あのころの、 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550725

作品紹介・あらすじ

旬の女性作家6人が競演 女子高生をめぐる6つの情景

夢、あこがれ、自信。悲しみ、怒り,とまどい。不安、嫉妬、そして別れ。熱い注目を集める気鋭女性作家6人が、あのころ――女子高生時代――ならではのセンシティブな心模様、取り巻く情景を鮮烈に紡ぎ出す。いまを全力で駆け抜ける現役女子高校生と、かつて女子高生だったすべての大人の女性たちに贈る、珠玉の青春アンソロジー。いきなり文庫で登場!

■収録作品
窪 美澄「リーメンビューゲル」
瀧羽麻子「ぱりぱり」
吉野万理子「約束は今も届かなくて」
加藤千恵「耳の中の水」
彩瀬まる「傘下の花」
柚木麻子「終わりを待つ季節」

感想・レビュー・書評

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  • あのころの遠い記憶を呼び戻す、6名の女流作家の描いた女子高生物語。
    今思い返すと、あのころにいた場所は確かにぬくぬくと穏やかな”温室”そのものだった。
    予期せぬ雨風で吹き飛ばされぬよう痛い目に遭わぬよう、先生や親といった身近な大人たちにしっかりとビニールで覆ってもらい、日光や栄養もなるべく等しく与えてもらっていた、いたれり尽くせりのあのころ。
    そうやって大人たちの敷いたレールの上を、ブツブツ文句を言いながらも周りの同級生たちと共に歩き、たまに寄り道しながら、一人立ちの時を待つ。

    プライドや見栄、コンプレックス、不安をごちゃまぜにして、顔色をうかがったり悩んだり怒ったり泣いたり笑ったり。
    けれどそんな我がままが許されるのは、あのころの特権かも。

    吉野万理子さんの『約束は今も届かなくて』、柚木麻子さんの『終わりを待つ季節』が特に好き。
    女子高生時代を、宙ぶらりんな耐えなれない時間で早く卒業したい派と、ずっと高校生のままでいたい派が出てきた。私はあのころ、早く卒業したい派だった。
    あの夢か幻のような眩しい時間に、もう一度だけ戻ってみたくなる短編集だった。

  • 彩瀬まるさん以外は全員、読んだことある作家さんばかりのアンソロジー。でもテーマのせいか、それぞれ別の作品の方がその方らしさを活かせていた気が。
    吉野さんのは自叙伝ですね、鷺沢萠さんデビューの衝撃は私の世代では綿矢りささんの時に値するかな。
    こうやって見ると上智出身の方も多いんですね。

    柚木さんの作品が印象的で一番好き。
    かっこいい女子が男子の代用品みたいにもてはやされたり、女同士キスしたり、、、あったなぁー。
    自我はあるけど大人の庇護下にいるしかない微妙な年頃ゆえの反発とか、コンプレックスとか。。
    10代が一番綺麗な時代なんてそんなのは大人の幻想でしかないけど、あの頃に戻りたいような戻りたくないような。甘酸っぱいアンソロジー。

  • 『傘下の花』彩瀬まる

    彩瀬さんの文章を読むと自然と人が恋しくなる
    LGBTQ+や同性婚って言葉が耳に馴染むようになってきた今ならともかく、9年も前に女性同士の恋愛を当たり前に描くって驚きを超えてただただ尊敬…

  • 友達。女子校。カトリック。同窓会。夢。憧れ。家族。姉妹。女の子たちの話。詩と。瀧羽麻子さんの「ぱりぱり」、吉野万理子さんの「約束は今も届かなくて」、柚木麻子さんの「終わりを待つ季節」の最後の一行。

  • 女子高生の友達、恋愛、家族
    そして、自分の物語

    それがすべてだったような感覚
    自分の居場所を探し続けているような
    自信と不安のアンバランスな感じ

    あのころの、って言葉が
    しっくりくるような
    懐かしのような気持ちになりました


    懐かしいな高校生の頃

  • 「女子高生」がテーマの青春アンソロジー。新進気鋭女性作家ばかりが参加してるとあって、青春を楽しむというより、単純に彼女らの競演に興味があって読んでみたのだが…
    予想以上に心を持っていかれ、自分でも戸惑ってしまうほど。
    甘い痛みに満ちた、10代後半の日々。全てとは言わないまでも、自分が過ごした「あのころ」に重なる部分を思い出し、切なさと恥ずかしさがごちゃまぜになった。幼くて、不器用故、自分と他人との距離の取り方がうまく掴めず、読んでいて痛々しかったけれど、もがきながらも心のどこかで、それが一過性のものと冷静に悟っている。それが、女子なのだなぁと。
    どの作品も、少女らの微妙な心の動きの描写が本当にお見事で、さすが注目を集めるだけのことはあるよ皆様!
    欲を言えば…もっと色々な女子高生の姿を読んでみたかったなという気もしたけど(たまたま?私立の高校や百合という点で設定が何作か被っていたが)それはそれで、読み比べるのも面白かった。
    構成のうまさという点では、瀧羽さんの「ぱりぱり」が印象に残った。
    百合は苦手だけど、ひりひりとした文章にひきこまれたのが、個人的に注目している彩瀬さん。
    吉野さんは、今回の作家の中で一番作品を読んでいるので、私小説的な内容で、彼女の歩みを知ることができたようでちょっと嬉しかった。
    男性には理解しにくい点が多々あるだろうが、女性には是非読んでほしいかな。特に、アラフォーの女性。過去の自分に思いを馳せると同時に、登場人物の母親にも結構共感してしまう。世代によって、色々な捉え方のできる一冊かも。

  • 昔は心をざわつかせた波佐間さん伝説。今はもっももっと聞いていたかった。

  • 女子高生が主人公の作品集。
    受験勉強を思い出す。

  • なんかキュンキュンした

  • 約束は今も届かなくて
    鷺沢萌さんにふれてあり、また読みたくなった。

    終わりを待つ季節
    女子高のなかで男役である女の子の描写がよかった。
    あのころモテてた女子はこんな気持ちもあったんかなー。

    女子高、独特の世界は嫌いではなかった。
    けど、もう一度高校生なら共学だよね!と、話してたあのころ、、
    懐かしく思う本。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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