徳川家康 トクチョンカガン 下

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408535555

感想・レビュー・書評

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  • 確かに一気読みした。とくに上巻は読むのがやめられないほど面白い。

    「徳川家康は関ヶ原の冒頭で討ち死にし、影武者元信が家康のかわりに戦闘指揮。みごと関が原を勝利に導くが、戦後の混乱を考え、徳川家首脳陣は影武者元信を本物の徳川家康としつづけることとした・・・」

    冒頭のプロットはこうなわけだが、いいのこれ?
    リスペクトとかいう範囲を超えているような。しかし、考えてみればしてはいけない理由もないわけで、肝の太い作者もいるものだ。

    しかしこの元信は、朝鮮人捕虜の元信(姓が元、名が信)であったというわけで、この時点からかなりぶっ飛ばしていて、朝鮮の役の復讐のために、豊臣家滅亡を図る。それに対するは、徳豊融和による平和を希求する秀忠と、その優秀な部下柳生宗矩であった。

    うーむ、やってくれる。
    そりゃ、隆慶一郎だって草葉の陰で苦笑するよ。

    ここまで荒業を繰り広げてくれて、しかも読むのが止められないほど面白いのだから些事なのかもしれないけど、いささか脇が甘いな。
    壺から出てくる二寸の暗殺者とか、目からビームとか、そういう忍法は不要じゃないかな。
    べつに怪力乱神が悪いわけじゃないけど、こういうのはバランスを崩す。
    「朝鮮忍者三人組で大坂城に乗り込んだら全部片付くんじゃないの?」
    というのは、率直に言って、思う。

    それと、下巻になって、大阪夏の陣になってからの記載がダレる。
    「自分のことしか考えていない真田幸村」はけっこう好きだけど、これはこれで別の話にしても良かったんじゃないかと思う。

    そして、最後の最後のオチは、分かんねえ。
    いや、そんな話はなかったような・・・
    言葉だけで「呪をかけた」にしても、ちょっとねえ・・・

    とはいえ、膂力でここまで書いちゃう作家さんがいるものなんだ。
    面白いから、もっと読もう。

  • 面白いです
    前半のワクワク感こそ、伝奇小説の醍醐味!
    荒唐無稽な設定をひねり出し、その前提に
    詳細な史実やエピソードを張り合わせる
    まるで、本来は別の景色を映し出している
    写真なのに、多くを貼り合わせると全体が
    別の模様になったような不思議な感覚です

    忍術を使わないで書け中ったのかな?

  • 荒唐無稽といえは荒唐無稽だけど、それなりに楽しめました。
    ただ、真田十勇士、弱すぎない? どこかで復活するのかと、期待していたんだけど・・・・。サスケの漫画、真田十勇士の人形劇を見てきた人間としては、ちょっと残念。

  • ここ最近の作品の中では抜群にいい!「影武者徳川家康」を下敷きにしているのが、それはそれ。

  • 上巻からさらにテンションが下降線の一途。人によっては痛快かもしれませんが…幸村のくだりなどはため息。徳川&朝鮮好きな人向け。

  • 朝鮮版影武者徳川家康。隆慶一郎へのオマージュかと思ったら、異論なのかも?
    たしかに、大坂開戦できそうだてんで家康が喜んだという本多正純書状がホントなら、(隆版のように)大坂の役は秀忠が乗り気で、家康はやりたくなかったのではなく、その逆だろうという気がする。(どっちも伝奇もんなんだから、別にどっちが事実とかけ離れててもいいんですが、隆版の秀忠の黒さは極端すぎて白けるくらいで、お話の中だけでなく、この人、秀忠が嫌いなんだろうな、という感じだったので。(隆版読んだの昔であまり覚えてないし、捨て童子や花火と混じってるかもしれないが、とにかくこの秀忠の黒さは忘れられない。)

    爽やかな秀忠、自分の功名しか考えてない幸村、でぶでぶな秀頼、勘違いのわがまま忠輝と、隆慶一郎的造形とはことごとく逆!(だったような…)
    真田九勇士は瞬殺されちゃうし、木村重成は死んでいい匂いさせたいからってあんな…(確かに、そんなに後まで薫るくらい香を薫きしめるにはああするしか??)

    偽家康(元信)対秀忠対大坂と朝鮮忍者対柳生宗矩(もちろん忍者設定だが、主に武芸で戦っていた)真田忍者(実質霧隠才蔵のみ(泣))というのが呼応して絡み合う構造なんだけど、いまいちうまく絡んでないような。割愛されちゃってるとこもあるような。
    まあ、宗矩くんと3人の朝鮮忍者の戦いはおもしろかった。

    文禄・慶長の役について、これまでとは違った視点をとろうとして中途半端になってしまった、みたいなことをあとがきで言っているが、その中途半端さが元信(偽家康)の描き方のハンパさにもつながってしまっているのかも。複雑な生い立ちも生かされていないし、復讐一辺倒から変わりそうで変わらなかったところとか…。

    元信の今際の一言だが、あれは、男子が生まれないのを不安に思ったお江与が、男子をたくさん生した実績のある家康(実は元信)とやって家光が生まれた、ってことなんですよね?(上巻で、家康が江戸に来て、次の年家光が生まれた、って、やけにあっさり、でもものおもわせぶりに書いてあったところ。)

    お江与は、家康が実は偽物だったと知って震えだしたが、秀忠に惚れているという設定なのに、本物の家康だったらオッケーで、しかも平然としてられたというのが納得できない。
    秀忠は言われるまで自分の子と思ってたようだから、身に覚えがあるわけで、だったら、なんで元信が自分の子と言いきれるのかもナゾ。(元信は忍者設定じゃありませんよね?)
    そこが一番納得できなかったかな。

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著者プロフィール

荒山徹

一九六一年富山県高岡市生まれ。上智大学卒業後、新聞社に入社、出版社勤務を経て、九九年『高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ』で作家デビュー。その歴史伝奇小説の作風から「現代の山田風太郎」と評される。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で第二四、二五、二七回吉川英治文学新人賞候補。第二回舟橋聖一文学賞を『柳生大戦争』で受賞。『白村江』で、第六回歴史時代作家クラブ賞で作品賞を受賞、「二〇一七年 週刊朝日 歴史・時代小説ベスト10」で一位、「第七回本屋が選ぶ時代小説大賞」にノミネートされた。

「2021年 『神を統べる者(三) 上宮聖徳法王誕生篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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