桜の下で待っている

著者 :
  • 実業之日本社
3.44
  • (33)
  • (100)
  • (146)
  • (19)
  • (6)
本棚登録 : 995
感想 : 134
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536644

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 桜前線が日本列島を北上する季節に桜を追って東北へ行く旅は良い。北へ向かうほど山の残雪の白さをバックにした桜と芽吹いたばかりの緑が優しい。

    「郡山、仙台、花巻…桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人の物語」とあったので、
    桜を巡る話かと手に取ったのだが、各章で描かれるのは、モッコウバラ、からたち、菜の花、ハクモクレン、そして東京の夜桜。
    ふるさとを巡る、ほろ苦く愛おしい話に心がじんわりと暖かくなりました。
    桜の季節は他の花も咲きだす時でもありました。

  • モッコウバラのワンピース
     旅行先で出会った男性と恋に落ちた祖母。
    からたち香る
     結婚の挨拶に恋人の実家に行く女性。震災後の福島へ。
    菜の花の家
     アンパンマンと瑞鳳殿(ずいほうでん)。法事での帰省。
    ハクモクレンが砕けるとき
     幼くして死んでも怖いだけではない。宮沢賢治が教えてくれた。
    桜の下で待っている
     新幹線の車内販売をしている、さくら。帰る家を見つけていく。

    どの話も東北地方をメインにした話だったよー。
    (最後の話はちょこっと違うけどー)
    なんか、風景の描写がキレイで、花の香りとか、
    実際に嗅いでみたいと思っちゃったなぁー。

    「からたち香る」では、津波被害の後の福島を書いてて、
    でも、その中で今までのように生きている人たちを
    目の当たりにした主人公の描写がリアルだったなぁ。

  • 故郷、家族とはなにかを問う5つの物語。
    家族と離れてまで恋を選んだお婆ちゃんのモッコウバラのワンピースに隠された真実とは…。わかる、女はいつまでもね♪ 初めて婚約者の家を訪れた時のお義母さんの何気ないひと言が耳に残る…わかる、でもこれからもっとあるよ!
    アンパンマンこどもミュージアムや瑞鳳殿、宮沢賢治童話村・宮沢賢治記念館など東北の町の事も詳しく書いてあり楽しめた。私が一番行きたいと思った所は花巻のマルカンデパートの大展望大食堂!高さ25センチのソフトクリームって本当⁉︎物語より食堂が心に残る私って…お恥ずかしい。ふわっとしたお話が多くて私にはちょっと物足りなかった。

  • 表題作が好きだなぁ。
    新幹線に乗って故郷に帰るとき、
    よりも、
    ふるさとから戻るときのそれぞれの表情が好き、
    というさくらさん。

    そういうシーンにはあまり出会わないし、
    私のふるさとはとても近い距離。

    だけど、なんだかわかるなぁ
    と想像できる気がした。


    列車の車内販売は廃止されていくところが多いけど、
    残してほしいな、と思った次第。

    モッコウバラのワンピースのおばあちゃんみたくなりたいな。

    歳とって恋する感覚が感じられるなんて
    なんて!!!幸せ!

  • また、某コーヒーチェーン店でこれを読んでいると、隣に汗臭い男が座った。なぜいつもこうなる??ただ時間とともに香りは少しずつ中和され・・・。あ、帰るのね。バイバイ!
    さて、そんな事は良いとして、この本は覆面カバーされ、某図書館で、「泣いてスッキリしたい」と紹介されていた。いや、最後まで泣けはしなかったぞ。クレーム言って返そうww
    短編がいくつか入っていて、東北の地名が出てくるのは親近感が持てる。最後の短編が、表題作で、泣く気満々で読んだのに肩透かしをくった感。いや、決して悪い感じはしなく、短編間でゆる〜くつながっている点も好感が持てる。この方の作品は初めてだったのでまた読んでみよう。
    あれ、隣のあなた、帰らないの?じゃ、俺が先に帰るわ。早く外の新鮮な空気吸いたい。

  • 桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行先で待つものは――。
    婚約者の実家を訪ねて郡山へ。
    亡くなった母の七回忌に出席するため仙台へ。
    下級生を事故で亡くした小学4年生の女の子は新花巻へ。
    実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……
    複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く、「はじまり」の物語。
    (アマゾンより引用)

    可もなく不可もなく

  • 短編集であるが、最後の編だけがわずかに繋がる物語である。折角北陸、東北を舞台にした物語であるのでもう少し繋がりがあると良いと個人的には思う。
    最後までダラダラと読んでしまい、短編でなければ読みやめたかもしれない。

  • ふるさとをテーマに、北へ向かう新幹線に乗る人々を描いた短編連作。
    実在する観光名所がたくさん出てくるので、旅行気分を味わうこともできて楽しかった。

    小学生の知里がみどりちゃんの死について考える『ハクモクレンが砕けるとき』と、不仲な両親の元で育った姉弟が“家族”について考える『桜の下で待っている』がお気に入り。

    <収録作品>
    モッコウバラのワンピース/からたち香る/菜の花の家/ハクモクレンが砕けるとき/桜の下で待っている

  • 心がやさしくなる本。
    新幹線に乗って遠くに行きたくなったな。
    今旅行に行ったらその道中もいろいろインスピレーション受けるかもしれないと思います。
    家族って難しいよね、私も親族で集まることは嫌いではないけど、なぜか親族なのに気を遣いあって帰るときはドッと疲れてるかも(笑)
    でも、そんなことがあっても会いたくなってしまう、故郷に帰りたくなる。そんな人と人との繋がりを大切にすることの意味を感じられた作品だと思います。

  • 桜前線が日本列島を北上する春、 新幹線で北へ向かう男女五人それぞれの行先で待つものは…
    ふるさとをめぐる五つの物語、いとおしくなるような優しさにあふれた短編集です。

    家族って、きれいごとじゃない。家族だからこそ本音をぶつけすぎて、後悔する事もある。
    ぶつけられる相手がいるのは幸せなことなんだよ。そんな風に諭されたように感じました。
    読了後は身近にいる人に優しくしたくなること請け合いです。個人的には、生と死についてファンタジー的に描かれていた「ハクモクレンが砕けるとき」が一番好きでした。

著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

彩瀬まるの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×