夜明けのカノープス

  • 114人登録
  • 3.27評価
    • (3)
    • (12)
    • (23)
    • (6)
    • (0)
  • 30レビュー
著者 : 穂高明
  • 実業之日本社 (2013年8月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536286

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

夜明けのカノープスの感想・レビュー・書評

  • 教師を目指すも挫折し、教育関係の出版社の契約社員として、雑用に追われる映子。中学時代の部活の先輩で、現在はミュージシャンとして活躍する若田に片恋しているが、夢を叶えた彼を羨ましく思い、くすぶっている自分に情けなさを感じる日々。
    そんな映子は仕事の関係で、離婚し離れて暮らす父親と14年ぶりに再会を果たす。ぎこちない関係ながらも、その再会をきっかけに、ゆっくりと変化していく映子の歩み。
    宙ぶらりんで、夢を追う人を羨ましく思い、自分をやたら卑下する20代半ばのちっぽけな自意識が、少し懐かしく思えました。中学時代のままではない、現在の少し汚れた若田先輩の一面を垣間見てしまったとしても、思いを断ち切れずにいるジレンマも。でもねぇ、あまりに「隣の芝生は青く見える」状態だよね。契約社員とはいえ、副編集長に目をかけられて、編集の仕事にも携わり始めたのだし。お局的女性社員に多少やっかまれても、今の立ち位置を大事にしなよ。夢を追うことが全てではないよと言いたくなるのは、自分が40代だからかなぁ。
    一部展開が中途半端なところは否めなかったものの、父との心の距離がぎくしゃくしつつも縮まっていく過程は微笑ましかった。そして何より面白かったのは、「カノープス」についてのエピソードかな。自分、あまり星には詳しくなかったけど…だからこそ、プラネタリウムの番組制作の流れとか、シリウスに次いで二番目の明るさを持つ「カノープス」が歴史に於いてどういう位置づけだったのか、とても興味深く読みました。
    地味ではあるけど、ちょっと心があったかくなれるかな。冬の夜空を眺めたくなります。そして、プラネタリウムに行ってみたくなります。やっぱり星ってロマンだよね、いつの時代も。

  • 図書館に行ったら、「一冊は読んだことのない作者のものか、ジャケ買いしそうな装丁のものを」というのを永らく続けています。
    これはそんな一冊。星空のバックの装丁に惚れたのと、かつてのPC自作派のワタクシ「カノープス」の文字に釣られました。

    叶わぬ恋、さえない仕事、ねじれた家族と―めんどうな自分。その星を見たら、きっと私は変わることができる。その一歩を踏み出せない「こじらせ女子」の逡巡。
    幼い頃に両親の離婚で父と別れ、教師を目指すも挫折してしまい、今は教育関係の出版社の契約社員として日々に追われる映子。
    中学時代の憧れの先輩はプロのミュージシャンとして生計をたて、友人は教師の夢をあきらめず採用試験に応募し続けている。

    夢を叶えられなかった自分への敗北感からいつまでも抜け出せずに、それでいて自身の現状を肯定できずに自分を許せずにいる……色々な意味でギクリとさせられる設定ですが、別れた父親との再会をベースに、自身を肯定する過程を緩やかに描きます。

    全体的に映子の鬱々とした感情がベースになっているので、分量も少なくストーリーの起伏が小さいため、なかなか人には薦めにくい作品ですが、私も含めて色んな人の心にある感情を波立てる緩やかでありながら強い気持ちのこもった作品です。

    ラストシーンへの展開が少し性急すぎる感があって、父親との距離の詰め方がもう少し長めのエピソードで読みたいなと感じました。

  • 穂高明さん「夜明けのカノープス」読了。教師になることを諦め、出版社に勤めることになった藤井。与えられた仕事は雑用ばかり、周りは夢に向かって着実に進んでいる。「自分の存在価値って何だろう」と悩みながら、プラネタリウムの番組作成で「ある人物」と会うことになるのだが。。今回は吹奏楽、天体観測、家族の絆などが描かれてます。穂高さん特有の語りかけるような文章は健在。ページ数は少なく読みやすいが、盛り上がりに欠ける印象。「カノープス」に興味のある方は是非♪

