的には『約束』『赤い夕日』『小さな橋で』『川霧』が良かった。特に『小さな橋で』の最後は泣いてしまった。微妙な関係や成就せず終わった作品よりも最後がハッピーエンドで終わる作品がやっぱりいいなと思った。藤沢周平さんは心の動きだったりを描くのが本当に上手いと思う。

  • こちらはTwitter上でみなみさんにオススメいただき、図書館で借りました!!

    藤沢周平さんの作品を読むのはこれが初めて。と言うか、男性作家さんの書かれる時代もの自体殆ど読んだことが無かったような…?

    こちらは短編集なのですね。
    江戸の町にかかる様々な橋を物語に織り交ぜて、10篇。男女の出逢いから別れまで。こんなこともあったかもなあ、と言う。

    全体的に物哀しい、わけありな人々の物語なのですが、そんな中でも博打打ちの父親のお陰で家庭内がめちゃくちゃになってしまったことに腹を立てる少年が主人公の『小さな橋で』と言う1篇が、最後ちょっとほっこりでよかったです。

    一番印象に残ったのは『赤い夕日』。
    こちらの物語に登場する、主人公にとって大切な二人の男性。過去と現在の自分を象徴するような。人物描写も全作品の中で一番響くものがありました。

    全篇少しずつ少しずつ、キーワードになるもの?がクロスフェードしていて、でも同一ではない。故意ではない可能性もありますが。そんなわけで全体にまとまりがあるわけですね。

    個人的には時代ものだと色恋ものよりも人情もの、探索もの、妖ものなどが好きです。
    色恋ものはあまり移入できないと言いますか、短編故か、気持ちが追いつかないところも。

    本作では博打で身を持ち崩す人が結構出てきますね。その辺も男性作家らしいな、と思ったり。

    決して甘くはない切なさ、物悲しさのある短編の詰め合わせです。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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