こんなわたしで、ごめんなさい

著者 :
  • 実業之日本社
3.38
  • (11)
  • (54)
  • (71)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 337
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536255

作品紹介・あらすじ

欠点や弱点、悪い癖を自分から引きはがせずに、あがく女たちの悲喜こもごも。ユーモラスでシニカルな「平節」炸裂の短編集!名手の傑作コメディ7編!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Part ofわたしがいっぱい。
    こじらせ女性たちが前を向く瞬間を描いたって感じ。
    どれも分る話ばかりで泣ける。
    特に泉のプライドが高くて自分を作り上げてる姿は本当に自分と重なった。

  • 2014.11.23 読了

    意外に面白かった!!

    タイトルで なんとなくわかるように、
    一癖、ふた癖もある主人公たち(短編です)、
    しかも ええ歳の…が、
    自分の“そこ”が ダメってわかってるんだけど、
    治らない、治せない、
    素直に 人の忠告を聞けない。。。
    なのが、治す一歩を踏み出したり、
    忠告を聞けるようになったり、
    その変わる瞬間 読んでてスッキリする。

    中には、これ 私もやなぁ。。。なんて
    とこもあったりで、
    共感できたり、身につまされたり。。。(笑)

    この人の他のも読んでみたいかも!

  • 7つの短編を読み終わって、表紙カバーを見ると、そこには、今読んだ女たちがごっちゃりと並んでいた。

    こんな人、いるいる!と、なんだか誰かのことを(たとえば父、たとえば母、たとえば…)思い浮かべたりして読んでいると、それがだんだん自分のことのように思えてきたりする。タイラアスコは、よくまあこんなに人の心の機微を観察してるものよなあと思う。その表現力にもいつも感心する(ちょっと筆がすべりすぎてる気がするときもあるが)。

    「カワイイ・イズ・グレート!」がとくにおもしろかった。

    義理の妹、といっても年上の道子は、初めて会ったときから、ぶっとびの服装だった。ピンクのデコデコのフリフリ、リボンやフリルやらカワイイが満載、50を過ぎても平気でそんな格好をしている。義理の姉である梢は、そんなことができるのは前衛芸術家かお笑い芸人だろうと思う。はっきりいって、こりゃバケモノだと思う。

    小姑として、梢はチクチクといやみを言ったりする。大人になってそんな服を着てるなんて、人に何か言われるでしょうと。道子は笑ってこう答える。
    ▼「そりゃ、よく、からかわれますよ。でもね」
     「からかわれるくらいで着たい服を着るのをやめるなんて、バカらしいでしょう」(p.206)

    これは異星人だ、まともな地球人には太刀打ちできない。だから梢は実家とのつきあいを減らし、道子のワルクチを娘にたれながしてきた。

    その娘から、梢は言われるのだ。
    ▼「小さい頃はお母さんの言うこと丸ごと呑み込んでたから、ミッチーのこと、ヘンだと思ってた。まりあちゃんにも同情した。だけどね、お母さんのミッチー嫌いにも、実はムカついてたのよ。小さい頃は自覚できなかったけど、大人になったら、悪口聞かされるたびに耳が腐りそうだった。お母さんは了見が狭い。ミッチーは個性的なだけよ」(pp.215-216)

    「誰だって、あれはおかしいと思ってるわよ」と言い返す梢に、娘は、そんなふうに常識や世間体をふりかざして人を批判するのはみっともないと言った。そして娘は続けた。自分はお母さんに似て、自分と価値観が違うものにぶつかるとすぐ否定していた、そんな自分がイヤで、変わりたい、もっと柔軟になりたい、常識を楯にとって自分から世界を狭くするなんてしたくないのだと。

    そういう常識だとかをぶっ飛ばし気味の側から書いてあるのが、「イガイガにチョコがけするのも年の功」。

    外見や物腰を取り繕うとかメンツや立場にこだわるなんてアホらしいと、安永泉は思っていた。それが、「正直ではっきりものを言う」ことにもつながっていたのだろう。でも、ものには言い方があるでしょう、と泉の言動をみていると思う(冒頭の場面など、まるで父を見ているかのようだ!)。

    ▼「人がせっかく気も、お金も使って持ってきたプレゼントを、鼻先で突き返すようなことして。ああいうときは、ありがとうございますって受け取っておくのが、基本的礼儀というものでしょう。あとで人にあげるとか、別の物と交換してもらうとか、なんとでもできるんだから」
     「わたし、そういうの嫌いなんだもの」
     「泉ちゃんが嫌いでも、相手の気持ちを考えたら、あんな態度には出られないはずよ。可哀想に、恥をかかされて困ってたじゃないの」(p.103)

