- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408551470
作品紹介・あらすじ
小学生の娘と暮らしながら、新幹線清掃の仕事をするシングルマザーが出合う奇跡とは!?(伊坂幸太郎「彗星さんたち」)ほか全六編。運送会社の美術輸送班、東京消防庁災害救急情報センター、ベビーシッター、農業、イベント企画会社など、多彩な職場で働くヒロインたちの奮闘を描くお仕事小説アンソロジー第三弾。それぞれの仕事の裏側や豆知識も満載。オール書き下ろし!
感想・レビュー・書評
-
オール書下ろしの、お仕事アンソロジー。
基本的に前向きで、明るい気持ちになれる読後感。
よかったのは、以下の3つ。
原田マハ「ヴィーナスの誕生 La Nascita di Venere」
原田マハといえば、画家やキュレーターの話が多い中、美術品を運ぶお仕事、という切り口が珍しかった。
日明恩「心晴日和」
消防士になりたくて入庁したのに、現場から外れた災害救急情報センターへ異動となった、心晴。
不満を抱えていた彼女が、電話口の相手と向き合うところは、ぐっときた
伊坂幸太郎「彗星さんたち」
『ジャイロスコープ』の1作品として、すでに読んでいたけれど、オリジナルである本書で読むと、ほかの話のエピソードをちょこちょこ拾っているのに気づく。
アンソロジーの最後らしい作品だったのがわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
憧れて手に入れた仕事にも嫌な事はある。
こんな仕事辞めてやる!という仕事の中に、
笑顔になる一瞬がある。
生活の為に働くのだから割り切る、
という考えもある意味正解だと思うし、
この仕事が天職だと思っていたのに、
向いてないって挫折する事も多分ある。
大変そうだね、と言われる仕事に、
笑顔で楽しげに関わる人もいる一方で、
誰もが羨む職業に就いているのに、
人知れず悩んで塞いでいる人も多分いる。
早期退職に憧れた時期もあったけど、
社会の片方にしかいられない人生が楽しいのか、
自信がなくなってきた。
助け合って社会を作って生きていく上では、
誰もが自分の役割を「ちゃんと」する事が、
大事なのかもしれないな。
「常にベストを尽くせ。見る人は見ている。」
「スプーンひとさじのお砂糖」を探して。
あなたも。
わたしも。 -
様々な職業をテーマに、様々な作家さんが競演したアンソロジーの第3弾。
たまたま好きな作家さんが多かったので、第3弾からいきなり読み出したが、美術作品の運搬の方の話や、ベビーシッター、新幹線の清掃員の話が特に面白かった。
それぞれの作家さんの得意分野の作品が読めたのも、とてもお得な作品集だったと思う。
順番が違うけど、第1弾も第2弾も読んでみようと思う。 -
6人の作家が描く六つのお仕事。
原田マハと伊坂幸太郎読みたさに選んだ1冊だったけれど
あまり世間では知られていない職業ばかりで興味深くおもしろい。
特に長編しか読んだことのなかった日明恩の「心晴日和」が染みた。
タイトルも素晴らしいね。
このシリーズはこれが3巻目のようなので他2冊も読んでみようと思う。 -
様々な仕事をしている女性を六本の短編で取り上げた一冊。
アンソロジーは新しい作家を発掘するために好きで色々と読んできました。
好きな作家が出ている物を読んで、他にこの人いいな、と思う人が一人見つかればラッキーという感じでした。
やっぱり読み始めたきっかけになった好きな作家の作品が一番よかったと思うことが多かったんです。
でも、この本は違った。。
読もうと思ったきっかけは、妹のだんなさんが伊坂幸太郎が好きだと言ってて、じゃぁ何か私も読もうと思ってずいぶん前に手元にありました。
この本、全員初めて読むさっかでしたが、全部よかった。
美術品輸送スタッフ、災害救急センター、ベビーシッター、農業、イベントスタッフ、新幹線の清掃員の六本でした。
どの作家もよかったけど、東京消防庁に努めている女性を描いた「心晴日和」が一番でした。
119番電話を受けている女性が主人公です。
仕事への思い、声が出せない人からの通報を受けたときの緊迫した空気、主人公の成長。
短い中にしっかりとエピソードが詰まっていて、きれいにまとまっていました。
日明恩(たちもり めぐみ)さんという作家らしい。
初めて知りました。
この本で出会った作家は全員「脳内読みたいリスト」に登録です。
いいな、と思う作家を見つけたときのこのワクワク感、いつまでたってもいいですね。 -
六人の作家によるお仕事ファイト短編集。
どんなお仕事も楽じゃないけど楽しさは見出せる。
行き詰まったら、別方向から見たり、肩の力抜いてみたりは大事よねー。
最後の伊坂氏のは他の作家さんのお話もちょっと入ってたりしてて面白い。
マリアビートル読んだ後だから同じ新幹線ネタだわーなんてそんな繋がりも感じた(^_^;) -
お仕事にスポットをあてた短編集第三弾。
伊坂さん目当てで購入。
第一、二弾は未読。
原田マハさんの「ヴィーナス誕生」は美術輸送に携わる女性のお話。
日月恩さんの「心晴日和」は東京消防庁災害救急情報センター勤務の女性のお話。
森谷明子さんの「ラブ・ミー・テンダー」はベビーシッターの女性のお話。
山本幸久さんの「クール」は農業を営む年配の女性のお話。
吉永南央さんの「シンプル・マインド」はイベント企画会社の契約社員の女性のお話。
伊坂幸太郎さんの「彗星さんたち」は新幹線の清掃員の女性のお話。
目当ての伊坂さんの作品は読み始め、文体などからあんまりのめりこめずいつもと違う印象だったが、終盤の設定や話の伏線の集約とその観点の部分では伊坂さんらしさみたいなのが感じられ、なぜだか安心してしまった。
それほどのインパクトのある内容というものはなかった気がする。
どれもじわじわとくる感じで、仕事を題材にしている分通常の短編集よりも、きっとみんなそれぞれ印象に残る作品は違うのだろうと思う。
個人的には「心晴日和」が緊張感のあるやり取りとほほえましいものがあって印象に残った。