インスタント・ジャーニー

著者 :
  • 実業之日本社
3.22
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本棚登録 : 134
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537016

感想・レビュー・書評

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  • 旅気分の一冊。
    18篇で紡がれた、ちょっとした旅気分を味わえるショートショートストーリー。
    どれもオチがなかなかの味わいで面白い。

    なるほど、というものもあれば、ドキッとさせるものもあり、不思議な余韻もあり、思わず笑いがこぼれるのもありで飽きない。

    中でも「火の地」「虚無缶」「マトリョーシカな女たち」は着眼点から発想、オチまで、はなまるの巧さ。
    思いっきり想像を膨らませたくなる「Blue Blend」も好き。

    毎日ちょっとずつ異国の地、架空の地をゆらゆら旅しながら眠りにつく、そんな眠りのお供にも最適な作品。

  • 旅をテーマにしたのが成功の鍵かな。実際の旅もあれば、架空の地の旅もあり、心だけが旅立つ旅もある。こんなことはありえないというシュールというか幻想的な物語たちは、詩情に溢れていてとても読み心地がよかった。一服の清涼剤のようであったよ。「花屋敷」や「砂尞」に行ってみたい。

  • T.N君お薦め
    現代ショートショートの名手といえば、田丸雅智らしい。一話5分読み切り。「海色の壜」の「海酒」は、短編映画化され又吉主演でカンヌ国際映画祭で上映された。
    「火の地」が怖い。火種がまるで稲の様に育つ村。噂を聞いてやってきたおれは、ついつまんでしまった火種で、雀の丸焼きのようになっている。
    「マトリョーシカな女たち」妻がロシア旅行から帰ってきた。なぜか子どもが。妻はロシアでマトリョーシカのようにお腹から出てきたり、しまわれたりする女弟子たちを目撃する。全部本人だという。そしてあなたもできると。子どもはお腹から出てきた本人。ただ夫のね

  • ショートショート18作。

    列車のホームが走る光景。
    ペルーの未整備の土地に居座り、開発の時を待つ人たち。
    時空を超えて様々な人がやってくる港。
    北欧で見つけたオーロラの生地。
    理屈をこねて作られる陶芸品。

    フランスで青いステンドグラスに秘められた蝶。
    火種が作られる土地で出会った老人が求めていたもの。
    オランダの風車は実は土地を固定するものだった?!
    東京の街を再現したバー。
    インド洋に浮かぶ島で見た空と海の融合。

    虚無を缶につめて快楽に使っていた結末。
    自分の中にいる過去の自分をマトリョーシカのように出す方法。
    四季折々の花を咲かせている老人の根のようなヒゲ。
    アメリカで天の川の星を釣る体験。
    ビール瓶の中に入っての帰省。

    リュウグウノツカイと画家の父から聞いた祖先の話。
    砂漠の砂の茶を飲んで感じるその土地のこと。
    セーヌの恋人からの指輪を受け取り損ねた後悔。

    ショートショート読みやすい。
    超短編だからこそのありえない展開、いいね。

  • ショートショート^_^

  • ショートショートというと最後にあっ!というものが多いけど、今回はそうでもなく旅を楽しむ感じかな。人間マトリョーシカは怖い。田丸さんぽい言葉遊びは理窟をこねるとか帰省瓶とか楽しい。

  • 綺麗系・ちょっと不思議系・ちょっと怖い系の3つ位の系統に分けられる話ばかりなので、頁を進めていくうちに、この話はこういう終わり方だろうな、と云うのが途中で読めてしまうのが残念ですが、著者はお若い方のようなので、今後の成長が楽しみです。
    一話目の「ホーム列車」が一番良かったかなー。

  • 18作品。ショートショート。

    ちょっとステキな旅ができます。
    好みだったのは「砂寮」と「star-fish」幻想的です。

  • +++
    たった五分で世界一周、読んだら旅に出たくなる。
    パリに東京、ペルーに○○――物語は魂の旅。
    電車で、車で、飛行機で……カバンに一冊入れておきたい!
    ショートショート界の新鋭による傑作「トラベル」小品集。

    ホーム列車/ペルーの土地売り/ポートピア/生地屋のオーロラ/理屈をこねる/
    シャルトルの蝶/火の地/風の町/東京/Blue Blend/虚無感/
    マトリョーシカな女たち/花屋敷/Star-fish/帰省瓶/竜宮の血統/砂寮/
    セーヌの恋人
    +++

    想像の斜め上をいく短い物語がたくさん並んでいて、気軽に読めるのに満足感は高い。クスリと笑ってしまったり、なるほどと感心させられたり、テイストもさまざまだし、世界のあちこちが舞台になっているので、それも愉しい。お得な一冊である。

  • 旅や土地をお題にしたショートショート集。ホラー有、ちょっと感動もの有り。どちらかというと、風景を想像したら美しいなと思う物語が多かった。

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著者プロフィール

(著者プロフィール)
田丸雅智(たまる まさとも)

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科修了。
2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。
12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。
「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。
坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、
現代ショートショートの旗手として幅広く活動している。
書き方講座の内容は、2020年度から小学四年生の国語教科書(教育出版)に採用。
2021年度からは中学一年生の国語教科書(教育出版)に小説作品が掲載。
17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。
著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。
メディア出演に情熱大陸、SWITCHインタビュー達人達など多数。

「2023年 『憂鬱探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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