崩れる脳を抱きしめて

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537146

感想・レビュー・書評

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  • 初期研修で神奈川県の療養型病院に訪れた医師碓氷(うすい)が物語の主人公。
    最悪の脳腫瘍を患う、患者の湯狩(ゆがり)と、医師と患者の関係から、徐々に仲を深めていく。そんな、湯狩に想いを告げようとするが、寸前で湯狩に止められ、碓氷は所属する広島の病院に戻る事に。
    広島に戻った数日後に、湯狩が亡くなったことが判明。しかも、精神的な事が原因で外出できない湯狩は外出中に亡くなっていた。湯狩の死を不審に思った碓氷は神奈川に行き、死の真相解明に乗り出す。
    といった物語です。

    物語の終盤で完結したのかな?と思いきや、一転物語が覆り、驚かされました。
    散りばめられ、ずっと違和感を持っていた伏線もしっかり最後に回収され、爽快感がありました。

    ベースが、終末期の医療となっているため、「生」と「死」について考えさせられます。
    終末期の方に限らず、私たちは明日生きている保証はどこにもありません。
    今この時、一瞬一瞬を大切に生きていかなければいけないと考えさせられました。

    作家であり、医師でもある著者にしか描けない、そんな医療•ミステリーでした。

  • 冒頭で主人公とゆかりさんが病室で初めて会うシーンと、ラストの桜の花弁が舞い散るシーンがとても美しく描かれおり、印象的でした。
    純愛って優しくて切なくていいなぁ〜と感じました。
    隠されていた真実が分かるまで、ドキドキでした。

  • 余命がある患者と研修医の恋愛物語。
    余命があると愛する人を悲しませないようにする嘘が壮大で最後までわからなかった

  • 世界に明日の保証はない。もちろん過去の保証もない。あるのは今この瞬間、存在を意識できる今この時だけ。だからこそ、わたしは今を連続させてこの世に足を着く。いつか脳が活動を停止するその日まで。

  • やばい、面白かった。いやかなり面白かった。

    ユカリさんは本当は・・・って思いながら、
    まさかそういう感じで解明されるとは。
    長めの第一章は完全なる伏線で、第二章で読むスピードも高まるという感じ。

    冴子さんの広島弁も気持ち良いし、
    碓氷先生のお父さんの話もグッとくるね。

    いろんな事が楽しめるお話だったかな。

  • 恋愛医療ミステリー。
    読みやすく面白かった。
    医療用語も読みやすく、主人公のもがき加減がよかった。
    最後の結末は、驚きでした。

  • すっかり騙されてしまった。冒頭で、てっきり、主人公が愛する人のために復讐する物語だと思いこんでしまったのだ。後に続くストーリーでも、主人公の父に対する憎しみ、女性に対するぎこちない話し方、さらに病院周辺をうろつくあやしい車、隠し事をしているらしい病院関係者などなど、彼の周囲には怪しさが充満しているのだ。いつもの悪い癖、犯人探しが自分の中で始まってしまった。著者の、読者を迷わす作戦にまんまとひっかかったことになる。でも思い返せば展開はかなり都合よく進んでいたような気もするのだ。いわゆる偶然の積み重なり、というやつだ。顛末が知りたくて一気に駆け抜けた読書だった。

  • 取り敢えず最後はハッピーエンドですね。
    少し無理があるような気もするけど、恋愛ミステリーとして面白かったです。
    病気は卑怯かな。

  • 碓氷蒼馬は、神奈川県葉山にある富裕層向けの療養型病院に、研修医として広島から単身赴任してきた。彼が受け持つ患者の一人・ユカリは、脳に手術不可能な腫瘍を持ち、余命半年とも言われていた。しばらくして碓氷とユカリは互いに心を開き親しくなるものの、告白することもできないまま研修期間を終え、広島に戻ることに。すると、広島の病院で勤務している碓氷のもとに弁護士が訪ね、ユカリが亡くなり遺産の一部を彼に残したと告げる。ユカリの影を追い、葉山の病院に行くも、そもそもユカリなどという患者はいないと病院スタッフに告げられる。いったい彼女は・・・
    少々無理のある設定ではと思うところもあるが、変化に富んでいて楽しく読めた。ミステリー、恋愛小説でありながら、人の尊厳死のようなテーマを盛り込んでいて、考えさせられる場面も。ラストは清々しく、読後感は良かった。

  • 不治の病を扱った小説は元々苦手で、更にラブストーリーが絡んでくると普通もうお手上げなのだけど、この知念さんの新作は抵抗なく読めた。謎解きの興味で最後の最後まで引っ張られる。知念さんが人気急上昇中なのが納得出来た。
    伏線の張り方が巧く、脇役(例えば主人公の元カノで広島弁丸出しの女性)が生き生きしていて、暗い題材を救っているのも巧い。こういう医療ミステリ、他の作家さんは書けないものなあ。
    但し、知念さんの作品の愛読者なら、第一章の終わり方で結末がある程度は予測できるかも知れない。そうなると帯にある様な感動も薄れてしまう。実際に私がそうだった。もっと予想の上を行って欲しかったな。

著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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