    まるでうちの父である。人の土産を「いらん」と押し戻し、あるいはケチをつけ、たいへんに感じが悪い(その場に立ち会ったときには、身内としてほんとうに困る)。でも、そんな父のもとで育った自分にも、そういう気配がないとは言えない…そう思うと、ドキドキバクバクしてくる。

    幼なじみの占部奈津子が世話を焼いて、泉はいくつか見合いをする。その過程で、奈津子に注意されながら、外見のもつパワーというものに泉もちょっと気づく。「それを、表面しか見ない愚かさと軽蔑するのも、実は傲慢なことなのだ。」(p.116)

    おもしろい、でも、どきーっとするところもけっこうある短編集。 

    (9/25了)

  • +++
    婚活を放棄したOL、対人恐怖症の美人、男性不信の<巨乳>女、フリフリ・ファッションおばさんetc.etc……。
    欠点や弱点、悪い癖を自分から引きはがせずに、あがく女たちの悲喜こもごもを、クスクス、ほろりと描きだす。
    「婚活の外へ」「どうか小さな幸せを」「イガイガにチョコがけするのも年の功」「自然の法則に従って」
    「じれったい美女」「カワイイ・イズ・グレート! 」「こんなわたしで、ごめんなさい」の全7編を収録。
    ユーモラスでシニカルな「平節」炸裂の傑作コメディ短編集!
    「そんなあなたを許します」
    と誰かが言ってくれるまで、先は長いぞ、頑張ろう。
    +++

    命にかかわる悩みではないものの、悩める本人にとっては大問題。傍から見るとどうしてそんなことで…、と思えるようなことも、当事者には死活問題であったりもするのだ。至って真剣な本人を、読者という客観的な目で眺めるのが何とも言えず快感でもある。いざ自分の身に降りかかったら、主人公たちと同じように悩みもがくのだろうことを、お気楽に眺められるのも一興である。まさにクスクス、ほろりの一冊である。

  • 最近、いつも行く図書館が本の陳列の仕方を変えたみたいで、本棚の中に1冊か二冊ほど本棚から出して表紙が見えるように、斜めだてして陳列してます。
    表紙が見えると平積み効果で読んでみようかな?と手に取り読みました。
    作者の方も、私は知らない方でしたが、スラスラ読めて読みやすかった。

  • テレビの不倫スキャンダルや、政治家の失言。
    他人の呆れるような行動は日々報じられる。
    「ありえないー世の中どうなってるの?」
    でもさて、自分はどうだろう?

    自分のことを、知るのはとってもこわい。

    みっともない自分を自覚するというのは
    とっても恥ずかしくてこわいことだ。
    ましてや受け入れるなんて。

    ジタバタ、アクセク、オドオド。
    思ってもないのに他人の陰口に同調してしまったり。
    自分が悪いのについ、言い訳をしてしまったり。
    上司のご機嫌うかがいをしたり。
    あぁ、わたしの生き方はダサいぞ!
    まったく映えてない!

    でも、それが今のわたし。
    それでいい、まずはこんなダサい自分を知って
    受け入れて、それから少しは自分を許して

    「こんなわたしで、ごめんなさい」

    そこから生きていく。

  • 文学

  • こんなわたしと言いながら卑屈にはならない、じめじめしていない七編。巨乳の悩み、美人にくっついた過保護な友人、五十七歳で尚フリフリな義妹等。最後の表題作は謝れない主人公と女友達の仲違いのどろどろが強くて苦手かもと思ったけれど、最後の最後で笑えちゃうくらいの反省が可愛くて可笑しくて一気に印象が反転した。

  • 平安寿子さん「こんなわたしで、ごめんなさい」、2013.7発行、7人の女性たちの物語。巨乳の悩みは卒業できるのか、豊中東子28歳を描いた「どうか小さな幸せを」。ブスは三日で馴染むが、美人は永遠にビビるとかw。陰気な和風美女、平岡睦美29歳に春はくるのか「じれったい美女」。度を越した少女趣味の服装、道子57歳、可愛い服を着れば元気一杯「カワイイ・イズ・グレート!」など。

  • ★1.5

全63件中 1 - 10件を表示

平安寿子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×