微笑む人 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552613

感想・レビュー・書評

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  • 久々に読む著者だが、TVドラマされると知って積読になっていた本書を読んでみた。この著者の特徴は善悪のはっきりしない事件をその解決もモヤモヤとしたものになってしまうといものが多かったように思う。本書の犯人仁藤俊美も本の置き場所が欲しいから妻子を殺したという動機から疑問の事件を追ううちに仁藤と関わった人々の不審死が明らかになって行く。その原点と思われた小学生時代の親から虐待を受けていた同級生の女の子を突き止め、その親の殺害に至る話を聞き出したもののその正体も真否も分からなくなってしまうという話。最後は人間それぞれの捉え方の問題になってしまって、この事件は何だったのかの論点がズレてしまって、またしてもモヤモヤとした小説を読まされてしまった感じ。著者の嫁さんの加納朋子の小説の方が気分が良くなるよ、さて撮り溜めしたTVの方を見てみるか。

  • 不気味な動機で殺人を犯す犯人の徐々に暴かれていく過去の遍歴。本当に人のことを理解するのって難しいよなと考えさせられるテンポのいい話だった。

  • 止まらなくなって一気読みした。みんな言うように終わり方がもやもやするのはそうだけれど、こんな感じのオチこそが現実でも起こっているあらゆる事件に対する限りなく客観的で冷静な視線のあり方だよね、と思う。
    人を殺した動機とか、その人の本当の姿とか、ぜんぶがぜんぶある側面に過ぎなくて、勝手にまわりの人たちが各々で落とし前をつけられる範疇のストーリーを求めてるだけだよなと思った。

  • 謎は謎のまま…
    またそれも良し。

    とにかく最後まで引き込まれた事がこの作品の評価ではないだろうか。

  • 「本の置き場所が欲しかったからです」
    妻子を殺害した罪で起訴された仁藤俊美(松坂桃李)は、公判で衝撃の動機を明かす。
    1年半前、神奈川県相模原市の西北部を流れる安住川で、仁藤が妻の抄子(かんこ)と娘の亜美菜(池谷美音)を溺死させる。

    ドラマのキャスト
    仁藤俊美(にとう としみ) - 松坂桃李(小学生時代 柴崎楓雅)
    日本最難関の大学を卒業したエリート銀行員。
    安住川において妻子を殺害した容疑で逮捕される。当初は遺族としての立場であったが、目撃者の証言により事態は一変する。誰しもが認める誠実な人間に映るが、その裏では耳を疑うような過去を抱えていた。

    鴨井晶(かもい あきら) - 尾野真千子
    週刊誌「週刊海潮」の女性記者。専業主夫の夫と娘と暮らしている。
    娘同士が同じ幼稚園に通っており、妻子を殺害した仁藤とは知り合いであった。表面上は誠実な人物であった仁藤の動機が腑に落ちず、仁藤に関係する人物や捜査関係者に取材を敢行する。その中で次第に仁藤の表と裏の顔を知ることになり、苦悩する。

    井上肇(いのうえ はじめ) - 生瀬勝久 週刊誌「週刊海潮」編集長。
    晶とは昔から上司と部下の関係にあり、晶が仁藤と個人的な関係があると知った上で巻頭特集を約束する。

    佐藤邦男 - 福田転球 神奈川県津田原警察署の刑事。
    滝沢孝一
    演 - 田中要次
    神奈川県横浜拘置所の刑務官。

    梶原敬二郎 - 阿部亮平 仁藤の先輩。
    かつて慶和銀行に勤務していたが、ダムに身を投げて自殺している。部下にきつく当たったり、女性社員にもセクハラまがいのことをするなど、社内での評判は芳しくなかった。仁藤ともとある因縁がある。

    仁藤が殺した

    保坂保 - 薬丸翔
    慶和銀行に勤務する銀行員で仁藤の後輩。表面上は誠実で好印象に見える仁藤の裏の顔を垣間見たことがあり、怯えている。

    カスミ - 佐藤乃莉
    キャバクラに勤める女性で仁藤の小学生時代の同級生。晶と井上に、仁藤との間の過去の出来事を打ち明ける。

    虐待する義父を仁藤が階段から突き落として殺していた

    鴨井拓郎 - 小久保寿人 晶の夫。
    記者として走り回る妻に代わって、家事全般を引き受けている。笑顔の似合う穏やかな人物。

  • えっ?これで終わり?
    一瞬思考が停止する…

    一体何が真実なのか?
    何を信じれば良いのか?

    叫びたくてたまらなくなった…

    でも、後から俯瞰して考えた時、人は自分が打ち解けられる相手、例えば家族、友人、恋人などのことをどこまで知っているのだろうか?

    自分は信頼してると思っていても、相手はどうかなんてわからない。
    人間は腹の底を見せない生き物になってしまった。

    それは昔に比べて便利になり過ぎた現代社会への皮肉だろう。

    今自分の隣にいる人が将来理解不能な殺人鬼として逮捕されるなんて誰も思わない。

    みんな猫を被って、取り繕って生きているんだ。

    何かを守るため─?

    何を?

    そんなの本人以外わからない。

    そもそも守るためなんて考え自体が違うのかもしれない。

    興味を抱いている誰かを知りたいといって、心の闇に触れようとはしない方がいいかもしれない。

    もしその人が傍から見たら普通の人なのに異常心理の持ち主だとしたら、

    あなたは…

    これこそ究極のミステリーではないでしょうか?


  • けっこう苦労して読んだのに結局なんだったんだろ。

  • なかなかに考えさせられる小説。人間は自分の思っているとおりに理解を進めようとする。

  • 読みやすく、先が気になって短時間で読み切れました。

    この小説の伝えたいことはわかった気がするのですが、わからないものをわからないまま置いておくことは、現実世界ではたくさんあることなので、せめて読書の中では解明される結末が自分の好みだなと思いました。

  • 私はミステリー小説大好きだけど
    ちゃんと伏線回収できて事件解決してスッキリ読了できるのが好きだわ
    って改めて感じさせられました。
    自分以外の人の心中はわからない
    がテーマなのかもしれないけど
    そんなモヤモヤしたんじゃなくっ
    全てシロクロつけて欲しかった〜

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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