- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408550220
感想・レビュー・書評
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絵画をネタにしたミステリ連作。ミステリとして見た場合、トリックはどれもイマイチぐらい。けれど芸術に対する思索は深くて、トリックとの絡み合いもお見事。
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気楽に手に取れて肩をこらせずに読了できる読み物ですが、絵画芸術に興味がない人にとっては苦痛でしかないお話でしょうね(まぁ、そういう人は手に取らないか最初から)。ミステリーとしてはあえて凡庸と言ってもよいとは思いますが…フェルメールとデューラーは好きな画家なので、やはり題材にしている章は異論もありつつ楽しみました。巻末の資料年表が、絵画芸術の大まかな流れに触れた形に(偶然かもしれないが)なっていて、意外に興味深かったです、デューラーとダ・ヴィンチの関係など。ただ、個人的な趣味からですが安井曾太郎は必要ないと感じます。彼だけ浮いてますから。
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謎解きの後が長いなりの説得力はない
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絵画の修復を職業とする、お父さんが主人公。
職業が職業なので、絵画…というか、材料? にまつわるミステリーかと
思いきや、関連はあるものの違いました。
短編になっているので、ひとつひとつがさくさくっと。
種明かしをされて納得はしますが、それに気が付く貴方がすごい。
題名、というか題材になっている絵の解説も出てきますし
もしかしたら知っている絵があるかも?
微妙に狂気じみている、と思ったのは2つ目。
止めさせる事は重要ですが、それに対して巻き込む対象が…。
止めない相手が悪いのか、止めさせられない自分が駄目なのか。
どちらにしろ、追いつめられると怖いです。
それよりも狂気具合が薄まるのは5つ目の話かと。
まぁこれだけ用意周到にしてしまえば、薄いとかいう問題でも
ない気がしますけど。
そこまでして排除したいと思っていても、敵(?)は大多数ですし
いつかやってしまう気がしますが、そういう問題ではないですね、本人。
4つ目の話には、1つ目の話に出てきた人が出てきてます。
再登場は彼だけ…かと。
しかし最初に、犯人として捕まった人、どうなったのでしょう? -
犯人探しメインではないような感じが。
画家や絵画修復に関する話はおもしろい。 -
どうも読みすすめるのに時間がかかったけど内容は良かったな
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ちょっとあっさり。シリーズ2作目から読んだので順序が逆だったことも影響しているのかもしれないが美術解説的な謎解きよりも事件解決に重きがおかれているような。もちろんミステリなのでそこに間違いはないが犯人とトリックがちらちら見えるので物足りなさはあった。しかし、『ピカソの空白』や『モネの赤い睡蓮』のような芸術家の業をクローズアップした話は物語として好きだ。ただやはりもう少し創作ではない実際に存在するほうの絵画の謎が絡んでほしかった。その点は現在文庫化を待ち望んでいるシリーズ3作目にまた期待したい。
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絵画修復師が主人公であるので、推理に論理よりもひらめきだとか、めぐらしていく思考の中で、視角にひっかかるものが多い。そういう意味では、謎の解き方の方向性が同じであるように感じ、その点は少し物足りない気も。
絵画などの美的なものを好む人は、その感覚的なライン上で楽しめるように思う。 -
ミステリーとしてはちょっと不思議な読後感。
御倉瞬介シリーズの1作目です。
主人公の御倉が絵画修復士ということから、
6編それぞれにモチーフとなる絵画があって、
その絵にまつわる謎解き(?)となる訳ですが。
トリックそのものよりも事件関係者の心情に主眼が置かれているような。
いえもちろん謎解きはちゃんとあるんですよ。
でもモチーフとなる絵画とその作者に関する説明もあって、
画家の人生に想いを馳せるようなところもあるし。
絵画、それも特に時間のかかりそうな修復という作業が絡むせいか、
全体を通して時間の流れが緩やかな雰囲気があり、
「ハラハラドキドキ」という感じでは無かったです。
事件自体は人が亡くなったりもするんですけどね。
何より、息子圭介に対する愛情が常に感じられて、
やさしい気持ちになりました。
御倉が家政婦の加護の助けを借りながら一人で育てているんですが、
あぁ可愛くて仕方がないんだなぁとストレートに伝わりました。
(実際圭介は日伊ハーフで可愛いに違いない)
しかし、男性家政婦・加護祥斎はいったい何歳の設定なんだろう。
瞬介に対してタメ口で、圭介には祖父気取り。
自身の父親は存命らしく、その父親の友人が50代。はて?
ちなみに瞬介は四十半ばらしい。
ま、それはともかく。
久しぶりに美術館に行きたくなりました。
気に入った絵の前に座ってぼんやり眺めて過ごす。
そういう贅沢な時間が欲しくなりました。