- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408536354
作品紹介・あらすじ
こころに沁みる江戸の味――幕末の動乱の時代、浅草・駒形に今も続く「駒形どぜう」を舞台に市井の人々の笑いと涙を描く時代長編!
感想・レビュー・書評
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ペリー来航から文明開化の時代、浅草駒形にある老舗どじょう料理屋「駒形どぜう」の主人・助七とその店に集う人々の生活が描かれている。
人情溢れる、活き活きとした江戸っ子の生活ぶりが目に浮かぶよう。初代の味をしっかりと守る二代目に、フラフラとしながらもアイデアマンの才気で店を発展させていく三代目、そして地に足をつけた堅実的な経営方法で店を守っていく四代目。幕末という激動の時代でありながら、三代の店主がそれぞれ個性を出してその時代に合う店を作り上げていく。実在の老舗店をモデルにしてあるだけに、リアリティも絶大で、おそらくその時代の著名人も通ったであろう風景を想像し、終始ワクワクしながら読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実在する駒形の「どぜう屋」助七の話し。面白く読めたのだが、なんだか読み進むスピードが遅かったのは、現実を基にしたフィクション?だからで情報量が多かったからだろうか。時代が幕末になるにつれ、今までの人間関係がままならなくなっていくのには恐怖を覚える…。登場人物もみな魅力的だったが、人数の多さのせいか散漫に感じた。最後の元七の年齢にびっくり。店に行ってみたくなった。
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現在も浅草の老舗として存在する「駒形どぜう」の話。
庶民相手にどじょう汁を出す一膳飯屋から、どじょう鍋、くじら料理などを取り入れて店が発展していく江戸末期〜明治の時代を描いた人情噺であり、ペリー来航から明治に至るまでの庶民の目から見た歴史を感じ取ることができる。
保守的で味を守る二代目、自由奔放に飛び歩いて奇抜なアイデアを持ち込む三代目、堅実に資産を殖やしてゆく四代目のそれぞれが生き生きと描かれていて面白かった。
あとがきによると現在の当主は六代目らしいが、一度どじょう鍋を食べに行ってみたくなった。 -
やや硬い雰囲気だが、粋で良かった
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江戸町人の日常風俗が描かれていて興味深い。
店を再建した後、一からの出直しだからと酉の市で買う熊手を小さいものに変えたのは参考になった。そういった感じの話がたっぷり。 -
有り体に言えば笑いあり涙ありの江戸人情話だが、匂い立つような臨場感と、ある種の暴力とも言える疾走感を伴って物語が迫ってくる。
私の2014年上半期ベスト! -
昔、東京出張時話のネタにお店に行ったものです。雰囲気はすごくあった。姿そのままのマルはあまりにグロテスクだったので開きを注文、関西人には味はそんなに美味くなかった。出汁は醤油辛いだけ、ネギも白ネギで風味なく…
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渡辺京二さんの「逝きし世の面影」にでてくるような
幕末から明治初めの「昔の日本人」がたっぷり
登場してくれる。
粋
いなせ
き゜っぷが良い
面倒見が良い
おせっかい
我が身は喰わずとも人には尽くす
見栄っ張り
義に生きる
史実と丁寧な取材に
裏打ちされた 物語の中に
その時代の人々の
息づかいが
しっかり届いてくる。
自分の中の「日本人」に
気付かせられる一冊です。