星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551456

作品紹介・あらすじ

売れっ子コピーライターの文香は、出張後に寄った道後温泉の宿でマッサージ師の老女と出会う。盲目のその人は上品な言葉遣いで、戦時中の令嬢だった自らの悲恋、献身的な女中との交流を語り始め…(「星がひとつほしいとの祈り」)。表題作ほか、娘として妻として母として、20代から50代まで各世代女性の希望と祈りを見つめ続けた物語の数々。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の先輩からお借りした一冊。

    2冊お借りした2冊目。
    最近はこの先輩が別の事業所へ移ってしまった為、本をお借りすることもほとんどなかったが、久しぶりにお借りした(^^)

    お借りした本は早くお返しせねばと、珍しく週末の時間を使って読み切った。

    この作品もまた私の苦手な短編集だった(^◇^;)

    しかし短編なのに読みやすかった。さすがは原田マハ先生!


    この短編は、日本の地方、あちこちの方言と共に、どの作品も温かい印象。

    私が旅行したことのある道後温泉も登場したが、行ったことのない地方が沢山登場した。

    最後は高知の物語で終わったが、四万十川一度見てみたくなった(^^)

    • bmakiさん
      naonaonao16gさん

      naonaoさん、
      ありがとうございます(*^^*)

      はい、、、naonaoさんの感想を読んだ時...
      naonaonao16gさん

      naonaoさん、
      ありがとうございます(*^^*)

      はい、、、naonaoさんの感想を読んだ時、読書が遠のいていると書いてあって、ちょっと心配していました。。。

      私もそういう時が結構あるので、また波が来れば読書の気分にもなるかな?と思って、コメント書こうと途中まで書いて、余計なお世話だわと思って消しました(^_^;)

      naonaoさんの感想は、いつもnaonaoさん、元気にしてらっしゃるかな??と気にしながら読んでいます(^_^)

      新しい環境はいかがですか?
      色々なストレスがあるとは思いますが、いつも応援しています(*^^*)
      頑張ってくださいね!
      2023/06/26
    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      あらま、そんなことがあったんですね!
      全然コメントしてくださいね~

      なんでしょう、あらゆることにやる気が出ず…
      家事は普...
      bmakiさん

      あらま、そんなことがあったんですね!
      全然コメントしてくださいね~

      なんでしょう、あらゆることにやる気が出ず…
      家事は普通にやってるんですけど、それ以外の時間ずっとダラダラして終わっちゃうんですよね…今日もそんな感じでした…
      何かを楽しい、と思ってやれてない感じ、ちょっとしんどいなぁ…

      これも新しい環境へのストレスかもしれず、波のようなものだと思うのですが。
      このまま堕ちすぎると「なんで生きてるんだ」のループにはまりそうで…
      幸い身体は元気なのでこの気分のまま当分やり過ごすしかなさそうです。

      ご心配いただきありがとうございます。
      どうにか頑張ってます^^
      2023/06/27
    • bmakiさん
      naonaonao16gさん

      はい、これからは遠慮なく気になったらコメントさせていただきます(*^^*)

      女性って、山あり谷あり...
      naonaonao16gさん

      はい、これからは遠慮なく気になったらコメントさせていただきます(*^^*)

      女性って、山あり谷ありですよね。何かわかりますよ。私もそうでした。
      沈没する時はどこまでも深く深く落ちていきます。。。

      naonaoさんに合うかどうかわかりませんが、命の母に若い人向けにホワイトってあるみたいです。

      私は命の母に頼って、深く落ち込む心を何とか上向きに出来たのですが、naonaoさんも、もしどうしようもない時は、一度お試し下さい(^^)

      私は命の母のメーカーとは全く違う業種です(笑)