  • 表紙がとても綺麗で惹かれた本。全天で二番目に明るい星の名前がタイトル。
    教員試験に落ち続け、夢を諦めて就職した女性が主人公。静かに静かに展開していく。
    私はいまだに夢を諦めきれないでいるんだけど、あきらめざるを得なくなったらこの主人公の女性みたいに、うつうつとした気分で毎日過ごしているかもしれない。
    そういう怖さのようなものを感じながら読んだ。

    昔主人公を置いて出て行った実父とのふれあいのシーンでは、主人公が感じる戸惑いがよく伝わってきた。長いこと会っておらず、何を話したらいいのかわからないけど、随所で感じる血のつながり。
    読んでいるこちらもなんかソワソワしました。
    最後、二人でカノープスを見るところはじんわりと良いシーン。

  • 教員試験に落ち続け、ギリギリ入った小さな出版社では契約社員として雑用を押し付けられる日々。周りにはひたすら夢に向かってひたむきな友人らがいて劣等感を抱く映子。カノープスは、めったに見ることができない、しかし、見えたならとても縁起が良いとされる2番目に明るい星。映子が自分にとっての「カノープス」を少しずつ見つけ出し、父との関係や仕事に対し不器用ながらも誠実に取り組む姿にとても好感が持てました。ジンワリとしみ込んでくるような爽やかなエンディングも最高に良かったです。

  • 装丁にひかれて。読んだのがずいぶん前なので内容を覚えていない…

  • 叶わぬ恋、さえない仕事、ねじれた家族と―めんどうな自分。その星を見たら、きっと私は変わることができる。その一歩を踏み出せない「こじらせ女子」の逡巡。
    -----------------
    ミュージシャンの先輩にあこがれるけど、教師の夢を諦めて派遣社員している自分に自信が持てず、心の重石になっていた離婚した父に久しぶりの再会するというお話。こじらせ女子、の感じがひしひしと伝わってくる。結果、父との距離を詰めていきながら、少しずつ自分を見つめなおしていくストーリーでした。

  • 蒼い時から引き摺る…父の不在に苦しんできた傷、憧れの先輩に抱く淡く不器用な恋、そして叶わなかった職種の夢、、そんな心の内をそーっと掬い上げる。"映子らしさ"と軌道修正と、カノープスの光が尾を引く優しい結末♪。

  • 初めて読む「大人向けの穂高明」。失敗を続けながら、それでも少しずつ、ほんの少しずつ成長していくオトナ。そんな姿をみずみずしく描いていてとても面白かったです。

  • 少しだけ泣きたくなるような
    そんな話。

    答えは出ない。
    毎日はたいして変わらない。
    だけど、明日からは
    きっと何かが違う。
    そんな終わり方だった。
    いいな。

  • 夢に挫折し、契約社員として働く女性が主人公の物語。
    夢を叶える軌道から逸れてしまい、自力で修正する為の一歩を踏み出せずに揺れ動く主人公の心の様が丁寧に描かれています。
    人は誰しも現状を打破したいと願いながらも立ち止まってしまう瞬間があると思うし、主人公の姿を通してどこか自分にも覚えのある感情を呼び起こされる。
    幼い頃に離れ、思わぬ形で再会した父と娘。
    二人の間に刻まれてしまった長い長い空白を、これから少しずつでも埋めていって欲しいと思う。
    夜空に瞬く儚い星の光のように、ほんのりと希望が灯される素敵な余韻が残ります。

  • まるで世の中を知らないヒロインさん。純朴でよろしいのだけど、子ども過ぎる気がする。
    結末も締まりがないし、もう少し母、先輩、仕事、それぞれとの関係に折り合いや節目があってから終わって欲しかった。
    自己完結の得意な頭でっかちを見せられてもなあ、

