- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408553627
感想・レビュー・書評
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6つ上の姉は、家族と離れて暮らしている。
気負いなく堂々とわが道をゆく姉。
私は風変わりな姉のことが好きだった。
17歳で詩人になった姉、中埜菫―なかのすみれ―。
第一話は妹の視線で書かれていた。
タイトルになっている「ぱりぱり」の意味もすぐに理解できた。
不思議な魅力を持つすみれのことが、続きが気になります。
連作短編のようだが、いろんな読み方、とらえ方のできる小説だと思った。
すみれってなんて凄い子なんだろう。ささやかだけれど、この独特な存在感。
菫を担当する編集者や、菫の才能を見出した高校教師など、すみれと関わった人たちの小さな気づきが、心に沁みてきます。
そして最後の「クローバー」は、優しく温かい家族のお話。すみれはしあわせ。父も母も。すみれはきっと周りの人を幸せにする。
瀧羽さんの作り出すお話は優しくて好きです。
これからも追いかけたくなる作家さんになりそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読後じわじわ沁みてくる。
詩を書いて表現するすみれ本人は、喋る言葉は少ない。
それだけにすみれの見てる世界はどんなだろう。
すみれはいったいどんな詩を書いているのだろう。
想像するだけで楽しい。
人は生きているだけで知らず知らずに影響しあっているのだなぁ。
まるでタペストリーのように人々が影響し合いながらそれぞれの世界を創っている。 -
自分が誰かの言葉や存在に
影響を受けたりするのと同じように
どこかで誰かが見てくれているのかも -
本来はコミュニケーションを通して影響を与え合うのが社会に生きる人間だけど、独特な感性を通して影響を与える。
それもある種のコミュニケーションのようで、素敵だなぁと思った。 -
世の中はその子を特殊だと呼んでいた。違う感性をおかしい、普通ではない、そう決め付ける社会の愚かさよ。
ぱりぱり。彼女は誰よりもおおらかだ。ぱりぱり。周りが批評し怒ろうが笑おうと、誰も、彼女のようにはなれない。
柔らかな宝ものが産声をあげたあの日、美しい空、素晴らしい世界、これ以上ない喜び、貴女の顔を忘れない。その美しい瞳にはなれない。
誰も、彼女の心・言葉にはなれない。
愛には笑顔で。優しさには温もりで。彼女にただ必要なことは、そんな、子供を抱きしめてあげるような、当たり前なことだけなのかもしれません。それが障害だろうと、病気だろうと、尊い個性に変わりはないのです。そんな、温もりに溢れた世界が来ればいい。
黄色い満開の笑顔の花を咲かせてくれた、優しく逞しき小さな紫の花は私の宝もの。
これから先、どんな強い雨に降られようとも、その手にちゃんと掴んで離しはしないでしょう。大切な人の為に、幸福のクローバーを。
私には最後、くるくる回る少女の頭上に四つ葉のシャワーが降り注ぐ光景が見えていました。 -
うさぎパンを先に読んでいて、この本気になるなぁと迷っていたら同じ作者さんで即お迎えしました。
読んでいる途中は正直、うさぎパンの方が面白いなぁと思ってしまったのですが最後の章と解説でやられました。好きな本です。
菫の感覚、0にしたくないなぁ。
解説でやられるなんて…びっくりした。
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周りのことなど気にも留めない、独特な個性を持った菫と関わる人々の話。
関わりの深さは登場人物によって大きく異なるが、ふとしたことが相手にとってはとても大きな影響を与えることもある。
ただ、葵についてはどんな影響があったのかよくわからなかった。
彼の物語は菫がいなくても成立しそう。
妹、担当編集者、隣人、教師、同級生、母親の視点があったが、菫本人の視点で見た話も読んでみたかった。
彼女にはどういうふうに世界が見えているのか気になる。 -
もう少し続きが読みたい。
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また素敵な作家さんを見つけてしまった。こういう時の喜びは、何ものにも代えがたい。たくさんのエピソード。こういう時にどう考えているか、それを表現すること。小説といえばそうなのだが、こんなにも見事とは。
薫の人生に関わることがなくても、どこかですれ違っている誰かが、たくさんいる。 -
詩人の姉と、普通の妹。
若くして、才能を見出された姉、菫と彼女に関わる人たちの連作短篇集。
菫の、おだやかで、でもどこか違う風景をじっと見つめているような危うさを、上手く描いているなぁと感心した。
二作目では魅力がなくなったと言われたこと。
でも、妹にとっては同じ姉の言葉であること。
ただ、それでも妹が何者かになれるわけではないということ。
見出される側にも、見出されなかった側にも、それぞれ重石が乗る中で、二人のラストシーンが、可愛くて良かった。