      私も今は低迷期で、ひとっつもいいことがありません。。。
      こんなのが3年も続くと、突然ハッピーが訪れたり、人生ってわからないもんです(*^^*)

      naonaoさんにも、早くすっごいハッピーが訪れますように(*´꒳`*)
      2023/06/27
  • 7つの短編集。女性が主人公で、母と娘という設定で離婚や失恋、不倫、伴侶の死など重い場面が多い。最後の方に微かな光明が描かれ、後味を軽くしてくれるのでホッとする。
    冒頭の「椿姫」は不倫の末に出来た子供を中絶するという物凄く重い話ながら、同じ産婦人科で出会った高校生カップルに未来を託していた。
    「夜明けまで」は母親から逃れてアフリカで働く娘が母親の死で日本へ戻り、遺言で自分の父親を知る旅に出る。
    「寄り道」はハグとナガラの親友二人の旅物語。四十路を越え、結婚を諦めた二人の生活は、この後もシリーズが続くようだ。「旅屋」に近いものを感じる。
    殆どの作品が地方都市での話題が多く、その土地の方言を上手く使いこなしていて、どこの出身だろうと、つい調べてしまうほど作品に馴染んでいる。

  • タイトル「星がひとつほしいとの祈り」に強く心惹かれて手に取り、何の根拠もなく、ただ感覚的に「この本は大切に読み進めたい」と思った。 

    結果、わたし、正解。

    豊かな表現力、美しく無駄のない文体、情景がクリアに頭に浮かんでくるようで…
    うまく言えませんが、とても安心しながら読んでいる自分に気付きました。
    なんて、、こんな風に勝手な感想を書くのは簡単ですが、読者を安心させるってとても難しく、それが出来るって超一流の小説家なんじゃないかと思うのです。

    偉そうに、すみません…m(._.)m

    この本は今年、読書好き友人の誕生日に贈りたいと思います。

  • 訳ありの女性たちが主人公の短編集。それぞれの舞台となっている場所がとても魅力的に描かれており、訪れてみたくなった。
    中でも『長良川』がめちゃくちゃ良かった。
    たったの35ページなのに、一冊分くらい泣けた。読んでしばらく経っても情景が頭から抜けず、やっぱマハさん最高だな、と思った。
    『旅屋おかえり』の続編も早く読まなくては!
    『ハグとナガラ』も!!

  • 原田さんの作品で初めて短編集を読みました。原田さんの作品を読んできて感じるのは、とても起承転結を意識されているということ、そのため伏線を用意したらきちんと律儀に回収されて曖昧さのない結末へと導いていただける方だなということです。そんな方が短編を書かれたらどうなるのか、短くても同じように起承転結のはっきりした作りなのか。とても楽しみに読み始めました。

    7つの短編から構成されていますが、いずれも女性が主人公で、また何らかの形で母親と子どもの繋がりが描かれているのが特徴です。
    〈椿姫〉マンションの一室にあるという産婦人科を訪ねた芹沢香澄。医師は『中絶を望まれるのならば、早いほうがいい』と説明します。メールに返信がない彼の元に向かい『産みますんで。認知してください』と言う香澄に、『母親になんかなるなよ』と告げる彼。香澄はどうするのか。
    〈夜明けまで〉アフリカのNGOで働く堂本ひかる。母の危篤を知らされて急遽帰国します。母親・あかりは日本映画界不世出の大女優。『父の記憶は何ひとつない』というひかる。息を引き取った母親がひかるに残した一枚のDVD。『夜明けまで、連れて帰って欲しい』と画面の中の母親はひかるに語りかけます。
    〈星がひとつほしいとの祈り〉文香は大手広告代理店のコピーライター。出張の後、道後温泉に立ち寄った文香はホテルでマッサージを依頼します。やってきたのは目が不自由な老婆。『華族っぽい』『どうしてこの場所に』という文香の問いに『あれはもう、ずっと昔むかしのこと』とゆっくりと自分の出自を話し始めるのでした。
    7つの作品はどれもが全く異なる世界観。それぞれ展開されるのはとても印象深い物語ばかりなのですが、特にこれら3つの作品が気に入りました。

