萌えいづる (実業之日本社文庫 は 2-2)

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551395

作品紹介・あらすじ

京都にある平家物語ゆかりの小さな寺には、参拝客が想いを綴るノートがあった。ひとり訪れた女たちは、誰にも言えない秘密を書き残す。若い男とのフェティシュなセックスに溺れる女、仲が良いはずの夫から突然離婚を切り出された女、愛人の座を奪われた女…濃厚なエロスが心身に刻まれた女性たちの運命のゆくえを、古都を舞台に抒情豊かに描く、感動の官能小説。

感想・レビュー・書評

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  • 平家物語、京都の寺を起点に、そこに纏わる逸話を模倣?パロディ?した淫猥短編集。
    今作もエロ度は低め。
    歴史はあまり興味なく平家物語も読んだことがないのですが、序章や文頭に寺の説明があるので助かります。
    エロ度は少なめですが、私はこういった心理描写多めな花房観音作品の方がハマるので好きでした。
    私も離婚経験者なので結婚とか妊婦とかそういうものに少し冷めた目を向けがちです。
    心身ともに気持ち良くしてくれる人と一緒になれるのならそんな幸せなことはない。

  • 前の男との営みが忘れられず、一度だけよりを戻し妊娠してしまう女。 深く愛し合った年下男の親に辱めを受け別れさせられる女。仲良く暮らしていると思っていた夫から、他の女と結婚したいと告げられる女。妻子ある男を他の女に奪われ、後に男も亡くなり、行き場のない抱く女。花房さんの作品は、いつも最後には前向きになれるようなのが多い中、今回はやるせなくて悲しくて、どうしようもない。

  • 平家物語の悲劇の女性たち、建礼門院徳子、祇園女御、横笛、小督局、祇王と仏御前を現代の女性たちの悲劇に重ね、そのゆかりの寺を訪問するというロマンティックな展開が、それぞれがエロティックな描写の展開に及ぶという何ともオシャレな小説。そして最後の第5章では長楽寺の「独白ノート」に25年前から何人かの女性の悩みの声を見つけ、それが各章の主人公に重なるとともに、何と義母も登場するというオチが秀逸だった。

  • 2016 7 28

  • 京都と平家物語ゆかりの小さな寺を舞台にした、表題作を含む5つの短編集。この作品は花房観音にしてはゆるめの官能小説といった感じで、かなりがっかりしている。おまけにあまり作品に入り込めず、軽く苦戦をしてしまった。花房観音の作品は好きな作品が多いのだが、初期作品は苦手なのかもしれないと思ったりした。好きな作品は最近のものが多い気がする。

  • 2015年、46冊目は花房観音女史の官能短編集。平家物語とそれにまつわる京都の地を絡めた、全伍編。

    序:昭和五十年代のある女性の手記(?)。

    そこびえ:男性への従属願望が強い女性の物語。
    展開は容易に予想できた。官能度は高め。

    滝口入道:年下の男とのフェティッシュな関係に溺れる女性の物語。
    いきなりの変化球(?)。でも、このラストは好き。

    想夫恋:突然に夫から離婚届を突き付けられた女性の物語。
    こんな夫婦は実在しそうな気もする。読者それぞれが、今後の展開を考えるだろうな……。

    萌えいづる:不倫の果てに若い女に恋人を奪われた女性の物語。
    官能度高め。しかも、濃いめの描写。コレもこの後を考えてしまうなあ……。

    忘れな草:娘の死と、それにより離婚した夫のどちらも忘れられない女性の物語。
    全体を締める役割を担った一編。

    栄枯盛衰、刹那的な物、過去と現在、等々……。各エピソードも、並びの順も良く出来ている。一編目で、下敷きを踏襲しておいて、いきなり、二編目では変化球投げてくるあたりはしたたかで上手い。官能描写も、濃密に感じるものも、味付け程度に感じるものもあり。単に「官能」と括るには少し惜しい。

    読みごたえ的には短編集なので、物足りなさも感じるが、読むコト自体を楽しめる一冊ではあると思う。

    京都行きたい。人気の少ない、古寺でボケ~っと、時間の流れ忘れたい。実際は30分として、そうしていられないのだろぅが……。

  • なかなかよかったです♪

  • 京都を舞台に日本女性の静かに燻る情念と何とも言えぬ奥ゆかしさが漂う官能短編集。

    花房観音の描く女性はいつも儚く、性愛に関しては受身がちであり、官能の中にどこか文学の香りが漂う。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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