あの日にかえりたい

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 390
感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408535746

感想・レビュー・書評

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  • あの世とこの世、過去現在、どっちつかずの世界が行ったり来たり交差する。時空を超えることができたらこんな感じかなあ。タイトルのかえる、は「還る」を感じました。
    継母とのすれ違い、繋がらなかった少年の心を描いた、「翔る少年」は良かった。これはもしかしたら、と予測できる結末に、儚くて、でも現実はこうなんだと。
    「夜、あるく」、最後は亜希子と寺田さんの会話に自分も交わっている感覚になった。
    ートランプだって、伏せられたカードが配られているときが一番わくわくするでしょう?

    図書館で乾ルカさんのコーナー(数冊)がずっと気になっていました。お名前から伝わるきらめきさに引き寄せられていた。こういう出会い大切にしたい。世代が近いという所で安心(心情的に共感する部分が多く)して読めた気がする。
    胸に抱えてきたものと向き合う年齢になってきたのか。

  • あの世とこの世、過去と現在が交錯する6つの短編集。
    特に気に入ったのは
    【真夏の動物園】【翔る少年】【夜、あるく】の3作。
    どの作品も登場人物の人柄が素敵で、切ないストーリーなのに何故か心は温かくなる。
    私は"あの日"に帰ることができるとしたら、いつを選ぼうか…自分の過去を見つめるきっかけにもなった。

  • はじめての乾ルカさん。すごく良かった。

    この本を読むと誰にでも「あの日」ってあるんだなと改めて思う。あの日に戻れたら、今度はどんな風に行動するのか…6つの短編はどれも、とても身につまされるようなヒリヒリするようなストーリー。

    表題の「あの日にかえりたい」は純粋な夫婦愛のストーリー。石橋老人は側から見たらどうしようもない夫だったけど妻への愛は痛々しいくらい純粋。思いが叶ってほしい。

  • 今までで一番星の数が難しい作品でした。迷ったからには、満星をつけなければ失礼かなと思いました。さりげないやさしさに惹かれる作家さんです。

  • 視点に驚いた。読んで見れば不思議ではないけど気づかなかった。

  • 亡くなった人は時間軸の観念がなくて越えて過去も未来も行き来するという説に基づいた短編集。

    読みやすい文体で簡単な説明で状況、情景がイメージ出来る。
    が、お話の内容はどこかで読んだこと見たことあるようなものばかりで新しさはない。
    こちらを泣かせてやるという意気込みが見えてしまって泣けない。
    書く力があっても物語を考えるのは難しいのね~という感想です。

  • 誰しもが持つ人生の分岐点「あの日」。今を生きている者と、あの日から時が止まってしまった者との時空を超えた交錯が奇跡を生みます。それは希望に続く道筋でもあれば、もう時を刻むことのない過去への懺悔でもあり、ひとつひとつの物語に感慨深くしみじみと読みました。それぞれが二度と戻ることのないあの日に触れて思い寄せます。そこには懐かしい切ない気持が静かにたたえられていくのです。特に「翔る少年」は互いの果てしない優しい思いが悲しくなるくらい伝わって大きく気持ちを揺さぶられました。他「へび玉」「夜、あるく」が好き。(2010年7月読了)

  • 時空を越える不思議な話の短編集。どの話も哀しいような、でも心のどこかがほっこりするような、なんとも言えない読後感でした。良かったのは「真夜中の動物園」と「翔る少年」。「翔る少年」は、またしても涙・涙でした。涙腺弱すぎだわ(^^;;

  • 短編集。

    当たり前だけど意識していない、死が近くにあるということ。
    今が尊い時間なんだということを、再認識させられました。

    特に好きなのは「翔る少年」、最後の「夜、あるく」も割と好きでした。

    奇しくも本日は成人の日という事で、大人になるまで育ててくれた親に感謝し、これまでのご縁に感謝し、命を大切にする気持ちを忘れずにいようと、自分に言い聞かせます。

  • 短編集。亡くなった人に会えたり、不思議な体験をしたり。

    「真夜中の動物園」「翔る少年」「あの日にかえりたい」が好き。

  • 【収録作品】真夜中の動物園/翔る少年/あの日にかえりたい/へび玉/did not finish/夜、あるく

  • 舞台は北海道。時を越えた繋がりを描く、六つのお話からなる短編集です。
    死がまとわりつく物悲しい雰囲気ですが、どこか温かみがあります。
    想像の上を行くような展開にはなりませんでしたが、どのお話も良かったです。

  • あちらの世界についての話、いずれも面白かった。

  • 現世とあの世の短編集。
    ちょっと切なくてほんのり温かい世にも不思議な物語風の作品。
    展開が読めるのもあったけど、読後感はよく読みやすかった。
    重たい話を読んだ後のお口直しにいいかも。

  • 表題作の「あの日にかえりたい」よりも、
    「へび玉」「夜、歩く」が秀逸でした。

    へぇーっ どうなっていくのだろう。
    なぁるほど、そこに持ってきますか。
    ふぅん、なるほどねぇ。

    読み終わった後、しみじみ感が心地よく漂いました。
    優しい気持ちを喚起させられるような気がしました。

    朱川湊人さんとは また一味違う不思議感が魅力です。

  • あの世にまつわる短編集。
    「翔る少年」に泣けた。

  • 「真夜中の動物園」
    夜の動物園で会った、優しい飼育員さんは・・・
    「翔る少年」
    僕には新しい、若いお母さんがいる。
    ある日大きな地震が起きた。
    僕の意識は過去と、そして今いる場所を行き来する。
    「あの日に帰りたい」
    ボランティアで通い始めた老人施設。
    私は一人の老人の話の聞き役になる。
    奥さんを亡くして、苦労ばかりさせた事を悔やんでいる老人。散歩のときに私が見たのは・・・
    「へび玉」
    長い事そのままになっていた袋には、へび玉が入っていた。高校の時の仲良し5人組は、そのへび玉を持って15年後に会う約束をしたのだった。会えない事は分かっていた。けれど、行かずにはいられなかった。
    「did not finish」
    アルペン競技でコースアウトした。自分はきっと助からない。選手として一流にはなれなかったのに、自分をこの競技につなぎとめていたものは何だったのだろう。
    「夜、あるく」
    夜の散歩のときに会う一人の老婦人。いつも中学校の門の前のハクモクレンの木の傍にいた。
    彼女は雪の季節にしか歩かないという。
    老婦人と彼女との、ハクモクレンにつながる思い出は・・・
    ちょっと不思議な物語が6篇。

  • 2015.2.14 読了

    切ない話が多かった短編集。

    世にも奇妙な物語チックでした。
    読みやすく 読後感も悪くなかったです。

  • 喪失感の中にも、もう一度現実を肯定しようとする主人公の姿が印象的だった『へび玉』と、『夜、あるく』が特によかった。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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