    また、短い中にも幾つかこれは凄いなという表現がありました。ひとつ目は〈椿姫〉の中の次の表現です。彼と彼女の関係を『憧れは香澄を傷ついたウサギのようにしてしまった。彼はそれを見逃さなかった。鋭い爪の鳥のように、ずっと高いところを旋回していて、あっという間に獲物を捕りに舞い降りた。彼は空腹が解消されると、悠々と巣へ帰っていった。また空腹になると、ずっと遠くからそのためだけに飛んでくるのだ』、と鷹が獲物のウサギを狙うかのような猛々しい表現が目をひきます。これはとても秀逸だと思いました。ただし、女性をこんな風に弱々しく描くこと自体の賛否ということは一方であるように思います。原田さんはその視点に対する答えとして『彼の前で戸惑うだけの自分と、もっと食べ続けて欲しいと願い続ける自分』と主人公に大胆に語らせます。この圧巻の表現の説得力にはただただ驚きました。

    ふたつ目。これも〈椿姫〉の中の一節ですが、妊娠を知った香澄がお腹の中の子を思う場面を原田さんは次のように綴ります。『香澄はセーターの上からお腹をさすった。そのままじっと耳を澄ましてみる。時計の秒針が回る音。窓の外の雨の音。自分の心臓の音。もうひとつの心臓の音』こんな優しさに溢れる表現ってあるのでしょうか。男の私には経験することのないシチュエーションですが、子どもを授かり、子どもを感じ、子どもを思うという、お腹に子どもができた女性のこのような感覚の表現。読んでいるだけで母となる女性の子どもを思う愛おしさがとてもこみ上げてくるのを感じました。このわずか数行の表現の存在が、この物語の結末に受ける印象にとても響いてくるように思います。

    様々な時代、そして幅広い年代の女性の生き方、そして何らかの母親と子どもの繋がりを多岐にわたる設定を背景に描き出した短編集。子が母親を慕う気持ち、そして母親が子を思う優しい眼差しが、それぞれの短編からじわっと滲み出るように伝わってきました。一つひとつは短いながらも起承転結がはっきりとしたそれぞれの作品。切なさを感じるそれぞれの結末に人の優しさと人生の切なさを感じました。そして、それぞれの読後感にどこか長編を読んだかのような深い余韻が残るのも感じました。原田さんの短編集、他の作品も読むのがとても楽しみになる、そんな期待を抱かせてくれるとても印象深い作品でした。

  • 昨年の前半、ひたすら読んだ原田マハさん。
    久しぶりにマハさんの文面に触れてほっこり。
    「ただいまぁ!」という気分です。

    七つの、つまり七組の女性たちの物語が詰まった短編集。
    『夜明けまで』は、大女優を母に持った ひかるの話。
    母の最期の頼みで訪ねたのは、九州の「夜明け」という駅。
    ちょっと悲しいお話だったけれど、最後のシーンがお洒落でした。
                               
    『星がひとつほしいとの祈り』は、道後温泉での不思議な話。
    売れっ子コピーライターの文香は、息つく暇もないほどの多忙な生活。
    道後温泉で出会ったマッサージ師の老婆の昔話が…。
    文香の心にそっと、星をひとつ落としたのかもしれません。

    『長良川』は、夫をなくした50代の尭子(あきこ)の話。
    病院生活から抜け出した夫と一年前に来た長良川。
    今回は、娘と、娘の婚約者の青年との三人で訪れます。
    尭子夫婦のほほえましいエピソードの要の品は、岐阜の「水うちわ」。
    夕暮れて、鵜飼い観覧の屋形船にかがり火が灯ると
    ホテルや家の明かりが全部消えるシーン。幻想的です。
                                
    最後は、四万十川の『沈下橋』。
    欄干のない橋を “賢い” と例えるのが面白いところ。
    橋が自分で水をくぐって、嵐の時には わざと飲み込まれ
    空が晴れれば、ふたたび姿を現す賢い橋、と。
                                                                     
