文豪エロティカル (実業之日本社文庫)

制作 : 末國 善己 
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 70
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408553801

作品紹介・あらすじ

性愛を題材にした文学の歴史は古く、弾圧が厳しい時代をも乗り越え、現代に至っている。本作は川端康成、太宰治、坂口安吾など、近代文学の流れを作った10人の文豪によるエロティカル小説集。少女愛、フェティシズム、人妻、同性愛、スカトロジーなど多彩な作品をラインナップ。視覚を重んじる現代エロスとは異なり、五感すべてを刺激する名作集だ!!

感想・レビュー・書評

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  • さすが谷崎、という感じだった。これを江戸川乱歩が書くとどうなるのかな?

  • 2018/01/18 読了。

  • エロは永遠なり

  • ■田山花袋「少女病」美少女への思いが伝わって来た。読むたびに「いやいやストーカーはどうよ?」と思う。あと奥さんに色々失礼だな。
    ■川端康成「舞踏靴」靴フェチ。犬の飼い方も時代だなぁ…。最後に伏字つかうのやめてくれます??
    ■堀辰雄「燃ゆる頬」萩尾望都だ!萩尾望都の世界だ!!寄宿舎!病弱な美形!ルームメイト!!背骨触るのそこはかとないエロス。
    ■太宰治「満願」3ページの短編。勢いで読むと何のおゆるしがでたのかわからないまま終わりそう。あと人の家に毎朝新聞を読みに行くだけでなく麦茶までもらってるの、とても太宰治感ある。
    ■谷崎潤一郎「青塚氏の話」さすが大谷崎…女の体の描写がすごい。映画からダッチワイフ作るのどうかと思う。怖。突然宇宙の心?宗教?が入り込んできた。
    ■織田作之助「妖婦」阿部定の話。阿部定の番組で織田作が阿部定の取材をしてたってあったなぁ。阿部定がどんな風に阿部定になっていくかまでの前半生。
    ■芥川龍之介「好色」今昔物語のあれ。スカトロなのか…スカトロなの…?水木しげるの今昔物語を先に読んでしまっていたので、そのイメージが強かったけれど、芥川文章もきらびやかで良い。
    ■森鴎外「魔睡」妊婦に催眠術かけてあれこれするのヤバい。解説でこれがモデル小説とあって目玉飛び出るかと思った。
    ■坂口安吾「戦争と一人の女」この考え方が安吾ー!となる。空襲で業火の中のキスシーンは映画のようだけど、やっていることや考え方がアレ。
    ■永井荷風「人妻」夫婦の営みの音に悩まされるって割とキツいな…そりゃ引っ越したくなるよ。人妻危険度ランキングB。

  • 表紙のイメージとは、程遠いような感じの文豪たち。
    田山花袋・川端康成・堀辰雄・太宰治・谷崎潤一郎・織田作之助・芥川龍之介・森鴎外・坂口安吾・永井荷風。

    エロティカルと言っても、最初の「少女病」等、自宅がある千駄ヶ谷から神田の出版社までの電車内での女学生への妄想を抱く男の話である。
    「舞踏靴」にしても、靴屋の男が、踊り子の靴下・靴という無生物へのフェチである話。
    「燃ゆる頬」大志を抱く学生の男色と結末。
    「満願」肺を患った夫の妻が医者から止められていたことの許可が下りた時の喜びが、夫婦愛を描いている。
    「青塚氏の話」女性の身体情報のやり取りで、家に迄付いて行ったら、そこには、ラブドールをひたすら愛している男の家であった。
    「妊婦」安部定事件をモデルにした作品。
    「好色」今昔物語の中の平中の好色で、侍従を口説き落とそうをするのだが、、、、糞尿という変態心理の作品。
    「睡魔」医者が、催眠術を妊婦にかけたかどうか、、、疑惑感で、女性の貞操に関しての男の本音は?
    「戦争と一人の女」戦争という死に直面した時に、エロスと、タナトスへの人間観。
    戦争を境に、生と死の概念をどのように描いくか?
    「人妻」学生が間借りした一軒家には、夫婦の家庭正解の音に、妄想を掻き立てられる男。

    この時代の作家は、結核などの肺病という病がある人が多いのと、ノーベル賞まで受賞しても、生き方に戸惑いや不安や憤りがあったのか、自殺者も多い。
    日本の近代文学を作った作家ばかりであり、エロスを殆ど感じさせない作品も多い。
    当時の性描写への弾圧もあったからかもしれないが、底知れず、ホンワカと、暗示させる部分や、オタクっぽいものまで、色とりどりに、含まれる1冊であった。

  • 編者は時代小説やミステリでもお世話になってる末國善己さん。収録されてる10人の文豪ラインナップがかなり文アル司書狙い撃ちみたいな(笑)まぁ良いけど。
    気に入った作品についていくつか感想を。(どれが面白い、面白くないってのは各自の性癖によると思うので、この手のテーマは面白いですね)

    田山花袋『少女病』 タイトル通り期待を裏切らない内容でスゴい。
    堀辰雄『燃ゆる頬』 男子学生・寄宿舎BLモノで(読んでる最中、川端の作品だっけ?と思って著者を見直した。堀辰雄こんなの書くんだ)これはツボだった……。すごくイイ……。
    谷崎潤一郎『青塚氏の話』 ある映画女優のフィルムのコマ一つ一つを舐めるように愛で、ラブドールを作り上げる心情を吐露する流れが偏執狂かつ変態でイイ。(江戸川乱歩が谷崎作品が好きだったのがこういうことなのか、となんとなく判った)
    坂口安吾『戦争と一人の女』 解説で戦後の安吾文学を代表する名作とありますが、確かに凄いエネルギーに満ちた作品。圧倒。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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