  • 初読みの作家さん。大きな展開はないけれど、読みやすく、穏やかに読書の時間を楽しめた。

  • 恋も仕事も職場の人間関係も何もかもがうまくいかないヒロインが教師になる夢を諦めて働き出した出版社で少しずつやりたいことを模索する様子が瑞々しくて応援しながら読みました。今の寂しさは父親との距離を縮めるために必要な時間なんだよとヒロインに言ってあげたい。

  • 宙ぶらりんな自分のポジションとか劣等感とか、共感できる部分があって、読んでてちくちく痛かった。
    父との再会や、星を絡めたストーリー展開が巧み。最後のシーンから、きっと一歩踏み出せたに違いない。

  • 教員を目指したけれどかなわず、教育関係の出版社で契約社員として働く主人公。親が離婚していることも、心の屈託になっている。

    出ていった父親と仕事の関係で再開した時の心の揺れ。

    憧れの先輩との学生時代のエピソードを大切に温めている半面、華やかな世界でときどき人を見下す態度をとることを冷静に見つめる目。

    職場で重用されることへのやっかみを受けたり、とりつくしまもなさそうな社員との仕事。

    身近な世界が抑えたトーンで語られながら、決して暗することなく、読み終えた先に希望の光が見える気がした。

  • 主人公をイラつかせる人ばかりでずっと落ち着かない。
    映子の抱く劣等感がそうさせるのかな。
    しかし最後はとても良かった。じわり。

  • 小さなきっかけの重なりで勇気を持って何かが少し動き出すときの感じ

  • えっ、これで終わり?という最後でした。
    消化不良。

  • その星を見たら、きっと私は変わることができる。

    夢を諦めて契約社員として働く主人公。憧れの先輩への恋も叶いそうにない。何者にもなれていない自分。このままでいいのだろうか?
    そんな風に考えること、誰もがあるんじゃないだろうか。それでも、日常の中で起きる小さな発見や変化で自分の中の何かが変わる。そんなささやかな瞬間を描いた作品。
    冬の澄んだ冷たい空気が、すうっと肌にしみるような、そんな読後感。

  • 教師になる夢をあきらめて小さな教育系出版社で契約社員として働く映子。
    現状に満足していないのに、今いる場所から動き出す力もなく、日々を過ごしている。
    不安はあっても淡々とした毎日を送っていた映子は、仕事をきっかけに幼い頃に家を出て行ってしまった父親と再会を果たす。ぎこちない、親子とは呼べない関係を少しずつ築きながら、映子は過去を振り返り、現在を見つめなおす。
    さらりと軽い内容で、正直な感想としては少し物足りない。ラスト、この先のさまざまな人間関係は結局どうなっちゃうの、と曖昧なまま閉じてしまった物語を残念に思った。

  • 激しい変化だけが、感動を生むのではない。
    主人公の映子の人生が劇的に変わるわけでもないこの小説を読み終わった後、多分すごく時間が経った後に、自分の中の何かがあの時変わっていたんだな、と気付くようなそんな変化があるんだろうね、きっと。
    今、私は、妻であり母であるけれど、過去のある時期、他の何者でもない、ひたすら「娘」だった時間があって。
    そんな「娘」と自分の「父」の間にあった無敵の信頼感と、思春期のある時期に感じた微妙な距離感と、そして大人になって知った「分かり合う気持ち」をじわじわと思い出しながら読んだ。

    カノープスという星でつながった、空白の時間。埋めることはできなくても、その空白を共に感じることはできる。
    全ての「父」と、全ての「娘」に贈りたい。
    心細い夜にそっと開きたい、夜空に輝く星のような一冊

全30件中 1 - 25件を表示

夜明けのカノープスを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

夜明けのカノープスを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

夜明けのカノープスの作品紹介

叶わぬ恋、さえない仕事、ねじれた家族と-めんどうな自分。その星を見たら、きっと私は変わることができる。その一歩を踏み出せない「こじらせ女子」の逡巡。『月のうた』『これからの誕生日』の新鋭による、ひりひり沁みる感動長編。

夜明けのカノープスはこんな本です

夜明けのカノープスのKindle版

ツイートする