    九州、四国、長良川。
    そして、『寄り道』に出てきた白神山地、『斉唱』の佐渡島。
    この本を読んでいたら、旅に出たくなりました。
    自由に出歩くのが難しい時代になってしまったけれど。

  • 二十代から五十代までの女性が主人公の七作品の短編集です。

    『椿姫』は主人公の女性には共感できなかったけれど、脇役の少年が清々しくて、よいお話を読んだ。世の中そんなに悪くないと思いました。『椿姫』というタイトルが少年の交際相手の少女のことだと思うと微笑ましかったです。

    表題作の『星がひとつほしいとの祈り』。
    8月15日に泊まっていたホテルで主人公の文香の前に現れたマッサージ師の、上品な老婆の昔話。
    老婆が最後に「星とはなにかとお訊きになりますでしょうか」と言い出し「私の場合は詩、でございましょうか」と自答したのには、泣けました。
    恋とか、愛とかとは答えずに、自分のために、命をつくしてくれたものを思う気持ち。真夏の夜のおとぎ話のようなお話でした。

    『長良川』は幸福感に満ちたお話でした。
    『沈下橋』はちょっとしたサスペンス感がありました。

    この1冊の短編集で飛び交うお国言葉や情景を読んで、日本全国各地に旅をさせてもらったような気持ちになりました。
    旅好きなマハさんらしい短編集だったと思いました。

  • 短篇なのに良かった、原田マハさん(๑˃̵ᴗ˂̵)
    好きだったのは、『斉唱』
            『長良川』
            『沈下橋』
    『星がひとつほしいとの祈り』の、盲目の老女もとても素敵な人でした。もっとお話聞きたいです。

    でも何より、トキと鵜飼についてもっと知りたいと思ったのと、四万十川の沈下橋を渡ってみたい。
    なんだか、知らない土地へ旅行に行きたくなりました。



  • おすすめされて、久々のアートではないマハさん。
    アートのマハさんも、そうでないマハさんもどちらもやはり最高です。

    とくに好きだったものを厳選すると、

    2章目 夜明けまで
    女優の母を亡くした娘が、母の願いを叶える物語。全く知らない土地で知る母の姿と、最後の願いとは。禁断の恋とはいえ、好きだった人とこうして別れるのは辛かっただろうなと想像しながら、ひとり心を強く持って娘を育てたあかりさん(母)は凄いと思った。

    3章目 星がひとつほしいとの祈り
    盲目の旅館のマッサージ師が経験した戦時中の物語。ヨネの優しいこと..。ヨネも先生のことが好きだったんじゃないかな。でも自分の気持ちより、大切なお嬢さん(マッサージ師)の幸せを願っていた。ヨネにとってのたったひとつの星はお嬢さん(マッサージ師)だった。
    支えてくれたヨネや先生が、今もマッサージ師の心の中で輝き続ける星となっている..

    読みながら、私が希望や祈りや幸福を抱くのは誰だろうと心に問いかけた。(本書では星と表現されている)
    そして、今まで出会った大切な人たち、大好きな人たちが、星となって浮かんできた。
    いつまでもいつまでも、輝いてほしい。

  • 女性を主人公とした7つの癒し系短編を収録。2010年刊行。

    「椿姫 La traviata」
    「夜明けまで Before the Daybreak Comes」
    「星がひとつほしいとの祈り Pray for a Star」
    「寄り道 On Her Way Home」
    「斉唱 The Harmony」
    「長良川 River Runs Through It」
    「沈下橋 Lorelei」

    「寄り道」は「ハグとナガラ」シリーズの作品。

    7作の中では、母親の遺言で遺骨を山奥の里に届け、母親の過去の哀しいロマンスを知る「夜明けまで」と、マッサージ師の盲目の老婆が自らの数奇な運命を語る「星がひとつほしいとのいのり」が好きかな。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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