モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550602

感想・レビュー・書評

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  • さくさく読める、読みやすい。
    日常の謎系。

    キリコが自然と暴いていく感じが好き。
    文章も読みやすく3時間以内で読み切れる。

    人との関わりも感じられる作品。

  • 女清掃員探偵キリコシリーズ。3作目だったけれど1、2作目が図書館になかったので…でも、短編集なので途中から読んでも十分楽しめた。
    キリコは事件を何気なく解決しながらも、そっと寄り添ってくれるような存在。真実を暴くけれど攻撃性がないというか。人に対して心から優しいんだろうな。キリコのような存在が近くにいてくれたらいいのにな~と思った。

  • 清掃作業員、キリコによる、短編ミステリー。
    少々強引な所はあるけど、作者の物語にする題材と、それをもう一捻りする工夫が冴えています。「水の中の悪意」は入浴剤の使い方でやけどの症状となること、「愛しの女王様」では、猫の交配には骨瘤という遺伝病となることから禁止されているかけ合わせがあること、「第二病棟の魔女」では別の人間を病気に仕立てるミュンヒハウゼン症候群という病気のこと。
    個人的にはキリコの関わり方がやや薄くて若干物足りなさを感じる。清掃作業員でなくても深夜勤務の人なら誰でもよさそうな気も。

  • 「実業之日本社文庫初登場!」とあったので
    シリーズ第一作だと思い込んで読んでみたら、なんと三作目で
    相変わらずの粗忽さに、「私のおばかー!」と叫んだのはヒミツですが

    ある時はフリフリの黒のドレスに白いエプロンのロリータファッション、
    ある時はビーズのネックレスをじゃらじゃらつけたエスニック風、
    またある時は黒のパフスリーブのトップスと赤地に白い水玉のスカートで
    ミニーマウス風。。。と
    清掃員の仕事の時にもおしゃれを欠かさない
    おだんごヘアのキリコが、とてもキュートです♪

    ペットショップでガラス越しに目が合った仔猫に運命を感じて
    「あの小さな王女様に奉仕したい!」と
    昼も夜も土日も休まずバイトに精を出す女の子のお話に
    うんうん、と頷きながら涙し、

    小児病棟での「代理によるミュンヒハウゼン症候群」の
    痛ましい実態を知って愕然とし、
    そんな悲劇を利用して自分に有利な結果を導こうとする
    卑劣な大人達に怒りを滾らせながら

    キリコと最愛の旦那さまとの馴れ初めを知りたくて
    早くもシリーズの1、2作目を図書館でサーチする私でした。

  • キリコちゃんシリーズ?を初めて読んだ!
    めちゃくちゃ面白いではないか!
    近藤史恵さんの文体は、とても読みやすいリブミカルナ文体だし、内容もかわいい。
    事件物を扱っているのに、かわいいというのは、いかがなものかと思うが、とにかくかわいい。

  • 目次
    ・水の中の悪意
    ・愛しの王女様
    ・第二病棟の魔女
    ・コーヒーを一杯

    相変わらずキリコが夜間清掃をする場所での謎解きの話なんだけれど、作品の中で時間が流れているのがわかる。
    シリーズ一巻目の最後に結婚して、二巻目の最後の話でその後の結婚生活がちょっと出たけれども、このまま出先での謎解きがメインなら、結婚した意味があまりないかなあと思ったけれど、今回はよかったな。
    キリコの家庭が見えてくることで、キリコが悩むこともあり、人物が立体的になるので。

    でも、何度も言うけど、日常の謎系に殺人はいらんのじゃ。

    『第二病棟の魔女』は、自分が小学生の頃に入院した時のことを思い出して、複雑な思いに。
    難病に苦しむ娘に「将来結婚できなかったら、お母さんのせいだ」という母親。
    自分を責める気持ちに嘘はないと思うけれど、その言葉が娘を傷つけていることには気づけない。
    私も「将来子どもを産むことはできないかもしれないと覚悟しておきなさい」と言われたな。
    子ども好きだったから後にショックを受けないようにという親心だったのだけれど、根拠のない脅しでしたね。
    幸い私に感受性がなかった(母の言)ため心の傷にはならなかったけれど。

    看護師も人間だからいろいろあるだろうけれど、患者の子どもたちを傷つけるのは許せない。
    体の傷も、心の傷も。

  • 流行のファッションに身を包むキリコは清掃の仕事のついでに事件も人の心もクリーンにしてしまう──というお掃除ミステリ。
    「女清掃人探偵」シリーズの第3弾。

    今回は4編の短編が収録されていますが、一番読みごたえがあったのが他の短編よりも長い中編の「第二病棟の魔女」というお話。
    小児病棟で噂される魔女騒動。新人看護師が遭遇した魔女の正体とは。
    そして少女の入退院の理由とは…。

    いつものようにキリコが探偵役と思いきや、中盤でキリコが謎の中心に据えられています。
    読者をミスリーディングさせて煙に巻き、真相に至るまでのスリリングな展開に至らしめる手腕は見事で(ちょっと強引だけども…)、先の読めないワクワク感を味わえました。

    前作と同様、仕事や人間関係に悩み立ち止まる人間がメインに描かれています。
    他人との距離をはかりかねている新人看護師だったり、妹との確執に悩む女社長だったり。

    彼らに対しキリコは対処方法を示唆し、その上、できるだけ相手に寄り添おうとしてくれます。
    そんな彼女の真摯な気持ちが自然と伝わり、登場人物たちも読者も皆、キリコのことを好きになってしまいます。
    ままならないことも多い世の中だけど、苦しい時や悲しい時はキリコがいてくれる、そう思うだけで何とかやっていけそう。
    大袈裟ですけどそんな気持ちになれます。

    作者は人の悪意がむき出しになる瞬間の描写がうまく、毎回ぞっとしますが、人の持つ善良な部分とそうでない部分を読み手につきつけ、いろいろなことを確認させてくれているのかも…と思います。

  • キリコは掃除の仕事をしながら日常のミステリーを解くお話し。制服を自分流に作り替えてお仕事を楽しんでいる様子が気持ち良い。読後感がよいのでまだ読んでいないものも読んでいきたい。

  • 最近、キリコちゃんに夢中。

  • できれば「私の心もモップで磨いてほしい」そんな気持ち良さだ。

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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