- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408536484
作品紹介・あらすじ
才気あふれ、17歳という若さでデビューをとげた詩人・すみれ。幼い娘の成長に不安を覚える母、生徒に詩人としての才能を見出した中年教師、姉の自由さに苛立ちながらその才能に憧れる妹、伸び悩む詩人に苦悩する編集者、クラスメートの名前が書かれた詩集に出会う販売員、アパートの隣人にときめく大学生。すみれと係わったひとびとが、その季節のあとに見つけたものとは-。『うさぎパン』『左京区七夕通東入ル』の著者による爽やかな感動を呼ぶ青春&家族小説。
感想・レビュー・書評
-
17歳で詩人となった個性的という言葉からもはみ出す
菫とかかわる人々の連作短編集6編。
何気なく始まる冒頭の情景描写。
小さな光がどこからか差してくるような終わり方。
6編とも、とても好きです。
瀧羽麻子さん、初めて読みましたが
好きな作家さんになるだろう予感がします。
自分の興味のあるものへの集中力が尋常でない菫。
本人も、紡いだ詩集も、
竜巻のように色々な人々を巻き込み、影響し、
翻弄していく。
その中でも菫の家族の物語、
表題作の『ぱりぱり』ラストの『クローバー』が
心に残りました。
家族だって違う人間なのだから
理解できない部分があって当たり前なんですけど
気持ちの面ですぐに受け入れがたいことって
あると思うんです。
それが近しい家族なら、なおさら濃く深く。
全く違う思考の人が、家族。
一緒に生活することで起きる、混乱や苦悩。
周囲の目を気にしつつも、
少しずつ確立されていく距離感や絆に
思っていた以上に心が動かされました。
スミレってそういう花だったんですね。
やっぱり見かけで決めつけられないです。
『カルシウムが欲しいな』の言い回し、いいですね!
私も使わせていただきます。
この言い回しがマイブームになりそうな一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
17歳で詩人としてデビューした菫を巡る人々の視点で進む物語です。それぞれの語り手の菫に対して持った印象や思いによって、彼女の像が生き生きと浮かび上がります。どの語り手も、困りながら菫に惹かれているのですね。
-
普通の人の”普通”ができないすみれ。
他人との関係を築くことは上手くない。本人にその気はないけれど、他人の声が耳に届かないこともしばしば。周囲に誤解を与えやすいけれど、好きだと感じたことには異様なまでの集中力・感性をはたらかせるという特異な才能を持っている。
周囲の人たちの視点から描く6つのストーリーからは、すみれに翻弄されながらもすみれを特別な・大切な存在としてみとめていることが伝わってくる。
それぞれの登場人物が思い悩み、苦しんでいる。その中でふわりとあらわれるすみれの存在もしくは回想は、夢の中にいるような感覚をおぼえる。すみれに振り回されても、結局はすみれの存在がひとすじの光になっていたりする。
人間は誰だってパーフェクトではない。個性を受容し美点をたくさん見つけながら人とかかわっていけたら、と感じた一冊。 -
変わり者の詩人中坐菫の周囲の人々を描いた物語
瀧羽さんの世界は温かくてやさしい -
姉がいる方が読むと共感できるのではないかと思った。
-
複数の視点から同じものごとに対して語るタイプの本。
焦らないで他の人のことも自分のことも認めたいなーって思える一冊 -
菫ちゃんみたいな子いっぱいいるけど
一番不安に思うのはお母さんなんだろうな‥
人に興味がない、感情を出さない、人の言葉が響かない
家族にとっては大変なことばかりだけど菫ちゃんらしく好きなことに没頭できる恵まれた家庭でよかった!